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第263話 官邸の記者会見室

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

 日本国政府の方針や政策を国民に広く理解してもらうために開かれるのが、首相官邸で行なわれる総理や官房長官の記者会見だ。そのほとんどは、首相官邸の1階に設けられた記者会見室で開かれる。

 諸外国の首脳の官邸には愛称を持つものが多い。例えばアメリカ合衆国ならホワイトハウス、ロシアはクレムリン、フィリピンのマラカニアン宮殿、イギリスはナンバー10、フランスならエリゼ宮と言った具合だ。だが、日本の総理大臣官邸には愛称が無い。正式名称は総理大臣官邸、略称は総理官邸、通称は首相官邸と、どれもかしこまった政治用語のようだ。そのため、国民からあまり親しみを持たれていないと言われることも多い。

 ちなみに総理が執務をするのが官邸であり、日常生活を送る住居を公邸と呼ぶことになっている。

 現在登壇しているのは、山崎和夫内閣総理大臣、山岸哲也官房長官、そして伊勢美智子防衛大臣だ。背後にかかる濃いブルーのカーテンが、会見の重要さを物語っていた。

 我々がニュースなどでよく目にするカーテンは薄いブルーが多い。官房長官の定例会見など、特別な事柄でないことを示している。あと一色、濃いワインレッドのカーテンも存在するのだが、あまり目にすることは無い。

「合衆国大統領の会見に続きまして、総理から、我が国での状況についてお話がございます」

 会見室に女性の声が響いた。会見の司会者、広末美鈴内閣広報官だ。

 総理会見の司会者は内閣広報官の中から選ばれるが、彼女は菅政権以来二人目の女性司会者である。総務省出身のエリートだが、記者の間ではその気さくな人柄で人気がある。

「国民の皆さんにまず言わねばならないこと、それは、トンプソン大統領の言葉は全て真実だと言うことです」

 合衆国大統領の会見が始まってから、ネットでは様々な意見が飛び交っていた。

『今日はエイプリルフールか?』

『これって、オーソン・ウェルズの宇宙戦争だろ?』

『何かの映画の宣伝か?』

『ドッキリでしょ?』

『またアメリカだけ得をする謀略に違いない!』

『そんなこと科学的にあり得ない』

『嘘つき大統領!』

 など、そのほとんどが否定的意見なのだ。

 山崎総理の最初の言葉は、広末広報官のアドバイスによるものだった。

 まずは信じてもらわないと話が進まない、彼女はそう総理に進言したのである。

 そして総理は、トンプソン大統領の説明を受けた、日本の状況を説明していく。

 袴田素粒子はその名の通り、日本の袴田教授が発見したものである。

 教授のチームは、現在もその対応策を研究している。

 地球規模の防御シールド・HSNには日本の最先端技術が使われている。

 袴田素粒子の侵略に対する防衛部隊を、自衛隊と機動隊内に新設すべく法整備を進めている。

 そして既存の防衛部隊以外の、侵略に対抗する組織が、各国ですでに動き始めている。

 現在の参加国は、我が国以外にアメリカ、ドイツ、イギリス、インド、中国だ。そして、その他の国でもその設立に着手している。

 総理、そして防衛大臣の会見をまとめると以上である。

「なんや、SF映画かアニメの世界に入ってしもたみたいやな」

 両津が南郷のPadから視線を上げた。

「そうですわね。素粒子に意思があるというのは、なかなか面白いアイデアですわ」

「アイデアと言うか、事実なんでしょ?」

 奈央の言葉に、奈々が首をかしげる。

「ちょっと待って……」

 美咲が、独り言のように小さくつぶやいた。

「山下先生、どうかしはりましたか?」

 南郷が心配げに美咲に視線を向けた。

「これってアイくんに……いえ、ちゃんと調べてみないと分からないのですけど……」

 生徒たち、そして教官ズも美咲の顔を見つめる。

「もしかすると、遠野さんとマリエさんがロボットの気持ちが分かることと、何か関係があるのでは……?」

「へ?」

 突然自分の名前が飛び出したひかりが、素っ頓狂な声を上げた。

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