第279話 もっと教えてくれ!
「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。
【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】
「マリエちゃん!もっとや!もっと教えてくれ!」
両津が興奮してマリエを見る。
いや、興奮しているのは彼だけではない。生徒たち全員、そして美咲も少し頬を赤らめて久慈を見ている。
「おい両津、それぐらいにしといたれ。陸奥さんも久慈さんも、真っ赤になっとるやないか」
南郷が肩をすくめた。
「あとひとつだけ!」
両津はねばる。マリエ、陸奥、久慈の顔を順に見渡しながら懇願する。
「えーと、お付き合いは今も続いてるんでっか?」
室内の全員が陸奥と久慈に目を向けた。
まさに究極の質問だ。
陸奥と久慈が、困ったように視線を交わす。
沈黙が続く会議室。
「私、知ってる」
その時、マリエが再び手を挙げた。
今度は久慈も、あきらめたような顔で肩をすくめている。
「マリエちゃん!真相をお願いします!」
マリエはいつもの無表情のまま、当然のことだとばかりに口を開いた。
「今も付き合ってる」
今日一番の盛り上がりを見せる生徒たち。
これはいったい何の発表会なのか?
深刻な真実を、生徒たちに発表する場ではなかったのか?
陸奥は苦笑していた。
「結婚は……まだ? ですよね?」
奈々の言葉に、生徒たちが一斉に陸奥と久慈に目を向ける。
二人が、再び困ったように視線を交わす。
「まだだ」
陸奥が照れたように、頭の後ろに手をやりながらそう言った。
「まだと言うことは……将来的には?!」
両津が追い詰める。
陸奥は、仕方がないとばかりに、フッと息を吐くと生徒たちに顔を向けた。
「そうだ。これでいいか?」
生徒たちから歓声が上がった。
おめでとうございます!
もしかしたらって思ってました!
結婚したら一緒に住むんですか?
などなど、生徒たちから質問の嵐が飛ぶ。
「もういいだろう、ずっと先の話だ」
「みんな、落ち着いて」
陸奥と久慈が生徒たちをなだめる。
「しかしマリエちゃん、久慈教官のこと、めっちゃ知ってるなぁ」
両津がマリエに視線を向けた。
何を聞いてるの? 当たり前でしょ?
そんなポカンとした表情で、マリエはひと言。
「彩香は私のお母さんだから」
一瞬考えた両津だったが、ああそうだったという顔になる。
「そうやったわ。じゃあ、陸奥教官はマリエちゃんのお父さんになるんや!」
おお〜!
会議室がどよめき、全員がマリエの顔を見つめた。
「お父さん」
マリエは陸奥に向けてそう言うと、ニッコリと笑った。




