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第221話 stratum03

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「今日からここに異動になりました、ロボット整備士の蒲田健太です!カマケンと呼んでください!」

 昨日、いきなり異動の辞令を受け取った三人、健太、亮平、久美子は、新しい勤務場所である地下整備棟に出勤していた。ここはstratum03(ストラタムゼロスリー)と呼ばれるフロアで、一般的には地下三階と言ってもいいだろう。少なくとも三人はそう判断していた。なぜなら、ここへ降りるためのエレベーターには他にstratum01と02のボタンがあったからだ。ただ、その数字はズラリと99まで続いており、ここには恐ろしく深い地下施設があることを思わせた。

「同じく、ロホット整備士の勝浦亮平です!」

 亮平の声も健太と同様に、響くことなく広い空間に消えていく。

 とにかくこの部屋は広い。そして天井も高い。教習用ロボットなら、そのまま20〜30台は収納できそうなスペースだ。

「私も今日からこちらの配属になりました、素粒子工学整備士の中尾久美子です!よろしくお願いします!」

 久美子の声も、全く反響せずに空間に、そして壁沿いに消えていく。その壁には様々なコントロール用コンソールや、素粒子測定機等がびっしりと並んでいた。三人の目から見ても、最先端の機種が数多く揃っている。そして何に使うのかが全く予想できない、未知のマシンも多かった。ここは地球防衛の最先端の場所だ。三人が知らない最新技術がふんだんに使われているのだろう。

「ようこそ大凪課おおなぎかへ!私がここの課長、浜田賢三です。蒲田くん流に言うとハマケンかな?」

 いっせいに笑いが起こる。

 整備センター長とは正反対のスッキリとした顔つきの男だ。そのいで立ちも整備士とは思えないスーツに白衣。まさに頭脳担当といった雰囲気だ。

「あ、私に整備技術はありません。管理職なのでこんな格好なんですよ。よろしくお願いします」

 彼は右手を頭の後ろに置き、少し照れた笑顔を見せた。

 この部屋には、大凪課の所属と思われる人間が十数名、三人を取り囲むように立っている。そのほとんどが三人と同様の整備ユニフォームだが、課長を含め三名がスーツに白衣だった。

 誰がどんな役割を担っているのか、おいおい覚えていかないと。

 いきなり増えた多数の同僚に、三人は少しあせりながらそう考えていた。

「あのぉ、ひとつ質問してもいいですか?」

 健太がそっと手を挙げる。

「もちろんです。何でも聞いてください」

 課長がニッコリと微笑んだ。

「どうしてここって、大凪課って言うんですか?」

「ああ、それですかぁ」

 課長がちょっと困った表情を見せた。まわりの整備士たちも、なぜか同様の顔になっている。

「大凪と言うのは、海がとても凪いでいる、平和であるという意味なので……と言いたいところなんですが」

 そこで課長は一瞬言葉を切った。

 そして大きくため息をつく。

「これ、本当は『おおなぎか』じゃなくて『だいなぎか』って読むんですよ」

 だいなぎか?

 どちらにしろ意味が分からない。

 三人はいっせいに首をかしげた。

「皆さんにはこれから説明する予定なんですが、この部所で扱っている最も重要な技術の名前が……ダイナギガなんです」

 ダイナギガ……

 だいなぎか……

「ダジャレかよっ!」

 健太は思わず大声で突っ込んでしまった。

「南郷教官が、どうしてもこの名前じゃないとダメだとおっしゃって」

 苦笑する課長。いや、ここにいる全員が苦笑していた。もちろん、健太、亮平、久美子の三人もである。

「関西人だなぁ」

 亮平の、とてものんきな声が聞こえた。

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