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第15話 空き地

「超機動伝説ダイナギガ」が今年(2023年)なんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

「南郷センセ、このあたりで大丈夫ですか?」

 教習ロボットの外側に取り付けられたスピーカーから声が響く。ロボットを操縦しているのは両津である。

「そやな、ここで停まって俺を降ろしてくれ」

 大抵の教習ロボットには助手席が無い。個人用の一人乗りマシンだ。南郷は大きく広げたロボットの手のひらに座るようにして運ばれている。両津はロボットを、王様の前にひざまずく騎士のような姿勢にして南郷を地面に降ろした。

 ここは都営第6ロボット教習所の教習コース……の外側に広がる埋立地。一応芝生が植えられてはいるが、手入れが行き届いていないのか、背の低い雑草があちこちに群生している。柔らかな風にゆらゆらと揺れる緑が目に心地いい。もうすぐ春がやってくる。

「いつもの格納庫やなくて外に出ろって言うから、今日こそちゃんと教習してくれると思たのに、こんなところで何するんですか?」

 あまり大きくないスピーカーから聞こえる両津の声には、ジリジリとノイズが混じっている。

「なんや昔のアニメに出てくる空き地みたいですね。土管とか置いてありそう」

両津はロボットの顔をぐるりと回して周りの様子を見ていた。ロボットの顔の正面に、メインモニタに表示するためのカメラが付いているのだ。

「土管か!両津くんにピッタリやな」

 南郷がものすごく嬉しそうにそう言った。

「どういうことです?」

 南郷の口の端が、ニヤリと吊り上がる。

「土管がどっか〜〜〜ん!」

 大きく両腕を広げて、大げさなジェスチャーをしてみせる南郷。

「ええっ?!もしかして、また爆発するんやないでしょうね?!」

「大丈夫や。俺はちゃんと反省する男やからな、今回は爆発したりせえへん」

「良かった〜」

 安堵のため息をつく両津。

「でもその話しぶりやと、ここでするのは…」

 両津の言葉が終わらないうちに、南郷の大きな声が空き地に響き渡る。

「もちろん、新しい教習用ロボットのテスト運転や!」

 ロボットのスピーカーから、今度は安堵ではないため息が聞こえた。

「ため息ばっかりついてると、シアワセが逃げていくで〜、両津くん」

「センセがつかせてるんやないですか!」

 両津の大声にスピーカーの音が割れ、キーンと不快なノイズが広がった。

「でセンセ、今回はどんなテスト運転なんですか?」

 すっかりあきらめた両津の声は極端に小さくなっている。

「両津くん、スーパーなロボットと聞いて何を思いつく?」

 南郷のクイズ攻撃だ。

「えっと……スーパーマーケットの配達用ロボット?」

「アホ、それはスーパーのロボットやろ。俺が言ってるのはスーパーなロボットや。

まあ俺が作ればぜ〜んぶウルトラスーパーデラックスロボになるんやけどな!は〜はっはっは!」

 そう豪語すると、南郷は説明を始めた。

「スーパーなロボットは、昔から空を飛ぶと決まってるんや」

「ええっ?!このロボット、空飛ぶんですか?」

 両津は驚きを隠せない。

「その通り!普通飛行ロボと言えば、羽付いてたりしてめっちゃデカいやろ。しかも値段も高いから、こんな貧乏教習所の予算じゃ買えへん」

「ここって貧乏なんや……」

 そんな両津のつぶやきを無視して南郷は続ける。

「そこで、とってもとっても貧乏な両津くんでも長期ローン組んで借金地獄に落ちれば買えるように、俺が総力を上げて開発したんや」

「貧乏なのはボクですか?!」

 両津のツッコミも無視する南郷。

「このテストロボの背中には、俺特製の噴射装置が取り付けてあるんや。そいつをぷしゃ〜って噴射すればあら不思議!両津ロボは空へと舞い上がるんや!」

「でもボク、空飛ぶ教習なんか受けたことないし、どうやって操縦すればええのか分かりませんけど」

 心配げな両津に、南郷は得意げにポケットからテレビのリモコンのような黒い物体を取り出した。形はまさにリモコンである。

「安心せい、両津くんは座っとったらええだけや。操縦は俺がこのリモコンでちょちょいのちょいや」

「センセのちょちょいのちょいが一番心配なんですけど……」

「ちょっと動かしてみよか?」

 リモコンを操作する南郷。すると両津の乗るロボットがガタピシと音を立て始めた。

「がに股チョ〜〜ップ!」

 ガニ股になり、両手でチョップの動作を繰り返す両津ロボ。

「センセ、チョップとガニ股になんの関係があるんですか?!カッコ悪いからやめてください!」

「そうか?せっかくオモロいのになあ」

 ちょっとつまらなそうな顔になる南郷。

「オモロなくていいです!」

「そうか?……まあええ、そろそろ飛行実験始めよか。なにしろ俺が作ったスーパーバーストドライブは無敵なんや!」

 そんな南郷の言葉に両津が反応する。

「ちょっとセンセ!バーストって、爆発とか破裂って意味やないですか!」

 首をかしげる南郷。

「そうやったか?」

「ホンマ大丈夫なんかな……」

 両津の心配そうな声には反応せずに、南郷は再びリモコンを操作し始めた。

「ピコピコピコっと」

 飛行ロボの背中に取り付けられたまるでランドセルのような噴射装置から、数本の白い煙が立ち昇り始める。と、突然大火力の炎が地面に向かって噴射された。

「うわっ!」

 悲鳴をあげる両津。

「ええぞええぞ!そのまま空に舞え、俺のスーパー飛行ロボ!」

 轟音を上げなから噴射がどんどん強くなっていく。

「あれ?センセ、ちっとも飛びませんけど」

 ミシミシ!メキメキ!ロボット全体からそんな音が響き始める。

「ん?なんで飛ばへんのや?こんだけのエネルギーで噴射したら、軽い教習ロボットなんて簡単に飛ぶはずやねんけどなあ」

 ボディのキシミ音がどんどん大きくなっていく。

「センセ!どうなってるんです?!」

 その時、飛行ロボの腹あたりに亀裂が走った。その亀裂はどんどん大きくなっていく。

 ばひゅーん!

 大轟音を立てて飛行ロボのボディが真っ二つにちぎれ、上半身だけが高速で空へ飛んでいく。ちょうどコクピットの上半分が持って行かれ、下半身だけになったロボに座っている形で両津の全身がむき出しになった。

「なんじゃこりゃ〜!」

 驚いている両津とは反対に、落ち着き払って南郷がつぶやいた。

「こらあかんな、リモコンでスイッチオフや」

 突然噴射が停止した上半身は、両津の上に……落ちてきた。

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