第140話 ロボットの数え方
「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。
「いっつも思うけど、ここも広すぎやなぁ」
両津が広々とした空間を見渡した。
ひかりたちは都営第6ロボット教習所の格納庫に来ていた。
彼ら七人が教習で使っているロボットの他、量産型の教習用ロボ数台が並んでいる。
「普通、陸自の場合ロボット4両で一個小隊を編成するんだぜ、知ってるか?ベイビー。でもこの広さじゃ、一個小隊どころか30両のひと部隊も余裕だぜ」
「あの〜、りょうってなんですかぁ?ロボットの数え方は「台」ですよね?」
いつものように愛理が首をかしげる。
「それはね愛理ちゃん、小判のことだよ?」
「こばん?」
「おうおうおう!十両盗めば死罪だって、知らねぇわけじゃあねぇだろーが!」
ひかりがポーズを決めてタンカをきった。
「知らないですぅ」
「トホホのホ〜」
これ何のポーズや?
遠野さん、知ってることと知らないことのバランスが悪すぎや。
両津の中でのひかりの謎が、増々大きくなっていく。
奈々はいつものようにひかりに突っ込まず、何かを考え込んでいた。
「もしかして両って……戦車の数え方じゃないの?」
正雄の目が輝く。
「その通り!陸上自衛隊じゃ戦車を数えるのに「両」を使っている。だから伝統的にロボットも、同じ「両」で数えるのさ!」
「じゃあ場所や場合によって数え方が違うってこと?」
奈々が首をひねる。
「正解だ!空自じゃ戦闘機扱いで「一機、二機」って言ったりするぜ。それと、自家用ロボットは「台」で数えるることが多いが、必ずしもそうとは限らない。人によって、機種によって「機」「台」「両」を使いこなしているのが現状さ」
今度はひかりが首をかしげた。
「じゃあ適当ってこと?」
「正解だぜ!ベイビー」
正雄が両腕を上げ、頭の上で大きな丸を作る。
「まるっ!」
と叫んだのはひかりだが。
「まぁその話は置いといて、最初は火星大王からがええんちゃうか?」
「うん!」
ひかりとマリエには、ロボットの気持ちが分かる。
それを確かめるために、彼らはここへやってきていた。
「どうすればいい?」
ひかりの問いに、両津は明確に答えた。
「俺、さっき火星大王のバッテリー残量をチェックしたんや」
「したんや!」
「いや、そこは繰り返さんでええって」
両津が苦笑しながら続ける。
「なので遠野さんは、火星大王にお腹が空いてるかどうか聞いてみてくれへん?」
「くれへん!」
「関西弁、バカにしとる?」
「しとる!」
「してるんかーい!」
我慢できずに奈々が突っ込んだ。
「ほんなら、やってみて」
火星大王は片膝を突き、まるで姫の前にひざまづく騎士のように腰を落としている。
「ねぇ火星大王さん、今ってお腹すいてるかな?」
しばらくの間沈黙が続いた。
火星大王を見つめていたひかりが、皆に顔を向ける。
「すっからかんのペ〜コペコ!って言ってる」
一同の目が両津に集中した。
「正解や。バッテリー、ほぼゼロやった」
おお〜っと感動の輪が広がる。
「ひかり、教習の後は必ず充電するようにって、教官に何度も怒られてるじゃない!」
奈々がひかりをしかる。
「トホホのホ〜」
いや、今はそこやないんやけど。
両津は苦笑していた。




