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第223話 未来のエネルギー

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「そうだ。君たちの言う通り、香坂山遺跡で発見された石器が発していたエネルギーは、現在我々が対処にあたっている暴走ロボットのエネルギーと、ほぼ同じ原理、共鳴と発振によって生み出されていた」

 袴田素粒子が人間に感染した場合は宇宙病と呼ばれる。

 その仕組は、素粒子が左脳の性染色体と共鳴、発振させて電気信号を発生させることによる。発生した電気信号は、脳から発せられる本来の司令を上書きして、カラダと心のコントロールを奪ってしまう。

 一方、暴走ロボットの場合は少し仕組みが違っている。もちろんだがロボットに性染色体は存在しない。そこでロボットのコントロール部(主にそのCPU部分)に侵入した袴田素粒子は、X型である彼ら自身を共鳴、発振させて電気信号を発生させる。そして回路に流れる本来の司令信号を上書きすることで暴走に至るのだ。

「つまり、香坂山石器と同じ原理を使ってエネルギーを取り出すこと。それがこの場所で研究されていることなんだよ」

「すげー」

 健太が目を丸くした。

「ということは……」

 久美子が腕組みをして、思索の海に沈んでいく。

 彼女にはよくあることだった。久美子は興味のあることに出会うと考え込み、周りのことが見えなくなってしまう。

「ねぇ久美子ちゃん、戻ってきてよ」

 亮平が困り顔で久美子に呼びかける。

「ありゃあ、まただよ」

 健太も困り顔になる。

「でも、久美子ちゃんがこうなるってことは、ものすごく興味をひかれたってことだよね」

「久美子、素粒子工学のプロだもんな」

 そんな三人の様子に、槇原チーフが肩をすくめる。

「続き、しゃべってもいいか?」

「あの、ちょっと待ってください」

 亮平が久美子の両肩を掴んで前後にゆすり始める。

「久美子ちゃん!ねぇってば!」

 ガクガクと亮平に揺すられた久美子は、パッと顔を上げ視線を彼に向けた。

「あ、ごめん。あたし、またやっちゃった?」

「うん。チーフが話を続けたいって」

 あちゃー、という表情の久美子だったが、槇原チーフを見てひと言告げた。

「素粒子共鳴による発電ができれば、人類はエネルギーの心配をしなくて良くなりますよね?」

 ほおっと、槇原は感心の目を久美子に向けた。

「その通り。将来的には、それをめざしている」

「すげー」

 再び健太が目を丸くした。

「このプロジェクトがスタートした当初、素粒子共鳴技術はエネルギーを生じるという意味の単語『ダイナミック』と、発生可能だった電力の限界値『キロワット』を合わせた造語で『ダイナキロ』と呼ばれていた」

 1キロワットは1000ワット。

 1メガワットは1000キロワット。

 そして1ギガワットは1000メガワット。つまり1億ワットだ。

「じゃあ、現在の名前がダイナギガということは、1億ワットのエネルギーを得られるようになったと?」

 槇原がニヤリと笑う。

「そうだ。もちろんこの先には、ダイナテラが待っているに違いないがな」

 途方も無い話だ。三人は目だけでなく、揃って口も開きっぱなしになっている。

「ちょっと待ってください」

 久美子がいぶかしげな目を槇原に向けた。

「ここでは、宇宙からの侵略者、袴田素粒子についての研究と、対抗策の開発を行なっていると聞きました」

「そうだが」

「それと素粒子共鳴と、どう関係があるんですか? 後ここって、設備や機材を見るに基本的にはロボットの整備と開発が行われているように思えるんですが?」

 槇原はふむとひとつうなづいた。

「侵略者への対抗策としてのロボットの開発なんだよ」

 槇原の言葉に、再び三人の目が大きく見開かれた。

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