表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

173/508

第173話 部活への勧誘

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「君らもロボット部に入らへんか?」

 ひかりたちロボット部の7人は、例によって学食に集まっていた。特にクラブ活動のシステムが無いこの都営第6ロボット教習所には、部活動専用の部室が無い。そこで勢い、学食がまるで部室になっていた。

「それって何をする部活なの?」

 今日の学食には、いつもの7人の他にもう二人の生徒が集まっている。

 野沢心音と館山大和だ。

 地下でのレスキューロボットの暴走事件で意気投合、部活への勧誘となったのである。

「ロボットにまつわる全般について研究する部活や!」

 両津が胸を張り、ちょっと偉そうにそう言った。

「何を研究してるの?」

「えーと、何って言われてもやなぁ」

 大和の質問に、両津はしどろもどろになる。この曖昧な活動内容を考えたのは奈々だ。両津に詳細を答えられるはずもない。オロオロしている両津を尻目に、奈央がニッコリと微笑んだ。

「特撮やアニメに登場するロボットについて、その分類や戦力分析などをする部活ですわ」

 奈央の言葉を皮切りに、各自が好きな分野の活動を言い始める。

「ロボットのプラモをみんなで作るのさ、ベイビー!」

「泉崎先輩のロボット、デビルスマイルを愛でる部活ですぅ」

「奈々ちゃんに、あーんしてもらう部活だよ!」

「ひかり、それロボットと関係無いでしょ!」

「あれれ〜?」

 ひかりが小首をかしげた。

「マリエちゃんはどう思う?」

 ひかりの問いに、マリエが小声で答える。

「ひかりといっしょにいる部活」

「てへへ〜」

 混乱に拍車がかかりそうになってきたので、仕方なく奈々がまとめることにした。

「要するに、いま出た全部を含めて、ロボットにまつわる全般について研究する部活ってことよ」

「なるほど〜」

 心音が納得したようにうなづいた。

「なるほど?」

 大和は、さっぱり分からないという表情だ。

「両津くんも、それでいいわよね?」

「まあ、そんなところや」

 奈々の視線に、両津はバツが悪そうに苦笑する。

 そして突然大声を上げた。

「あ〜、白状するわ!部費もろて、みんなでアイスとか食べようって部活や!」

 本音である。

「入る!」

「ちょっと、心音?!」

「心音じゃなくて、ココ!」

 あ、そうだった。今の心音には、突然自分から言い出したあだ名があった。

「ココ、もうちょっと考えた方が」

「ん? 文句あるの?」

「いや、そういうわけじゃないけど」

 心音の勢いに、大和は少し鼻白んでしまう。

「私が入るんだから、大和も入るわよね?」

 大和は仕方なく、肩をすくめながらうなづいた。

「よっしゃ!これだけ部員おったら、よーけ部費もらえるで!」

「ブヒブヒ!」

「それは豚でしょ!」

「ぞいぞい!」

「それは……何?」

「わっかりっませ〜ん!」

 ずっこける一同。

「というわけで、話がまとまったところでランチタイムや〜!」

 そうなのだ。両津の部活勧誘タイムが突然始まったので、皆お預けを食らっていたのである。

 それぞれのメニューはいつも通りだ。

 ひかりがお子様ランチ、奈々と愛理は日替わりA定食おかずはサイコロステーキだ、奈央はカツカレー、マリエはカラスミと沖縄島唐辛子のパスタ、正雄はクラブハウスサンドイッチ、そして両津はいつもの焼き魚定食(今日の焼き魚はサワラの西京焼きだ)である。心音と大和は共に日替わりA定食を選んでいた。

「いっただっきま〜す!」

 一同手を合わせ、大きな声でそう言うとランチタイムのスタートだ。

 心音も大和も、学食の味が大好きだった。

 特に日替わりA定食のおかずのクオリティはいつも素晴らしい。これまでに一度も外れたことがない。

 さぁ食べよう!とした二人だったが、目の前で不思議な光景が繰り広げられていることに気づく。

「なんだこれ」

 大和が思わずそうつぶやいた。

 二人以外全員のあ〜ん大会が開催されていたのである。

 奈々はサイコロステーキをひかりにあ〜んしている。

 奈央はカレーを愛理にあ〜ん。

 両津はぬか漬けを正雄にあ〜ん。

 そしてサイコロステーキを飲み込んだひかりが、マリエにパスタのあ〜んを要求する。

「大和、私もあれやりた〜い!」

「心音、いやココ、やりたいって言われても」

「やりたいったらやりたいの!」

 心音が自分のサイコロステーキのひとつを箸でつまんで大和にあ〜んする。

 同じタイミングで、大和も心音にあ〜んする。

 そしてパクっ。

 ひかりたち7人は、そんな二人を見つめていた。

「どっちもサイコロステーキやん。あ〜んする意味ないやん」

「しかも同時って、息が合ってる証拠だぜ、ベイビー」

 二人はサイコロステーキをはむはむしながら、頬を赤らめている。

「あのお二人のあ〜ん、わたしたちとなんだか雰囲気が違いますわ」

「アツアツですぅ」

「サイコロステーキが?」

「違うわよ」

 奈々のひかりへの突っ込みにも、いつもの勢いがない。

 ここにいるひかり以外の全員が、頬を赤く染めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ