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第135話 ロボットとは?

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

「これじゃラチあかんなぁ」

 肩をすくめる両津。

 もうかれこれ30分は、ロボット部の活動内容について討論している。だが、結論らしきものにも、いや、そのヒントにすらたどり着いていないのである。

「じゃあこうしない?」

 奈々が全員の顔を見渡した。

「とりあえず、ロボットにまつわる全般について研究する部活ってことにするのよ。それなら、何やっても許されそうだし」

 一同、なるほど!と言う表情になる。

「ハッキリ決めないってことを決めておく、ってことやな?」

「そう」

 奈々が胸を張った。

 おそらくそれが一番いいだろう、メンバー全員がホッとしていた。なにしろ、この地獄の会議は完全に出口を見失っていたからだ。部活を作る!と言う楽しいスタートから。全くまとまらないと言う地獄に到達するまでがとても早かった。そしてぐだぐだと終わり無く続く謎の会議。そこに突然光が差し込んだのである。

 奈々ちゃんはやっぱりすごいな。さすが私の親友さんだ!

 ひかりはそんなことを思いながら、奈々の横顔を見つめていた。

「どうしたの?ひかり」

「ううん、奈々ちゃんカッチョいいなぁって」

 ひかりがニッコリと笑った。

「何よそれ、こんなこと誰にでも言えるわよ」

 まぁ、誰にも言えなかったので、時間がかかっていたのだが。

 その時、愛理がそっと右手を上げた。

「あの〜」

 また何か分からないことがあるのかな?

 一同のそんな思いの中、愛理が言う。

「そもそもロボットって、どうしてロボットって言うんですかぁ?」

 根本的な疑問に切り込んできた愛理である。

「しゅばばばばーん!」

 ひかりが両手を頭の上で合わせ、三角に尖らせて立ち上がった。

「それはロケット!今話してるのはロボット!」

「ぱしーん!ぱしーん!」

 次にひかりは、テニスプレイヤーのような動きで右腕を振った。

「それはラケット!」

「ボンジュール、マドモアゼル!」

 そう言うと何かにかぶりつく。

「それはバゲット!」

 おいおい、どんどんロボットから離れていくで。

 両津はニヤケながらその様子を伺っていた。

「ざばーん、ざばーん」

 突然横になるひかり。まぶしそうに目の前に手をかざす。

 沈黙に包まれる学食。

「それ、なんなのよ?」

「プーケット」

「そんなん分かるかーっ!」

 突っ込んだ奈々以外の面々が、プぅっと吹き出した。

「仕方ないですわね、それにはわたくしがお答えしましょう」

 物知り博士の奈央が名乗りを上げた。

「ロボットという言葉ですが、これはチェコの劇作家カレル・チャペックが作った造語なのです。1920年頃のことですわ」

 ふんふん、と一同興味深げにうなづいている。

 愛理はメモまで取り始めた。

「チェコ語で強制労働を意味する「robotaロボタ」と、スロバキア語で労働者を意味する「robotnikロボトニーク」を組み合わせて作ったと言われています」

「労働?」

 愛理の疑問に奈央がすかさず答える。

「そうです。つまりロボットは、人間の代わりに労働してくれるものとして誕生したのですわ」

「そうだったのか〜」

 ひかりが、分かっているのかどうか、非常に疑問な表情で合いの手を入れた。

「確かに、俺らが乗ってる乗用ロボットも、俺ら自身ができないことを代わりにやってくれとるわなあ。早く走るとか、重いもん持ち上げるとか」

「労働だぁ〜」

「実はね、私もずっと疑問に思ってたことがあるのよ」

 今度は奈々が疑問を呈した。

「どこまでがただの機械で、どこからがロボットなの?」

 確かにそうだ。

 人間の代わりに労働してくれる機械が全て、ロボットと呼ばれているわけではない。

「例えば、自動改札機に手足を付けたとして、それはロボットなの?」

 奈々の疑問はもっともだ。他のメンバーにも、同様に思い当たることがあるらしい。

「おいしくご飯を炊いてくれる炊飯器はロボットですかぁ?」

「くるくる回ってお寿司を届けてくれる回転寿司の機械、あれはロボットなんですの?」

「自動運転の自動車は、まさにロボットと言えるんちゃうか?」

「ぼぉ〜っと」

「ひかりはロボットじゃなくて、ぼーっとしてるだけでしょ!」

「てへへ〜」

「今度は俺様が解説しようじゃないか、ベイビー」

 正雄の笑顔が輝いている。

「普通は、人間に近い形をしている機械をロボットと呼ぶ傾向がある。この前暴走したヒトガタなんか、その名の通り人間の形だぜ。だが、工場で働いている産業用ロボットなどは、どう見ても人間の形には程遠い。つまり!」

「つまり?!」

 全員が期待に満ちた目を、正雄に向ける。

「いまだ定義が決まっていないのだぁーっ!」

 正雄の大きな声が学食じゅうに響き渡っていた。

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