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第284話 実機訓練

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

 操縦マニュアルを熟読した後は、早速実機での訓練である。

 ひかりは、火星大王ならダッシュボードに当たる全面パネル部分を見渡した。

 確かに、イグニッションキーを差し込めそうなところは無い。

「マニュアル通りっと」

 ひかりはそう言うと、左手に広げた分厚い本のページに目を走らせる。

 そして再びパネルを見る。

「あった!これだね?」

 見つけたスイッチに右腕を延ばし、スイッチカバーを跳ね上げた。

「ぼちっとな!」

 ここでひかりの火星大王なら、グオンと排気口がひと鳴きし、コクピットに微弱な振動が伝わり始め、エンジン音が響く。

 もちろん現代のロボットに内燃機関は一切使用されていない。だが、21世紀から続くモータリゼーションの流れにより、最新型ロボットにも排気音や車体振動装置がわざわざ組み込まれている。動作音が静かすぎて歩行者が危険になるなどの意見もあり、今では自家用ロボットの定番装備ともいえよう。だが宇宙訓練用ロボットには、そんな気の利いた機能は内蔵されていないようだ。

「宇宙では音は聞こえませ〜ん!だからエンジンの音もいりませ〜ん!」

 そんなことを言っていると、ひかりを包む全天周ディスプレイに光が宿った。

「わぁ〜」

 まるで空中に浮かんでいるように感じ、ひかりが楽しそうに声をあげる。

 そのディスプレイには、次々と様々なデータがオーバーレイされていく。

 現在時刻。

 外気温とコクピット内の温度。

 バッテリー残量や油圧サインなど機体の状況。

 レーダーのような位置情報。

 機体にかかっている重力のグラフ。

 そして運転者のバイタルサイン。

 その他、様々な情報が文字や図形で表示されていた。

 中には、ひかりには分からない記号や表示も存在する。

 ひかりはマニュアルと照らし合わせながら、そのひとつひとつを指差し確認していく。なにしろひかりは、この型のロボットに乗るのは初めてだ。ロボット始動時のルーティンも、自家用とは、特に火星大王とはずいぶんと違っている。

 最も正確な確認が必要なのは、機体の状況と運転者のバイタルサインだ。その両方にグリーンマークが出ない限り、アラームが鳴る仕組みになっていた。自家用ロボットの最新機種同様の安全システムが搭載されているのだ。

「全部OK!……たぶん!」

 そう言って一人うなづくひかりのヘルメット内に、奈々の声が大きく響いた。

「たぶんじゃダメでしょ!」

 正面ディスプレイの少し右上にワイプが開き、奈々の怒った表情が見えた。眉毛が心無し三角になっている。

「奈々ちゃん?」

「何かあっても地上ならロボットの外に脱出すればいいけど、宇宙じゃそうもいかないのよ、分かってる? ひかり!」

「てへへへ」

 自分のことを心配してくれる奈々のことがひかりは嬉しいようで、照れたような笑顔を浮かべている。

「遠野!泉崎の言う通りだ!事故が起こってからじゃ遅いんだぞ、しっかりと確認しておけ!」

 陸奥の声に、ひかりはピシッと本格的な敬礼をした。

「了解でありまするっ!」

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