第134話 ロボット部
「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。
学食に、謎の沈黙が広がっていた。
ひかり、奈々、マリエ、奈央、愛理、正雄、そして両津の七人で、新しい部活を作ることが決定した。そして、マリエの鶴のひと声で、ロボット部にすることだけは決まったのだか……。
「ロボット部て、どんな活動するんやろ?」
両津の言葉こそ、この沈黙の正体なのだ。
確かにここにいるメンバーの共通点と言えばロボットに違いない。だが、ロボット免許を取得するために集まっているのだから、当然といえば当然だ。だが、ロボット免許を取得する部活だとか、ロボット技術を学ぶ部活などとしてしまったら、普段の教習と同じではないか? そんなクラブの設立なんて教習所側が認めてくれるはずもない。おそらく同好会でも難しいだろう。
「こんなん、普段の教習と一緒やんけ」
南郷教官がケラケラと笑う姿が、全員の頭に浮かぶ。
だがそうなると、部費をせしめてアイスを食べよう大計画が水の泡と消えてしまう。
そんなわけで、団結して部活内容について頭をひねっているところなのである。
「わたくしは、特撮に登場するロボットについて、その分類や戦力分析などをやってみたいですわ」
そんな奈央の言葉に、愛理が嬉しそうに反応する。
「いっそのこと、巨大ロボットの特撮映画を撮るとかいいかもですぅ!」
「それは楽しそうですわ。やっぱり変身ヒーローものですわね」
奈央と愛理が勝手に話を進めていく。
「遠野さんは、敵に襲われるヒロインが似合うと思いますわ」
「ひろいん!ひろいん!」
ひかりがはしゃいでいる。
「愛理ちゃんはとっても可愛いので、ヒーローピンク」
「がんばりますぅ!」
「わたくしは、せんえつながらヒーローホワイトですわ」
奈央が胸を張る。
「マリエちゃんは、ヨーロッパからやって来た謎の美少女、などというのはいかがでしょう?」
「うん」
マリエがちいさく、だがちょっと楽しそうにうなづいた。
「じゃあ私は何をやればいいの?」
奈々の質問に、奈央がじ〜っと見つめ返してくる。
上から下まで、そして下から上まで。
奈々はちょっと恥ずかしくなって頬が赤くなる。
そして奈央がひと言。
「悪の女幹部ですわ」
「どーしてそーなるのよっ!」
「そりゃあ、怒ると眉毛が、」
「それまだ引っ張るの?!」
奈々の猛抗議である。だが正雄はそれを無視して奈央に視線を向けた。
「と言うことは、俺がヒーローさんだな!」
え? と奈央は疑問符を顔に浮かべた。
「棚倉さんは敵の怪人に決まっていますわ。変態の」
「へ〜んたいっ!」
ひかりが両手をぶん回している。
「それを言うなら変身でしょ!」
「返〜信っ!」
スマホをとんとタップする。
「これ前にもやったことあるじゃない!デジャブよ!」
「デブじゃ!」
「太ってないわよ!」
そこに両津が割って入った。
「待って待って、言い出しっぺの俺は何の役なん?」
「決まってますわ」
奈央が自信ったぷりにうなずいた。
「最初にやられる被害者さんですわ」
「なんでじゃーっ!」
いったい何の話しをしているのか?
これではロボット部ではなく、映画研究部である。
はてしなく続く、ひかりたちの会議であった。




