第274話 伝説の英雄
「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。
【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】
「そう言えば、伝説の英雄ってのもあったよね!」
沈んでしまった会議室を明るくしたのは、ひかりの声だった。
「そや!それや!陸奥センセ、なんで伝説の英雄って呼ばれてるんでっか?」
ぶほっと陸奥がむせた。あわてて目の前に置かれていたカップの紅茶を口に含む。それをゴクリと飲み下してから、ふぅっとため息をついた。
「俺にもよく分からん。あだ名なんてそんなものだろう? って前に言わなかったか?」
困ったような表情の陸奥に、生徒たちから矢継ぎ早に質問が飛ぶ。
「誰にそう呼ばれているんだ?ベイビー」
「どこで呼ばれてるの?」
「なぜそう呼ばれることになったんですか?」
「英雄ってスマホかなぁ?」
最後のはひかりである。
「ああ〜っ!分かった分かった!簡単に説明する、それでいいだろ?」
「は〜い!」
全生徒が明るくユニゾンで返事をした。
ふぅっと、大きなため息をつく陸奥。
それを眺めながら、南郷は楽しげな顔にニヤニヤを浮かべている。
久慈は、仕方ないわねぇと、ちょっと呆れ顔だ。
美咲は……興味津々に陸奥の顔を見つめていた。
大学を出た俺は、理研の紹介もあり、あるロボット工学の研究施設に入所した。理研の担当者には、両親のことで俺に負い目があったのだろう。それ以降も、とてもよくしてくれた恩人と言える。特にありがたかったのは、入所したその研究所の当時の所長が雄物川忠信だったことだ。都営第6ロボット教習所の、現所長である。ここでの出会いが、その後の俺の人生をすっかり変えてくれたのだから。
研究所での日々はとても楽しかった。ほんの少し、設計図の数字を変えるだけですっかり関節の動きが変わるなど、ロボットの開発はとても刺激的だった。だが、そうする内に気付いたことがあった。
俺は、開発よりもロボット操縦の才能が高いことを。
そこで、自分が開発の中心にいるロボットの、テストパイロットに志願することにした。その時に開発していたのが、警視庁機動隊のロボット部隊、トクボの機動ロボット、通称キドロの前身となったプロトタイプだ。
世界中での対テロ戦を想定したソイツには、過酷な環境でのテストが必要だった。そこで俺は、ダスク共和国南側に広がる広大なジガ砂漠でのテストを提案したのである。




