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71話 新生した新星、新星爆発

本日2話投稿。2話目

 追い詰められたヤツは何をしでかすかわからない。

 道ずれにしようと自爆する可能性もあった。クッコロにそう伝えたようと思っていたが、建物全体が大きく揺れ、天井が崩れ始める。



『許さぬ、許さぬぞぉ。我をコケにしおって!!!我の真の姿をもって皆殺しにしてくれる。貴様らはここで惨たらしく潰れて死ぬがいい!』



 姿は見えないがボスの声が周囲に響く。



「ほらみろ!先にやっといて良かっただろ?」


「言ってる場合か!!早く脱出を!」


「無理だ。崩壊が早すぎる……」


「俺らはここまでか……このイベント、生きて帰れたら結婚しようって約束してたのに……」


『なんだとっ!?ぬぅ、崇高な我が必ず助けてみせる!!』


「あ、いや……」



 誰かが言ったように崩壊が早すぎて脱出は間に合いそうにない。聖獣たちも体を張って守ろうとしてくれているが……

 俺はこんなことも想定済みだ!



「俺に任せろ!……よっ、と。脱出用の転移扉だ!!」


「神!!」「抱いて!!」


「いや、でも転移先が……」



 馬鹿な事を言ってる奴もいたが、ちゃんと【リゲル】の近くにもう1つ【転移扉】を設置してある。



「マジで神!!」「ゼルさん最高!!」


「ほら聖獣達も!!行くぞ!」



 全員が脱出した事を確認し、急いで俺も扉に入る。この扉は崩壊で壊れてしまうだろうが、アイテム1個と大勢のプレイヤーの命、そんなもの比べるまでもない。



【転移扉】から出て周囲を見渡すと、まだ残っている魔獣と戦っているプレイヤーが見える。さらにその向こうでは城が崩れていくのが見えた。



 すぐにチーム通信で俺達が無事な事を伝え、魔獣の殲滅に俺達も加わるべく走り出す。



『グォオオオオオオオオオオオオオ』



 しかし突然、どこからともなく体の芯に響くような咆哮が聞こえたかと思うと、周囲にいた魔獣が黒いモヤに変わり、城の方へと飛んでいく。



 城が崩れきると同時、いや最後はあのデカブツが城を押し潰していた。



「8つの頭のドラゴン……ヤマタノオロチか」



 恐らくヨミが周囲にいた魔獣をモヤに変え、自身に吸収して真の姿とやらになったのだろう。



『哀れ……愚物はどこまでいっても愚物じゃな……』


「アマテラス、それはどういう事だ?」


『どうもこうもない。あれは自らの命を燃やしておるだけじゃ……放っておけばそのうち塵となる』


「そのうちってどれくらいだ?」


『三日三晩といったところ、じゃろうな……』


「それじゃ意味ないだろ!」



 三日三晩あんな化け物が暴れ回ったら、それこそ世界がどうにかなってしまう。



「ゼル、何か手はないか!」


「んなもん、アイツを殺ればいいだけだろ!!」


「しかし……いや、そうかレイドボス!」


「おぅ!150人のプレイヤーと10万のNPCでレイドボス戦だ!」


『ゼルよ、お主達まさかあれと戦う気か?』


「当然!!三日三晩逃げ続けるより楽だろ」


『そうか……ふっ、やはり妾の目に狂いはなかった!妾も出来る限り力を貸そう!』


『1人でいい格好するななのです。私も勿論手伝うなのです!』


『ふははははは、崇高で少し偉大になった我も手を貸そう!』



 そんな話をしている間にも、ヤマタノオロチの肥大化が終えようとしている。プレイヤー、NPC全員に【リゲル】付近まで撤退を呼びかけ、束の間の休息をとる。



 ▽▽▽



「いいか、皆よく聞け!ヤマタノオロチを退けるにはヤツを倒すしかない。様々な想いはあるだろうが、これが最後の戦いだ」



 ゆっくりと動き出したヤマタノオロチの地響きを聞きながら、全員の前に立つクッコロと、その隣に寄り添う聖獣たち。



『臆することは無い。我ら聖獣はこの地を、世界を守護する者。我らの加護があれば、あのような首の多いだけの蛇なぞ敵ではないわ!』


『うむ、この戦いを無事終えれば皆の勇姿、妾達が後世まで語り継ごう!』


『怖ければ逃げても良いなのです。しかしそれは今ではないなのです』


『ふん、ウサギは皆の前だからか、随分と分厚い皮を被っとるのぅ』


『あぁんっ!?あの蛇の前にてめぇを八つ裂きにしてやろうか?おぉんっ!?』



 そんな聖獣達のやりとりを暫し見ていたNPC達は、強ばった体が解れたのかリラックス出来たようだ。すぐに王達が離れ作成会議に向かっていく。



「さて、プレイヤーの諸君。恐らく、いや間違いなくこれが最後の戦いだ。この場を作り出した立役者に一言もらおうでは無いか!」



 クッコロがそう言うと一斉に視線が俺に集まる。突然のことでぎょっとしてしまったが、なんとか考えを纏める。



「あっ、と……えー、勝とう!ここまで全員で来たんだ。最後まで全員で生き残ろう。それで勝った後は皆でパァーっとやろう!」


「ふふ、君らしいな。…………よし、皆勝つぞーー!!!」


「「おおおぉぉ!!!」」



 盛り上がるプレイヤー達を遠くからどこか寂しそうな目で見てくる聖獣達が気になったが、気のせいだろうか……



 ▽▽▽



『諸君、我ら聖獣は直接アレに手を出さん。しかし皆に我らの力を貸し与えよう!!存分に力を振るうがよい!』



 いつもの態度とは違い、真面目に聖獣をしているスサノオがそう言うと、この場にいる全員に光が纏われ、バフが付与される。

 全ステータス+300パーセントにHP、MP超高速自動回復というチート級のバフだ。



「これは心強い!!皆、準備は良いか。MP切れはない、全て攻撃を最大級の大技でお見舞いしてやれ!行くぞ!!」



 プレイヤー達が一斉に飛び出し、それに続く兵士たち。だが俺は先に聖獣達のもとへ向かう。



「代償は?」


『ふははははは、そんなモノ崇高なる我らにはない……この戦いの後、少々眠りにつくだけだ』


「……そうか。なら、早く終わらせて少しでも早く寝られるようにしてやるよ!」



 色々思うことはあるが、もう考えるのは止めた!今はヤマタノオロチを全力で倒す。



 聖獣達からのバフを受け取り確信したが、これは勝ちイベントだ。一撃死がない仕様上、どんなに強力な一撃を食らってもバフで即座にHPが回復していく。そもそもダメージも俺ですら5割ほどくらえば良い方で、Lv50超えのプレイヤーなんかは避けることもせず、ひたすら大技を連発しヤマタノオロチを削るパワープレイをしているくらいだ。



 数分もしないうちにヤマタノオロチのHPが1割ほど削れ、ひたすら全員でタコ殴りにする。



 ここでふと思い出したのが、俺が新しく獲得したアーツだ。俺の残存MP全て使って放つアーツで、筋力、魔力から攻撃力を換算し、使用したMPを上乗せするというまさに超大技なのだが、1日1回の使用制限があり、さらに使用後30分間MPが回復しないというデメリットも持っている。

 余裕があれば最後あたりで使ってみようと思ったが、すぐに出番は無さそうだと、早々に諦め剣を振るう。



 そして__



『グォォォォォォ』



 10万と少しという人数がいたにもかかわらず、2時間近く殴り続けようやくヤマタノオロチが咆哮をあげ、地響きと共に地面に倒れ込んだ。



「くっそ体力バカが!あー、疲れた……皆もお疲れ様」


『テンキュー!!』



 沸き立つプレイヤーと兵士達から少し離れて一息つく。倒した喜びより疲れの方が勝ってしまった。



 だが、まだ終わらない。



『くくく、いい気になるなよ__』



 ヤマタノオロチは地面に倒れ込むと、体が徐々に灰になって散っていくと共にヨミの姿に戻っていた。

 そしてこういうボスのパターンは知っている。どうせ「復活したら」云々言ってフラグを建て、捨て台詞を吐いて不穏な空気を遺して散っていくのだ。

 確かに最後の最後で感動するセリフを言うボスもいるが、ヨミは間違いなく期待して損するタイプのボスだ。



 だから……



『我がふっ……なっ!?』


「さっさと消えろ雑魚が!!」



 そんな残念ボスの捨て台詞を聞くより、さっさと引き上げて皆でパァーっとやりたい。だから最後までとっておいた新アーツ【メテオフォール】をそのままぶっぱなしてやった!



 巨大な隕石がどこからともなく召喚され、ヨミ目掛けて一直線に向かう。



「「「「えっ!?」」」」


『なっ、なな、ぐぁああ…………』


「…………ふぅ、ゴミ掃除完了!バフも相まって凄まじい威力だな!はっはっは」



【実績:まさかの結末を達成しました。】

 獲得・イベント報酬に特別なアイテム追加



 ヨミどころか城まで跡形もなく吹き飛んでしまった。まぁヨミが消える事に連動して城も消えていっていたし問題ないだろう。実績達成で追加される報酬も今から楽しみだ。



 さぁ、帰ろうと思っていたのだが、そう思っていたのは俺だけだったらしく、皆唖然としている。



「な、なな、なんで……」



 フラフラとやってきたクッコロが口をパクパクさせながら尋ねてきた。



「いや、だってヨミは最後に感動的なセリフ言うタイプのボスじゃないだろ。長い会話パートと捨て台詞のスキップだ!」


「いや……いや、確か……に?」


「実績も実装されてるんだし問題ないって!それよりさっさと帰ろうぜ!」



 未だに唖然とする人達を見ると少し冷静になり、ちょっと気分が昂り過ぎてやらかしたかもしれないと思い始めた。もしかするとそういった捨て台詞を聞きたかったプレイヤーもいたかも知れないし、何か別のイベントに繋がっていたかもしれない。



 そんな風に少し悩んでいると聖獣達が駆けつけた。



『くくく、まさか最後の言葉すら聞いてやらぬとは、ゼルは見かけによらず容赦がないのぅ』


『でもでも、とてもスッキリしたなのです!!』


『ふははははは、さすがは崇高で偉大な我が認めた者だ!』


「そっか!お前らもお疲れ様。バフ助かったよ、ありがとう」



 この世界を守護する聖獣達が満足してるなら、決して悪い結果に繋がる事はないだろう。

 こうして俺達3658サーバーの1週間イベントは、一先ずの決着を迎える事となった。

この後や報酬の話は明日になります。すみません、間に合いませんでした。


そして、このイベントの話は如何だったでしょうか?かなり話数を使った話になってしまいましたが、楽しんでもらえたなら嬉しいです。


ちなみに最終回とかではないです!次回以降も読んで頂けると嬉しいです。

読んで頂きありがとうございました。

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