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第244話 ドルジ

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「あなたは?」

 ドルジは日本人の大男にそう問いかけた。

 後藤である。彼は椿屋珈琲店を出たドルジの後を付けていたのだが、ドルジがタクシーに乗ろうと大通りで手を挙げた瞬間、その前に突然現われた。

「この辺じゃみんな、タクシー乗り場に並ぶのが普通なんだがよぉ。ほら、あそこに東口の乗り場があるだろぉ?」

 そんなことは分かっている。

 ドルジは心の中でつぶやいた。

 新宿東口タクシー乗り場には防犯カメラがある。現代社会では難しいとは言え、可能な限り自分の痕跡を残したくない、そんな思いがドルジにはあったのだ。だが、こんな絡まれ方をしては余計に目立ってしまう。すんなりとその言葉に従うべきだろう。

「あ、すいません。では、あそこから乗りますので」

 そう言って、タクシー乗り場へと足を向けようとしたドルジに、後藤は質問を投げた。

「あんた、ダスク人だろぉ?」

 ピタリとドルジの足が止まる。

 外見だけでダスク人を判別できる日本人は非常に少ない。モンゴル系とアラブ系が入り混じった独特の見た目をしているからだ。

「あんた、何者だ?」

 ドルジの目つきが鋭く光った。

「おお怖い怖い、そんなに凄みなさんなって」

 後藤がへへへと笑う。

「俺ぁこういうもんだぁ」

 後藤は、チョコレート色の革製で縦約11センチ、横約7センチのパスケースのようなものを取り出した。二つ折りを縦に開くタイプのそれは、紛れもなく警察手帳である。その上側には、顔写真と名前、階級「トクボ部付警部」などと記されたカードが入っており、下側には都道府県警名が組み込まれたエンブレムが付いている。後藤のそれは警視庁のそれだ。

「おや、警察の方が、私に何の御用でしょう?」

 ドルジは急に柔和な顔になり、後藤にそう問いかけた。

 その問いを無視して、後藤は話を続ける。

「流暢な日本語じゃねぇかよぉ。あんたみたいなダスク人、滅多にお目にかかれないぜ」

 ニヤリと、後藤が右の口角を上げた。

「えーとよぉ、パスポート見せてくれねぇかぁ?」

 ドルジの柔和な笑顔が、スッと真顔に変わった。

「それは命令ですか?」

「うんにゃ。任意ってやつだ」

「なら、お断りしてもいいはずですよね?」

「もちろんだぜ。だがよぉ」

「だが?」

 後藤の笑みが、不敵なものに変わる。

「大使館に問い合わせりゃ一発だってことだよなぁ」

「そこまでしますか……しかし私が何をしたと言うのです?」

 後藤が首をひねる。

「わかんねぇ。でも、何かをする前に話を聞きたいってところかなぁ。シャンバラの戦士さんよぉ」

 後藤のその言葉に、ドルジの目に敵意の色が浮かんだ。

「何をおっしゃっているのやら、私にはサッパリ分かりませんが」

「じゃあよぉ、あんた、ゴッドって名前に聞き覚えはないかぁ?」

「何?!ゴッドだと?!」

 その名前に、ドルジは大きく目を見開いていた。

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