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第154話 ダイナギガ

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

「やはり生徒たちですね」

 久慈は指揮所内のコンソールで、監視カメラの映像を確認していた。

 ナイトビジョンと呼ばれる暗視カメラの画面は、緑一色に染まっている。最近では各種カメラに、当たり前のように付いているこの機能のおかげで、照明の落とされたその部屋の様子が手にとるように見えていた。

 ナイトビジョンはわずかな光量を電子化し、信号を増幅させて人間の目で見える明るい画面に変換する機能だ。最新のものでは、実に光を3~5万倍にまで増幅可能であり、それは晴天時の太陽光と同等となる。つまりナイトビジョを使えば、夜間でも日中と同じ視界を確保できるというわけだ。ちなみに、光の増幅過程で色信号が失われるため、映像自体はモノクロになってしまう。緑一色なのは、緑が人間にとって見やすい色なのと同時に、他の色よりも消費電力が小さく省エネになるため、わざと着色している。

「結局、全員集合してますね」

 久慈は困ったような、微笑ましいような、微妙な笑顔を浮かべた。

「となると、例のモノは見られてしまったというわけか」

「はい。ただし真っ暗なので、その正体には気付かれていないとは思います」

 ふ〜っと、雄物川がひとつため息を漏らした。

「そろそろ、彼らにもちゃんと説明せねばなるまいな」

「そうですね」

 監視カメラ映像の隣のディスプレイには、次第に大きくなってくるセンドラルの光が、まるで火球のように映し出されていた。


「ひかり、今なんて言ったの?」

 奈々は、隣で自分同様手すりから暗闇をじっと見つめているひかりに視線を向けた。

「えーと……」

 ひかりは自信なさげに、マリエを見る。

「うん、あってると思う」

 マリエの言葉を聞いたひかりは、ゆっくりと奈々に顔を向けた。

「ダイナギガ」

「それ、何なの?」

「わかんない」

「マリエちゃんも?」

「うん、分からない」

 ひかりもマリエも、少し首をかしげている。

「あの黒いカタマリを見てるとね、そんな言葉が聞こえたような気がしたの」

「まぁ、暗くてよく見えないだけで、たぶん色が黒いわけではないと思いますわ」

 奈央が目を凝らしながら指摘した。

「シルエットの輪郭もよく見えへんし、デカすぎて全体像もサッパリ分からへんなぁ」

 両津は手すりから身を乗り出すようにして、少しでもその影に近づく体制でやはり目を凝らしている。

「ダイナ?」

「ギガ」

 正雄の問いにひかりが追加する。

「ギガがあるのなら、メガやテラもあるのかい?ベイビー」

「わっかり〜ませ〜ん!」

 ひかりはお手上げとばかりに、がに股で肩をすくめた。

「それ、大中小って意味になるんちゃうか?」

「大中小?」

「なんかの機械の、でっかいのと、中くらいのと、小さいのって意味や」

 奈々の問いに両津がそう答える。

「我が校は、大中小一貫教育ですっ!」

「高校が抜けてるから一貫じゃないわよ!」

「あれれ〜?」

 奈々の突っ込みに、ひかりがまた首をかしげた。

「ダイナメガ、ダイナギガ、ダイナテラ……可能性はあるかもしれませんわ」

 奈央が腕組みをしつつ皆を見渡す。

「ダイナは多分ダイナミック。力強いって意味でしょう。その力を三段階で表現したものかもしれません。例えば、工事現場の重機ロボットは、弱力、中力、強力などで分類されることがあるのです。そのパターンかもしれませんわ」

 奈央は自らウンウンとうなづいている。

「でも、ひかりと私、ダイナギガって言葉しか聞いてない」

 マリエがそう指摘する。

「あ、メガとかテラとか勝手に言ったの、棚倉くんでしょ!」

「正解だ!お化けに弱いレイディ!」

 照明を灯すことができない限り、あの物体の正体に迫ることはできないだろう。しかも、現在非常事態の真っ只中のはずなのだ。ここで議論している場合ではないのかもしれない。

「とりあえずロボットのところまで戻らへんか? 待機って言われたの、破ってるし」

「そうね、それがいいかもしれないわね」

 奈々が再びひかりに視線を向ける。

「もうトイレは大丈夫よね?」

 ビシッ!と音が聞こえるような鋭さで、ひかりが敬礼した。

「遠野ひかり、17歳!もう大丈夫でありまするっ!」

「また古語!」

 ひかりたちは謎の空間を後にした。

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