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82話 特殊な召喚

いつもより長くなりました。

 早速召喚を行おうと祭壇に向かうが、直前で足が止まる。



「ゼノンのメダル、合成専用って説明には書いてたな……」



 そうなると1度合成してから召喚を行わなければならない。しかし【種族メダル】を合成するには同種のメダルがあと2つ必要になってくる。



「普通に考えると黄道十二メダルがあと2つ必要って事か?それはさすがに無理だろ……」



【創成メダル】を使えば不可能ではないが全く現実的じゃない。そもそも【黄道十二メダル】は特殊な入手方法のメダルであるが、貴重で入手方法がイベントの報酬しかない【創成メダル】の使用が前提になるのがおかしな話だ。



「……っあ"ぁーー!!ダメだ、色々考えすぎて頭が働かない」



【黄道十二メダル】を使用する為の合成や、合成したあと組み合わせるメダルの事を考えるとかなり時間がかかってしまう。

 すぐにゼノンを召喚出来るならそのまま一緒に仮面男を追いかけようとも思ったが、仮面男の正体や、ライオネル達の安否や拠点がどうなっているかも気になる。



「すぅー、はぁー……よし、召喚は後だ。」



 深呼吸したあと頭の中を整理する。

 合成などですぐに召喚が出来ない以上、しっかりと考えて召喚を行いたい。そうなるとまずはライオネル達の拠点、そして仮面男の行方と正体だ。



「さすがに仮面男がライオネル達の拠点にまだ居るとは思えないけど、準備はしっかりしてから向かおうか」



 準備を整えライオネル達の拠点に向かう。



「…………」



 辿りついたライオネル達の拠点に仮面男の姿なく、同時にライオネル達の遺体やテントは跡形もなく消えていた。

 仮面男が放ったアーツにより辺り一面広範囲に渡って周囲の木は根こそぎなぎ倒され、地面も大きく陥没している。地形の自動修復が作用し徐々に元に戻っているが、ライオネル達の拠点だった面影はすでに1つも残されていない。



「メテオフォール使った後みたいに何も無いな……」



 そう呟いた事がきっかけになり【簡易転移石】で転移する間際、仮面男が《メテオ__》と言っていた事を思い出す。



「まさか、本当にメテオフォールを使ったのか?」



 しかし、そうなると色々おかしい。



【メテオフォール】は俺のユニークジョブである【新星スキル】のアーツだ。【新星】はかなり特殊な方法で手に入れたジョブであり、俺以外に進化したという情報は入ってきていない。



「仮面男の声は俺と全く同じだった。仮に仮面男がプレイヤーで、キャラクリで声を弄って俺を模倣したとしても、ジョブまで真似るのは不可能だろ」



 さらに仮面男は漆黒のドラゴンを俺の【同化】のような方法で呼び出していた。仮にテイマーであったとしても、仮面男はガンズブレイドを使っていた為、最低1本はガンズブレイドを持っている。サブウェポンに魔法系の武器を持っているなら【新星】のジョブに進化するはずはなく、系統は似る事もあるが違う名称のジョブになり、【メテオフォール】というアーツは使えないはずなのだ。



「いや……似た名称と性能のアーツなら可能性はあるか……でもそれだとまた色々と変だな。まず俺を真似ているかも分からないし、仮に真似ているのだとしたら……」



 俺が一目置かれるようになったのは1週間イベントがきっかけだ。このイベントまではほとんど他のプレイヤーに関わらることは無く、俺の真似をするきっかけがあったとするならこのイベント以降のはずだ。しかしイベントからまだ数日しか経っていないのだ。



「たった数日で巨大なドラゴンになるまで育成して、新星を獲得するのは絶対に不可能だ。だとすると、リリース開始から偶然俺と全く同じ声で、全く同じプレイングした奴がいたってことか?……いやいや、それこそ有り得ないだろ」




 なにより仮面男はNPCを殺害していた。プレイヤーであるならば間違いなくブラックリスト入りする出来事だ。しかしマップ上の反応ではブラックリスト登録されたプレイヤーの反応ではなかった。俺が確認した時は偶然ブラックリスト登録されていなかった可能性もあるが、それはほぼ無いといっていいだろう。



「つまりアイツはプレイヤーじゃない……仮面男はNPCだ」



 それならば俺と全く同じ声で、俺と全く同じ能力を使ってきても不思議ではない。コピー能力があるNPCだと言われたらすんなり納得出来る。



「それだけ分かれば十分だな。能力がどうとか、もうどうでもいいし次に会ったらグチャグチャにしてやる」



 仮面男を明確な敵だと結論付け、思考を切り替える。



 俺が色々考えている間に地形の修復がさらに進んでいるが、陥没した地面の中央に【想花の種】を埋め、ライオネル達の冥福を祈りホームに帰還した。



 ▽▽▽



「さぁ、召喚の前に色々試さないとな」



【黄道十二メダル】は★表記が無く、合成専用のメダルだ。特殊なメダルであり、通常のメダルとは違った使用法があるかもしれない。まずは祭壇の台座に【黄道十二メダル】を嵌めてみる。



【他種族のメダル1枚と、合成のみ行えます。ベースとなる種族メダルを選択してください】



「うーん、やっぱ仕様が違うみたいだな……ベースとなる種族に黄道十二メダルの力を付与するみたいな感じか?」



 そうなると手持ちで使えそうな種族メダルは【恐竜】か【聖獣】くらいしかない。ここは親和性のありそうな【聖獣】を使うべきだろうか……【創成】でベースとなる種族を創り出すのも良い。



「あっ、聖獣は丁度3枚あるし、まずは合成で★上げてみるか!」



 ゼノンには、俺の持つ全てを注ぎ込むと約束している。合成などを駆使して【黄道十二メダル】と一緒に使用するメダルは可能な限り選択肢を増やしておきたい。



【聖獣】はイベント限定のメダルである為、合成等の仕様も違っているかもしれない。★上げは最後の選択肢として、聖獣に他の種族のメダルを掛け合わせてみる。



「やっぱダメか……創成は出来るだけ効果に使いたいし、聖獣の★上げだな」



 色々試してみたが【聖獣】は他の種族と掛け合わせる合成は出来ず、渋々【聖獣】メダル3枚を台座にセットする。



【ユニークメダルに合成が可能です。合成しますか?】



「おっ!?これはやるしかないな!」



【ユニークメダル:【★7聖輝獣】を獲得しました】



「おぉ!!聖獣の上位互換みたいな種族か?これをベースにしてっ……と」



【【黄道十二メダル・獅子】の力をベースとなる【★7聖輝獣】に融合させる特別な合成を行います。合成しますか?】



「やってくれ!」



【ユニークメダル:★0神獣を獲得しました】



「よしっ!!」



 ★0が最低値なのか最高値なのか不明だが、【神獣】なんて種族が弱いはずが無い。★0の意味をそのまま受け取るなら、召喚時★8、★7の組み合わせで召喚出来る自由度の高い数字だ。



「あー、やっぱそれでも創成は★8固定だから創成2つは無理かぁ…………っ!!いや、創成ならその仕様もすり抜け出来るんじゃないか?」



 そう、例えば【無制限】などのメダルなら、召喚時に使用するメダルのレア度制限を無視出来たりしないだろうか。



「これはかなりの博打になるな……よく考えて広い意味を持つメダルにしないと……」



 祭壇の前で召喚者達と一緒に座り込み、必死に頭を回転させる。そしてかなり良い案を思いつき、早速【創成】を使ってみる。



【通告:このメダルを使用し召喚を行う場合、同召喚では別の【創成】で変化させたメダルは使用できません】



「はぁ!?…………マジかよ」



 つまり【創成】を同じ召喚時、2つは使えないということだ。これは想定外で、かなり不味い。



「効果メダルは完全に創成頼りだったからなぁ……まいった」



 手持ちにある効果メダルは【★8災厄】、【★5武装化】、【★6大食い】しか残っていない。【★6大食い】はさっき色々試していた時にラプトルから手に入れた【★5悪食】×3で手に入れた物だ。



「こうなると創成の片方はダメか……災厄……は無い。これはダメだ」



 肝心なところで思うように進まないが、とりあえず【創成】を使って1つを変化させる。



 出来上がったメダルは【★8疾風迅雷】だ。



「よし、これは成功だな。これはゼノンも満足してくれるだろ」



 ゼノンは雷のように素早く動きたいと言っていた。"電光石火"などでも良かったのだが、電光石火は速いだけで力強さが足りない印象だった。他にも"閃光"や"雷光"などの候補もあったが、疾風迅雷が1番しっくりきたのだ。



 残り1つの効果メダルが決めきれないが、とりあえず【★0神獣】、【★8疾風迅雷】を台座にセットする。



 するとここで俺の懐から何かが飛び出し、台座の上でクルクルと回りながら空中に停滞している。手に取るとそれはゼノンから貰った【くすんだメダル】だったのだが、スゥーっとくすみが取れていき別のメダルへ変化する。



「……★5????……これを使えってことなのか?」



 そのまま【★5????】を台座にセットし召喚を行う。



 いつもと同じ召喚演出の後、現れた結晶に雷が落ちて結晶が砕けていく。



「おいおい、これ大丈夫か?雷も演出だよな?」



 俺の心配を他所に結晶の中から姿を見せたのは、漆黒の毛並みを持つライオンだが二本足で立ち、下半身の倍はありそうな筋骨隆々の上半身と太い腕、額からは太く鋭い角が2本生え、背中には小さいがドラゴンのような翼が生えている。さらに召喚したてだが、すでに体はテラ達と同じくらいに大きい。



「見た目から物凄く強そうだ……名前はどうしようかな」



 この召喚者はゼノンの意志を継いでいるが、ゼノン本人ではない。俺の召喚者となった以上名付けは必須だと思うが、せっかくなのでゼノンの名前からとらせてもらおうか。



 まずはステータスを確認する。



 ―ゼノ―

 Lv:1

 種族:????

 HP:??/??

 MP:??/??

 筋力:??

 耐久:??

 敏捷:??

 器用:??

 魔力:??


 ―スキル―

 ・????

 ・????

 ・????



「あぁ??なんだこれっ!?」



 召喚者にはすでに【ゼノ】と名前がついており、ステータスはレベル以外不明の状態だ。色々と特殊なメダルを使っている為、何か条件などを満たしてステータスを開示する必要があるのだろうか……



「しかしゼノ(Xeno)(異物)か……まぁこれから宜しくなゼノ!」


『ガゥ』



 すでに声を出せる事にも驚いたが、ゼノは他の召喚者達のように言葉ではなく鳴き声ような返事をして、全員から少し離れた場所に移動していく。



「うーん、ちょっと気難しいヤツだな……だけど初めてのモンスター型だし、どれだけ強いか楽しみだ」



 ゼノに対して距離感が分からずオロオロしている他の召喚者達を宥め、手持ちのメダルを思い返す。



「あと一体いけるな……よし、もう一体に創成のメダルとアイディアを詰め込むか!」



 まずは【創成】を手に取り、制限を打ち破るべく考えたメダルに変化させる。そして再び台座に向かい、メダルをセットしていく。



【特殊なメダルを検知…………【★8限界突破】は許可されました】


【【★8恐竜】【★8限界突破】【★5武装化】これらのメダルを使用し、召喚を行います。特殊なメダルを運用、使用している為ユニーク個体が召喚されます。よろしいですか?】



「ぃよっしゃ、限界突破は狙い通りだ!!でもユニーク個体か……いい!!やってくれ」



 これまた面白い奴が姿を見せてくれそうだ。



【【創成:限界突破】を使用した為レア度制限の限界を超えて召喚が完了しました】


【【★5武装化】を使用した為、非武器所持召喚者が武器を使用可能になりました。これに伴い使用アーツ全般に制限がかけられます】


【【★8限界突破】を獲得した為、使用アーツ制限の限界を突破し、アーツが使用可能になりました】



 連続したシステムメッセージのあと姿を見せたのは、ゼノと同じくらいの大きさのティラノサウルスに似た体躯を持つ恐竜だ。しかしティラノに比べ頭部が小さく、額には小さな角も2本生えている。スマートになったティラノといった感じで、驚くことに全身が金属で出来ている。が、全身には錆びが広がり凄く脆そうな体をしている。



「お前……見事に錆びてるな。金属を纏ってるんじゃなくて金属生命体の恐竜って感じか。まぁまずは名前だ!さすがにこいつはゼノとは違って名前が必要だろう…………うん、グラだ。良いか?」


『ギャウ!!』



 全身金属製で錆びてはいるが【グラ】もモンスター型だ。目の部分が液晶ディスプレイになっているのか、感情によって形が【><】こんな風に変わるのが特徴的でとても可愛らしい。



 ―グラ―

 Lv:1

 種族:グラディノス

 HP:―

 MP:―

 筋力:―

 耐久:―

 敏捷:―

 器用:―

 魔力:―


 ―スキル―

 ・爆食

 ・限界突破

 ・武装化



「グラもステータス表記が普通じゃないな……ゼノと一緒に色々確かめようか!」

読んで頂きありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 怪しい強い敵が出てきてこれからの戦いやレベルアップに期待できる。 [気になる点] NPCとはいえ虐殺の現場を目撃したのに、衛兵や冒険者ギルドなどへの通報はしないのかなと思いました。 それに…
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