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第308話 子供たちが?!

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「こちらゼロフォー、ブリッジ聞こえるか?!」

 アービンのコクピットで、ニナ・レイクが大声で無線に問いかけた。

 彼女とゼロスリーに乗るエド・フリーマンは、もう数分に渡ってシルバーウィングのエアロックドアの外からの破壊を目指しアックスを振るい続けている。

 すぐさま、URF第8小隊、通称ウルフ8のジョーンズ小隊長の声が返る。

『どうした? ドアの破壊に成功したか?』

 ニナは視線をドアの中、エアロック内部に向けたまま凍りついていた。

「いや、それはまだです。それより、数人の子供たちが船内からエアロック内に侵入、新型キドロに搭乗しようとしています!あれは何かの作戦でしょうか?!」

『なんだって?!』

 小隊長の声が驚きで大きくなった。

『こちらでは把握していない。状況を報告してくれ!』

 ニナはゴクリとつばを飲み込み、自分が目にしている光景を伝えた。

「ハッキリとは分かりませんが、年齢から見て恐らく日本から来ているロボット教習所の例の子供たちではないかと」

 ニナの報告にエドが続ける。

『たった今、五人の子供たちがキドロに搭乗しました』

 無線から小隊長の唸り声が響いた。

『了解した。それはこちらで確認する。引き続き、ドアの破壊を続けてくれ』

「了解!」

『了解!』

 ニナとエドは無線にそう言うと、再びロボット用の巨大なアックスを振り上げた。


 ブリッジでは、ジョーンズ小隊長が船長と視線を交わしつつ、ひとつうなづいてから愛菜に顔を向けた。

「確認できるか?」

「やってみます」

 愛菜は非常規制がかかっている船内端末をあきらめ、胸ポケットから自分のスマホを取り出した。トントンと、いくつかタップし左耳に当てる。何度かの呼び出し音が鳴り、相手の声が聞こえた。

『陸奥です』

 つながった!


「棚倉くん、はよせんとヤバいで!」

 正雄と両津は新型キドロ、通称キドロマーク2のコクピットであわてていた。この格納庫はシルバーウィングのドッキングポートに隣接する微重力エリアにある。円柱の中心に近いほぼ無重力と言っていい場所のため、マーク2の両足は床から生えるように突き出ている固定用ロボットアームでしっかりと掴まれていた。

 その解除方法が分からない。

 マーク2自体の起動には成功していた。全天周スクリーンに光が宿り、二人が座るシートは、格納庫内に浮かんでいるように見える。各計器類も正常に作動し、様々な数値が二人の前面に表示されていた。だが、最初の一歩が踏み出せないのだ。

 正雄は左右の操縦レバーに力をこめ、右足でペダルを強く踏む。

 だがマーク2の右足は、全く上がろうとはしなかった。

 正雄はニヤリとしたマイトガイスマイルのままだが、うっすらと額に汗が浮いている。

「普通正義のロボットは、カッコ良く発進するものだぜベイビー、どこかにスイッチがあるはずだぜ」

 両津がスクリーンのアービンに目を向けたまま言う。

「急がんと、あいつ今にも動き出しそうや!」

 ハッと何かに気づいたように視線をスクリーンから正雄に向ける両津。もちろん彼の後頭部しか見えないのだが。

「これってまだ整備中やて言うてたやん!もしかして外のロボットアームとリンクしてへんのとちゃうか?!」

「正義のロボットはカッコ良く、」

 両津が大きくかぶりを振る。

「いやいや、もし繋がってへんかったら、外で手動で解除せなあかんのちゃうか?!」

 ぐいっと振り向き、肩越しに両津に顔を向ける正雄。輝く笑顔である。

「え?!ボクが外に出るの?!」

「俺には操縦という任務があるんだぜベイビー」

 ハァっとあきらめのため息を漏らす両津。

 彼がシートベルトに手をかけようとした時、右隣に立つ同型のマーク2に動きがあった。搭乗ハッチがゆっくりと開き、誰かが降車してくる。

「あれ誰や?」

 与圧服とヘルメットで、両津にはそれが誰なのか判別できなかった。その人物はハッチのドアを軽く蹴ると、ふわりと中に舞う。

「なんか見たことある雰囲気やなぁ。あ、マリエちゃんか!」

 既視感のあるその優雅な身のこなしは、以前教習所の地下でロボットからジャンプしてふわりと地上に降り立ったマリエの姿そのものだ。

「あの時は薄紫の髪がふわっとしとるから、天使みたいに見えたんかなぁて思てたけど、動きがすでに神々しいんやなぁ」

「天使降臨だぜベイビー」

 息を呑んで二人が見守る中、マリエは隣のマーク2を捕まえているロボットアームに到着した。そして何かを操作すると、ガチャリとアームが外れる。ふわりと少し浮き上がるマーク2。

「やっぱり外部操作が必要やったんや!」

 マリエはそのまま軽く床を蹴ると、ふわりと両津たちの方へ向かってくる。

 笑顔になる両津。

「こっちのアームも外してくれるみたいや!」

「マジで天使だぜベイビー!」

 額の汗をぬぐう動作をする正雄。バイザーを上げているとはいえ、ヘルメットが邪魔でほとんどぬぐえはしないのだが。

 マリエは両津たちの足元まで来ると、ロボットアームの操作盤に向かいテキパキと操作を始める。

「よっしゃ!マリエちゃん、ありがとさんや!」

 そう叫んだ両津の目が何かを捉えた。

 グワシ!と、大きな音が響いたと感じさせる振動が格納庫に広がる。

 暴走アービンが、壁のドックを破壊して動き始めたのだ。

「あかん!マリエちゃんが危ない!」

 小さくスラスターを噴射したアービンは、まだアームの解除操作を終えていないマリエに向けて進み始めた。

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