第264話 機動隊
「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。
【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】
「部長はご存知だったんですか?」
「ああ。まぁ大筋だけ、だけどな」
夕梨花の問いに、白谷がそう答えた。
警視庁のロボット部隊、通称トクボ部の会議室が沈黙に包まれる。
トクボ部部長の白谷。
田中技術主任。
キドロチーフパイロットの夕梨花と、その部下である沢村と門脇。
酒井弘行理事官と板東保則捜査主任。
警察では異分子とも言える変わり種の警部、ゴッドこと後藤。
そして今回は、内調の佐々木と公安の花巻も顔を出していた。
「おいよぉ、もちろんあんたも知っていたんだろぉ? 今日の会議に出てきたってことは、そういうことにちげぇねぇよなぁ」
後藤がニヤリとした視線を佐々木に投げた。
「はい。ですが、詳細は我々下っ端にまでは降りて来ないものです」
「下っ端ねぇ」
会議室の50インチ液晶モニターでは、記者たちから山崎総理への質疑応答が続いている。
ホワイトハウスと比べても、官邸の記者会見室は想像以上に広い。記者席も、ホワイトハウスの49席とは違い、114席が確保されている。だが現在、その全席はもちろん、立ち見までが溢れ、記者会見室は異様な雰囲気に包まれていた。記者たちの興奮や困惑が、テレビ画面を通して伝わってくる。
「さっき総理が、機動隊について何か言ってましたよね?」
自分の記憶を探るように、沢村が空中に目をやってから白谷に顔を向けた。
「そうだな。袴田素粒子の侵略に対する防衛部隊を、自衛隊と機動隊内に新設すべく法整備を進めている、とな」
「それです、それ!」
沢村が、思い出した!とばかりに大声を上げた。
「総理が言われた機動隊と言うのは、警視庁の?」
酒井理事官にとってさえ初耳のようだ。
「そうだ。我々トクボも、そこに編入されることになるだろう」
「そこ、と言うことは、トクボより大規模な部隊になるということでしょうか?」
うむと、白谷がうなづいた。
「現在のトクボを拡大するのか、別部隊が作られるのか、そのあたりのことはまだ私にも知らされていない。分かっているのは、パイロットの増員と新型キドロの投入だ」
一同の視線が、田中技術主任に向けられる。
「はい。新型機については、私が把握しています。まだテスト中とのことですが、まもなくここに配備されることになっています」
「なるほど。新型もパイロットも、増えること自体はありがたいですな」
酒井理事官が腕を組む。
「ですが現状の任務、暴走ロボットやロボット犯罪への対処、テロの防止とそれへの対応……それに、侵略者への対処が増えると言うのは、いささか心配です」
夕梨花が不安げな目で白谷を見つめた。
「泉崎の言いたいことはよく分かる。だが、今の段階ではまだどうなるのか、どう対応すべきなのか、よく分かっていないってのが本当の所だ」
白谷が肩をすくめ、佐々木に目を向けた。
「内調でも、まだ全貌を把握してはいません。なにしろ話が地球規模なので。トンプソン大統領と山崎総理の間で、どんな話がされたのか、真実は伝わって来ませんから」
その言葉に、花巻もうなづいている。
「でもよぉ」
緊迫した部屋に、後藤のトボけた声が響いた。
「素粒子に意思があるってぇのに、俺ぁビビっちまったぜ」
ちっともビビってはいない声色だ。
「まぁ、素粒子が何かってのも、俺には分かっちゃいないんだけどよぉ」
後藤は不敵な笑顔でフフッと笑った。




