第254話 大発表
「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。
【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】
今日はひかりたちの教室に、この教習所の教官が揃っていた。
陸奥、南郷、久慈、そして新しく教諭としてやって来た山下の四人だ。
普段の授業は、各教科ごとにそれぞれ一人の教官が担当している。現在この場所では、ロボット教習に加え、普通科高校の授業が行なわれていた。国語・地理・歴史・公民・数学・理科・芸術・外国語・家庭・情報・ロボット工学などを、四教官で手分けして担当している。ちなみに体育は、レスキュー部のザキーズの担当だ。
「センセ、今日はどうしはったんですか? 教官ズが勢揃いですやん?」
両津が生徒たち全員を代表するような質問を、教官たちに投げかける。
「がん首そろえてどうしたのかな?」
「ひかり、口が悪いわよ」
奈々がひかりに注意した。
「へ?」
言われたことが理解できず、首をかしげるひかり。
「がん首って、ちょっとバカにした言い方なのよ」
「マジすか?!」
「マジすよ」
そのやり取りを聞いていた愛理も首をかしげる。
「がんくびって何ですかぁ?」
「それはね愛理ちゃん、悪いやつをとっ捕まえて、」
「それは襟首!愛理ちゃんが聞いたのはがん首!」
「蛇がガオーッて、」
「かま首!」
「死罪を言い渡す!」
「打ち首!」
「かいしゃくいたす!ずばっ!」
「生首!」
「それを町中でさらす!」
「さらし首!」
「奈々ちゃん?」
「何よ?」
「生首とかさらし首とか、自分で言ってて怖くないの?」
奈々がハッとする。
「ひぇぇ〜!」
「じゃあ、怖くないヤツだと……胸の先っぽの、」
「やめなさい!」
「へ?」
「人間の尊厳よ!」
その言葉に、ひかりは反射的に照れた笑顔になる。
「てへへへ」
もちろん奈々が言った意味は分かっていない。
「遠野、泉崎、もうええか?」
静観していた南郷が奈々にそう聞いた。
「はい、もう終わりました」
「終了でありまする!」
ひかりは直立して敬礼している。
そのスカートの裾を、奈々が引っ張っている。
「立たないの!おすわりっ!」
「わん!」
ひかりが着席した。
「ほんなら、陸奥センセから説明してもらうわ。センセ、お願いします」
南郷と同様に、ひかりと奈々のやりとりを静観していた陸奥が一歩前に出る。
「いきなりだが、ここでクイズだ」
あれ? 陸奥センセが南郷センセみたいなこと言い始めたで?
両津が首をかしげる。
「この教習所は、今ではみんなの高校になっている」
うなづく生徒たち。
ひかりだけが「先行後攻」と、小さくつぶやいた。
「高校だとすると、何か足りないものがあると思うんだが、それは何かな? 分かる者!」
一斉に手を挙げる生徒たち。
「運動会!」
「小学生か!」
声をあげる生徒に、南郷がいちいちツッコミを入れる。
「給食!」
「学食があるやろ!」
「遠足!」
「社会科見学行ったやろ!」
「授業参観!」
「簡単に見に来られへんわ!」
「プール!」
「まわりじゃう海や!」
「南郷さん、それは無茶ですって」
久慈が苦笑する。
「東京湾って、平均でも水深15メートルはあります。一番深いところだと、水深700メートルですし、泳ぐなんて危険すぎますよ」
「確かに……ほんなら、遠浅の海水浴場作りましょか? 砂浜の」
「それがいい!」
生徒たちが一気に盛り上がる。
プライベートビーチ付きの学生寮なんて、どこのリゾートホテルだろう。
しかも宿泊費は無料である。
「またバカなことを。埋め立てでそれを作るのに、いくらかかると思ってるんですか?」
「そやなぁ、30億ぐらいですかねぇ」
「じゃあ、南郷先生の分割払いで」
「無理やったぁ」
あちゃ〜、と盛り下がる生徒たち。
「南郷さん、久慈さん、もういいですか?」
二人のやりとりを静観していた陸奥が肩をすくめる。
そしてひとつ咳払いすると、先を続けた。
「では発表する。この学校に足りないもの……」
息を呑む生徒たち。
「それは……修学旅行だ」
おお〜!と、生徒たちがプライベートビーチ以上に盛り上がった。
「というわけで、修学旅行の実施が決定した。時期は来月早々になるだろう」
「先生!」
両津が勢いよく手を挙げた。
「両津、何だ?」
「どこへ行くんでっか?!」
その通りだ。それこそ、生徒たち全員が今聞きたいことに他ならない。
「それはな……」
息を呑む一同。
陸奥はバッと右腕を挙げ、真上を指差した。
「宇宙だ!」
「ええ〜っ?!」
予想もしなかった言葉に、生徒全員が驚愕に目を見開いていた。




