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第203話 操縦システム

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「なんやなんや? これどーなってるんや?!」

 コクピットにたどり着いた両津が悲鳴のような声を上げた。

「初代ダンガムって一人乗りちゃうんか?」

「複座どころか、こりゃトリプルシートだぜ」

 彼らが乗り込んだコクピットには、三つの座席が鎮座していた。真ん中のシートは正面を向き、その少し後方左右に外側を向いたシートがある。センターで正面を向いているシートには、左右の手で操作するレバーがそれぞれ付いている。それにプラスして中央に操縦桿らしきもの、足元には3つのペダルが見える。基本的には教習用ロボットと同様のノウハウで運転できそうだ。

「このシートで操縦するんだな」

「ほなこっちのシートは何や?」

 右側を向いているシート前の計器類を見つめる正雄。そこには多数のモニター画面や微調整用のハンドルが付いていた。

「これは恐らく、火器管制に特化した操作コンソールだと思うぜ」

「それって、武器システムのコントロールってことなんか?」

「そうだと思う」

「じゃあこっちは何なの?」

 左を向いているシートに座る心音が問いかけた。例によって、先に座った大和の上に心音が座っている。

「そっちは……多分索敵だな」

「さくてき?」

「シートの前を見てみろ。モニターがやたら多いだろう? それでこのロボットの周り360度全てを監視して、火器管制にそのデータを送る役目だと思うぜベイビー」

「アニメのダンガムよりすごいんちゃうか? これ」

 両津が目を丸くしている。

 そんな彼が何かを見つけたのか、中央シート前のコンソールパネルを指差した。

「これ見てみ!」

 一同、両津が指差したあたりに目を向ける。

「これって、何のマークなの?」

「ボクは知らないなぁ」

 心音と大和が首をかしげる。

「棚倉くんは知っとるやろ?」

「もちろんさ。これは宇奈月工業のマークだ」

「宇奈月って、奈央の?」

「宇奈月さんのお父さんの会社って、ロボットも作ってるのかぁ」

 心音と大和が、感心したような声色でそう言った。

 宇奈月工業の会長は奈央の祖父・宇奈月茂だ。宇奈月工業は奈央の父が総帥の巨大企業体「宇奈月グループ」を、宇奈月銀行と共に支える巨大企業である。重化学工業をビジネスとし、特に機械工業が得意分野だ。そしてロボット産業にも深く食い込んでいる。

「この操縦システムって、ヒトガタより先端行っとるんちゃう?」

「オレにもそう見えるぜ」

 25式人形機甲装備・通称ヒトガタは、陸自に採用されている最新型の軍用ロボットだ。そんなヒトガタより先を行っているロボットが存在しているとは驚愕の事実である。

「これは俺の推測だが……ロボットショー用のこいつを作ることを利用して、最新操縦システムのプロトタイプの実験をやっているんじゃないかな」

「東京ロボットショーからもらった予算で?」

「まさに?」

 正雄の目がギラリと光る。

「コストパフォーマンス!」

 全員の声が揃った。

「さすが宇奈月家やなぁ、とことんコスパ重視なんや」

 一同、感心しているのか呆れているのか分からない、ちょっと複雑な表情になった。

「その話は後で宇奈月くんに聞いてみようぜ。今はこいつでテロリストと対決だぜベイビー!」

「ちょっと待ってや、棚倉くん!対決って、ボクらこのロボットに初めて乗ったんやで? 操縦方法サッパリ分からんし、まともに戦えへんのとちゃうか?」

「暴走ロボットを止めるのは市民の義務だぜ!」

 再びマイトガイスマイルの歯がキラリと光った。

「いやいやいや、あいつ暴走してるんとちゃうやん!」

「乗ってるヤツらが暴走しているのさ」

 なるほど。正雄が言うことは間違ってはいない。

 そう思った両津だったが、なんだか言いくるめられているような気もしていた。

「大丈夫さ。操縦はオレ、ジョニーに任せておけばバッチリだぜ!両津くんは火器管制、ユニット・アッチッチは索敵を頼む!」

「火器管制って、ロボットショー用やし武器なんか装備してないやろ?」

「いや、さっき暴走ロボが何かを銃撃したのを見ただろ?」

「見た」

「多分、ビームライフルでショー用の模擬弾を打てるはずだ」

「模擬弾て、回避教習で使ってた?」

「そうだぜベイビー」

「だとすると、破壊はできなくても当たれば多少のダメージは与えられそうやな」

 こりゃ腹くくらなアカンかなぁ。

 両津はそう心でつぶやき、心音と大和に視線を向ける。

「ユニット・アッチッチはどうや? 賛成してくれるん?」

「そんなアーティストみたいな名前で呼ばないでよ!」

 どっちかと言うとお笑いコンビみたいやけどなぁ。

 両津はそう思いつつ、二人の返事を待つ。

「そうね……大和はどう思う?」

「まあ、もう乗り込んじゃったから一蓮托生だけどね」

「分かったわ。その、なんとかたくしょーだし、やってあげてもいいわよ」

 いつものツンデレだ。

「よし!全員シートベルトをシメてくれ!」

 正雄、両津が三点式シートベルトの金具をセットする。心音と大和は二人乗りのため、ベルトを思いっきり引かないと金具に届かない。が、なんとか無事に固定できた。

「じゃあ行くぜ!」

「ロボット部、行きま〜す!」

 両津がひとりそう叫んだ。

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