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第255話 現状報告

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

 警視庁のロボット部隊、通称トクボ部が所属する機動隊の特科車両隊は、自衛隊市ヶ谷駐屯地と隣接する警察総合庁舎内にある。最寄り駅は地下鉄の曙橋だ。A3出口から徒歩五分ほどで、トクボ部の入口にたどり着く。

 トクボ部は警視庁でもいささか稀有な存在だ。同じ敷地内にキドロの格納庫や整備棟、支援車両の車庫、そして武器庫までも完備されている。そのため、ここに初めて訪れた者は、隣接する自衛隊の基地や設備だと勘違いすることが多い。

 現在、キドロ格納庫横のブリーフィングルームに、トクボ部の主要メンバーが集合していた。

 トクボ部部長の白谷。

 田中技術主任。

 キドロチーフパイロットの夕梨花と、その部下である沢村と門脇。

 酒井弘行理事官と板東保則捜査主任の顔も見える。

 プラスしてトクボ部所属の捜査員たちが十二名

 そして、異分子とも言える変わり種の警部、ゴッドこと後藤も顔を出していた。

「それで、泉崎くんを襲った男たちについて、新宿署の見解は?」

 白谷の問いに、板東捜査主任が書類に目を落とす。

「覆面で泉崎くんを迎えに行く情報がどうして漏れたのかは、まだ不明です。実際に迎えに行くはずだった私服警官二名は、新宿署のリネン室で発見されました。薬品で眠らされていたそうです」

 うむと、白谷が難しい顔をする。

 当然だろう。この状況だと、敵は所轄の内部に潜入していることになる。

「私服の証言で、何か分からなかったのか?」

 白谷の問いに、坂東は首を左右に振った。

「二人とも、手かがりになるような記憶はありませんでした」

 ブリーフィングルームに重い空気が流れた。

「そして、戸山公園で敵は増援と合流した、と」

「はい」

 夕梨花がうなづく。

「どんな奴らだった?」

 思い出すように、顔を上げる夕梨花。

「服装は、どこにでもいるようなの典型で、全員が黒の目出し帽をかぶってました」

 こちらにも手がかりはなさそうだ。

 そう皆が息を吐いた時、夕梨花が声を漏らした。

「ただ……」

「何か気になることがあるのかね?」

「証拠とは言えないほどのことなのですが……」

 夕梨花は大きく息を吸うと、ゴッドに顔を向けた。

「ねぇゴッド、ブフの構えによく似た戦闘術って、心当たりはない?」

 モンゴル相撲とも呼ばれるブフは、モンゴルの国技だ。元々はモンゴルの神事だったが、その鍛錬法が戦闘能力を高める技術として有効だと考えたチンギスハンが軍事訓練に採用、格闘技としてのブフが出来上がったと言われている。

「霧山宗平の第二秘書・小池葵は、彼らの動きを、ブフを基本にした軍隊用の戦闘術かもしれないと言っていました」


「だとすると、モンゴルかダスクの国軍か?」

「それか、テロリストか、ですわね」

 そう言うと葵がクスッと笑った。

「そういうことなら、私も本気を出さないといけませんわね」


 夕梨花はそんな場面を思い返していた。

 テロリストがテロリスト呼ばわりとか。ふざけた話だ。

 夕梨花の顔が、苦々しげに歪む。

 と同時に、後藤の口角がニヤリと上がった。

「ブフを基本にした戦闘術だとすると、モンゴルの国軍かダスク共和国の国軍、あるいはシャンバラか……まぁそのどれかだろうよ」

 やはりそうか。

 ジガ砂漠での戦闘経験の長い後藤の意見は、恐らく外れてはいまい。

 夕梨花と葵の予想は、正解ではないが的を得ていたのだ。

「こりゃあ面白くなって来やがったなぁ、おい、部長さんよぉ」

 後藤はそのニヤニヤ顔を、白谷に向けた。

 後藤はすでに、先日の尾行劇の結果を、白谷には報告しているのだろう。

 面白い、と言う後藤の表現に、白谷は苦笑した。

「ゴッドには面白いことかもしれないが、我々にとっては実にやっかいだ」

 その通りである。

 モンゴルもダスクも、どちらもれっきとした独立国だ。

 そしてシャンバラはダスクに反旗をひるがえしている反政府組織であり、国際テロ組織でもある。警視庁の機動隊の一部隊が対応するには、相手が大きすぎるのではないか?

「まぁやっかいだからこそ、面白いとも言えるけどな」

 白谷も、後藤にとてもよく似た笑顔を見せた。

 部長、やる気なんだ。

 一同の心に、大きな重圧と共に次第に高揚感が生まれていく。

「大仕事ってわけですね」

 酒井理事官も、ニヤリと口角を上げた。

「よし。ではこの話にも関連しているんだが、ゴッド、君からの報告を皆に聞かせてやってくれ」

「おうよ」

 後藤は、ブリーフィングルームの面々を見渡した。

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