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72話 イベント終了と報酬

 戦いを終え、俺達プレイヤーはライドで街に戻る。NPC達は【転移扉】を使えるようにしておいた為、それぞれの街に順次戻り始めている。



 心配だった聖獣達だが、このイベントが終わり俺達が元の世界に戻ると同時に眠りにつくようだ。



 そしてイベント最終日。

 この日の14時でイベントが終了となるが、それまでは変わらずこの世界で遊ぶことが出来る。



 ログインすると微かに軽快な音楽が聞こえてくる。

 街に出てみると、深夜にも関わらず街は明かりが灯り、住民達が飲んで騒いでのお祭り状態だ。



 少し見て回ると、街の一角で住民達に持て囃されているアマテラスを見つけた。



『おぉ、きたかゼル。今日で元の世界に帰るのじゃろ?ゆっくり街でも回るといい』


「そのつもりだ!また後で挨拶に来るよ」



【ハーヴェスト】の街だけでなく、全ての国の街を回っていると、今まで売られていなかったアイテムや武器を見つけたが生憎持ち合わせがない。金の持ち込みも出来ない為、買うことは出来なかったが一部のアイテムはレシピを教えてもらったり、素材を譲ってもらう事が出来た。



 その後はプレイヤー達やNPC達と飲んで騒いで大いに楽しませてもらった。

 最後にプレイヤー全員で聖獣達の聖域へと向かい、すでに寝る体勢となっていた聖獣達に別れを告げていく。



【イベント終了の時刻となりました。カウントダウン後、結果発表ステージに転移が開始されます。結果発表までには少々時間がかかりますがご了承ください】



 すぐにカウントダウンが終わり、イベントが始まった時にプレイヤー達が最初に集められた待機場に転移する。



 そして転移後すぐに空中には巨大なモニターが出現し、イベントのセリフのないエンディングムービーが流れ始めた。



 俺達が去った後、それぞれの国王が聖獣達が眠ったことを住民達に告げる。聖獣達に頼りきっていた自分達を恥じ、気持ちを新たに3国で協力し発展していこうという内容だった。



「うんうん、やっぱハッピーエンドじゃないとな!」



 結果発表まではまだ時間があるようで、このイベントで仲良くなったプレイヤー達と雑談しているとシステムメッセージが表示された。



【お待たせしました。総合結果は後にモニターを通して表彰と共に行います。先立って3658サーバー内での結果を発表致します】


【獲得した貢献度をポイントに変換し、ポイントを使って報酬と交換が行えます。同時に貢献度ポイント譲渡機能が解放されました。ポイント譲渡によるランキングの変動はありません。ポイントについては以下の通りです】



 ・個人で獲得した貢献度がそのままポイントに変換される。


 ・サーバー総合貢献度の1パーセントがポイントに変換され、サーバー内プレイヤー全員に配布。


 ・総合、個人ランキングの全体順位によってさらにポイントが加算される(これによる順位の変動は無く、表彰後に加算)



 システムメッセージの後、エンディングが流れていたモニターにはサーバー内の結果が映し出された。



 下から順に名前を見ていくが俺の名前がない。不安になりつつも見ていくと、最後の最後で名前を見つける事が出来た。



 ―サーバー総合貢献度―


 ・592,706p



 ―個別貢献度ランキング―


 1位:ゼル・53,781p


 2位:クルシミマス・17,246p


 ……


 ……



「ぶっちぎりだな……」



 俺の内訳を見てみたが、アマテラスに勝った事や、ヨミに最後の一撃を与えた事がかなり大きいようだ。

 総合貢献度の方では【聖獣、真の解放】、【プレイヤー全員生存】、【真の敵を討伐】などがポイントの半分を占めている。



 実績で手に入れた貢献度ポイントは個人に加算されないようだが、それでも俺は6万p近く手に入った。

 さらにはこの後の結果発表次第ではさらに増える可能性もある。



「やっぱこのままじゃダメだな……」



 手に入ったポイントに不満など全くないが、1つ気になる事があった。

 それはクッコロの貢献度が異様に低くあまりポイントが入っていなかった事だ。



 たしかにクッコロは直接的な貢献はしてないかもしれないが、クッコロがいなければ俺達は間違いなく纏まっていなかった。

 いくら俺がマルチエンディングに気付いたとしても、聖獣を倒したとしても、結局はプレイヤー全員が手を取り合わないとこの結果は掴めなかったのだ。そこに1番大きく貢献したはクッコロだ。



「クッコロ、ちょっと良いか?」


「うむ!その前に1位おめでとう!活躍を考えれば当然の結果だが、凄まじいポイントだな」


「あぁ、それもクッコロがいたからだ。だからポイントの半分受け取ってくれ」


「いやいやいや、私は……」


「皆ちゃんと分かってるよ。誰が1番貢献したか、なんてことはな!」



 このイベントではシステム的に貢献度が評価された。クッコロのように貢献度ポイントは貰えないが、影で支えてくれる者が居ることを運営側も分かっているからこそ、ポイント譲渡という機能があるのだ。



「……有難く受け取ろう。感謝する」


「おぅ、早速報酬見てみようぜ!」



 俺には個人ポイント内のキリの良い3万pを残し、残りのポイントをクッコロに譲渡した。これでクッコロも手持ちは3万p程になった為、色々思うように報酬の交換が出るだろう。



 クッコロから少し距離を置いて座り、交換出来る報酬の一覧を覗いてみた。

 報酬ページにはタブがあり、【イベント】、【ジョブ】、【装備】、【素材】、【特別】と分けられている。



【イベント】ページでは、NPCダッツが使っていた【転移陣】が1200p、それ以外は特にめぼしい物はないが大体100~500pで交換出来るが、欲しい物がないためここはスルー。



 次に【装備】タブでは、片手剣【アメノムラクモ】、盾【ヤタノカガミ】、アクセサリー【ヤサカニノマガタマ】の3つだけが存在し、それぞれ1500pだったため使わないと思うが記念に交換した。



【素材】ページでは俺の現在の冒険状況では手に入れられない素材が多くあったが、このイベントでレベルもかなり上がった。冒険を再開すればすぐ手に入るだろうと思い、スルーしようと思ったのだが、ページの最後の方に【条件追加枠】と記されて、追加されていた素材に一気に目を奪われた。



「アマテラス・ハート、ツクヨミ・ハート、スサノオ・ハートか!!……即買いだな!」



 1つ5000pとかなり高めだが迷わず交換する。



 総合貢献度から配布されるポイントと合わせ、残り約2万pとなり、【ジョブ】ページを見ようと思っていたところ、ここで全体の結果発表となった。手を止めモニターを見る。



 全員の結果発表は数千あるサーバー全てを順次表示していると凄まじく時間がかかるため、5位からの発表となる、5位までに入っていないサーバーは表彰後、モニターに全体での順位が表示されるようだ。



「せっかくだ!皆で結果を見ようじゃないか!」



 クッコロの声を聞いて皆が集まり、ワイワイ言いながらモニターを見つめる。



 5位、4位、3位と表示され2位が表示された。



 そして__



 第1回『1週間イベント総合貢献度』第1位:3658サーバー



「「うぉおおお!!」」



 1位の発表と共に5位までの総合貢献ポイントが表示されていいく。

 2位の総合貢献度ポイントは481,465pだ。俺達は2位と約10万p近く差を開けてぶっちぎりの1位だ。



 そして個人の表彰で、なんと俺が3位。

 1位と2位、そして俺との差は数百ポイント程で、僅差で1位を逃してしまった。



 総合全体1位のボーナスとして、俺達のサーバーにはポイントが10,000、俺は個人3位のボーナスで3,000の計13,000のポイントがさらに入ってきた。



 皆でワイワイ騒いでいるとイベント終了のシステムメッセージが届き、カウントダウンが始まった。



「みんな、楽しかった!また会ったら宜しくな!」


「お疲れ様ー!!」


「またねーー!!」



 その後ホームに転移され、最早懐かしくもある花天月地のアルカナが出迎えてくれる。

 ホームに転移したことで召喚者達も【同化】が解除され飛び出してくる。皆も懐かしいのか、すぐに地面に寝転がりゴロゴロと転がり始めた。



「はぁー、めっちゃ楽しかったな……おっと、先に報酬の交換を終わらせないと」



 残りのポイントは約3,3000。

【ジョブ】ページでは【条件追加枠】と物と併せ、メダル【★5聖獣】2,500p(イベント限定)×3とメダル【★8創成】10,000p×2、メダル【★8災厄】5,000pを手に入れた。



「災厄はヨミ倒した時の実績のやつか?一応交換したけど、使えるのかなコレ」



 同じ★8である創成の半分しかポイントが必要ないことも少し不安だ。

 持っておく分には問題無いだろうと思い交換したが使いどころが難しそうなメダルだ。



 最後に【特別】ページだ。

 ここには【プレイヤー専用スキル獲得チケット・生存者】というアイテムしかなく、無料で交換出来るため迷わず貰っておいた。



「レベルも上がったし色々素材も手に入った。今日はさすがにゆっくり過ごして、明日以降にまたこの世界で冒険再開だな!」



 イベント終了に合わせ、運営が各サーバーのダイジェスト動画などをアップロードするようで、暫くはそれを見て過ごす予定だが、今回のイベントはフレンドもいっぱい出来たし、内容も楽しかったし大満足だ。

読んで頂きありがとうございます。

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