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第287話 スカイブリッジ

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

 真っ黒に広がったビロードの上で、サファイアの輝きを持つ球体がゆっくりと動いている。そしてその上を、何かが物凄い速度で移動していた。

 ISS国際宇宙ステーションの速度は秒速約7.7kmだ。時速に直すと約28,000km。約90分で地球を1周し、1日あたり約16回もこの星の周りを回っている。より分かりやすく説明するなら新幹線でおよそ3時間、ジェット旅客機でさえ1時間15分かかる東京・大阪間であれば、約1分で移動できる驚異的な速度である。

 現在のISSは初代に比べると、超が付くほど巨大になっていた。サッカー場約四面分ものソーラーパネルの下側に、巨大な筒状の建造物が三本取り付けられている。

 各国によって様々な研究が行なわれているシルバーウィング

 操縦系や、非常時には防衛を担当する国連宇宙軍コマンド部隊が常駐しているゴールドウィング。

 そしてひかりたちが宿泊している観光エリアのカッパーウィング。

 その三本が三角形の位置に配置され、それぞれから行き来できるよう渡り廊下のような通路で繋がれている。

 都営第6ロボット教習所の面々は、カッパーウィングからシルバーウィングへと続く第3スカイブリッジを進んでいた。それぞれのウィング内と違い、この場所は無重力だ。だが、壁のハンドルを片手で握ると、そのまま進んで各ウィングの入り口までカラダを運んでくれる。ひかりたちは一列になって、次々とハンドルでスカイブリッジを進む。

「すごーい!遊園地みたい!」

 そうはじゃぐひかりに、奈々がニッコリと笑った。

「そうね。でも、遊園地じゃ無重力は味わえないわよ」

 奈々の前にいるひかりが、ポカンとした顔を後ろに向けてくる。

「無重力ってどんな味がするの?」

「その『味わう』じゃないの!」

「匂いはあるのに?」

「ロボットはかじれなかったでしょ!」

「てへへへ」

 そんなやりとりに、移動中の皆が笑う。だがたった一人、なぜか緊張の面持ちで進んでいくものがいた。愛理である。

「なんか緊張するですぅ」

 愛理の前の奈央が、肩越しに愛理に視線を向けた。

「どうしてなのです? 愛理さんのお母さんに会いに行くだけですわ?」

 愛理の母、伊南村愛菜は素粒子物理学者だ。現在このISSに常駐して研究を続けている。そんなこともあり、彼女の計らいで研究棟であるシルバーウィングの見学が実現したのだ。

「お母さんの職場に来たの、初めてですぅ」

 愛理の声に、少し離れた両津が大声で突っ込む。

「そりゃそーや。ISSなんかにひょいひょい来られへんで」

「ひょいひょい!」

 ひかりがまた言葉を繰り返している。そしてマリエも続いて、

「ヒョイヒョイ」

 とつぶやいた。

 全員の先頭を移動しているのは陸奥、最後尾は久慈だ。南郷と美咲は、何やら仕事が残っているとのことで、今回は参加していない。

 陸奥が振り返りつつ叫ぶ。

「せっかく招待してくださったんだ、みんな失礼のないように、礼儀正しくな!」

「了解!」

 生徒たちの声が揃った。

 実はロボットによる船外活動訓練の後、南郷から提案があったのだ。

『誰が何言うてるのかサッパリ分からへんから、返事を統一したいと思うんや』

 そして全員一致で『了解』と決まった。南郷は最後まで、ひかりたちが聞いたことのない返事にしたがったのだが、美咲によって全て却下された。

「さぁシルバーウィングだ。重力圏に入る準備をしろ!」

 いよいよひかりたちは、シルバーウィングに足を踏み入れた。

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