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69話 殲滅戦

 クッコロの号令と共にプレイヤー達が駆け出していく。

 駆け出すプレイヤーの後ろからは、魔法を使えるプレイヤー達が広範囲魔法アーツを一斉に放つ。



「いけいけいけーー!!」


「皆殺しだァ!!」


「ヒャッハー!!」



 傍から聞くとどっちが悪者か分からないプレイヤー達の言葉だが、範囲魔法の中を構わず突っ込み、ゴリゴリと魔獣の数を減らしていく。



 俺もそんなプレイヤー達と一緒に魔獣の群れに突っ込んだ。



「ミラ以外はとにかく敵の数を減らせ!ミラは回復優先、俺達以外にもHP減ってるプレイヤーいたらどんどん回復していけ」



 パーティを組んでいるクッコロは後方から全体を指揮するため、【リゲル】付近でアイテムを製作しているプレイヤー達の護衛も兼ねて待機し、アマテラスは小さくなって俺の懐から顔だけを覗かせている。



 黒幕である黒い雲は、聖獣達が死んでいると思い込んでいるからこそ、こうして魔獣を作って待ち構え、余裕を見せて遊んでいるのだ。今ここで聖獣達の存在に気付かれる訳にはいかない。



「うぉっ!!……いきなり魔法ぶっぱなされると効かないとわかっててもビックリするな」



 特に作戦などもなく、正面からぶつかり合った魔獣とプレイヤー達は早々に乱戦となり、フレンドリーファイアが無効な事もあって予告なく範囲魔法がバンバン飛んでくる。



 これは余談だが、チームを組んでいる為フレンドリーファイアは無効だが、攻撃を放ったプレイヤーにプレイヤーを攻撃する意思があればフレンドリーファイア自体が無効化される。つまり混乱に乗じてPKも可能なのだ。しかしこの場にそんな事をする者はいない……と思いたい。



 ▽▽▽



「ふぅ、全くキリがないな……」



 周囲を魔獣に囲まれ、召喚者達と背中合わせで身構える。1時間ほど戦い続けているが全く数が減ったように思えない。



「ジャスティス・セイバー!!!……ゼルさん無事ですかっ!?」



 俺を囲んでいた魔獣を【ジャスティス・セイバー】なる厨二臭さ全開のアーツで薙ぎ払い、颯爽とアルが駆けつけてくれた。うむ、さすが勇者!



「アル!助かる。やっぱり数が多いな」


「えぇ、ですがおかげでレベルがモリモリ上がってます。レベルが上がったことで待機していたプレイヤーも戦闘に参加しているようです」



 駆けつけてくれたアルと背中合わせで魔獣を牽制しながら会話する。ふと、そんな状況が面白くなった。



「はは、今の俺達、なんかアニメのワンシーンみたいだな」


「??……とにかく目の前の敵を蹴散らしましょう!少し大技を使います。溜め時間の間、守ってください!」


「おう!」



 アルの【ブレイブ・ジャッジメント】が発動するまで向かってくる魔獣を倒す。少しするとアルのアーツが発動し、無数の光り輝く剣が広範囲に絶え間なく降り注ぐ。そのまま一気に突破した俺達は他のプレイヤー達と合流することが出来た。



 その後も戦い続け、夜も明けない時刻から始まった戦闘はすでに3時間が経過していた。

 疲れはしないが集中力が散漫となったプレイヤーは被弾が増え、続々と【リゲル】を中心とした拠点に戻り休憩しているが、その分前線で戦うプレイヤーの負担が増える。



「ヤバい!……このままだとゴリ押しで負けそう」



 誰かがそんな事をチーム通信で呟く。



「まだだ!まだ持ち堪えろ!!ここで負ける私達じゃない」



 クッコロの激励が即座に飛ぶが、さすがに精神的にキツい。ズルズルと魔獣達に押し込まれ、かなりピンチになってきた。



 そんな時だ。

 拠点としている場所のさらに後方から無数の魔法が魔獣に降り注ぎ、俺達には回復魔法が飛んでくる。



『者共、魔獣を蹂躙せよ!!』


『我らの世界、我らが戦わんとしてなんとする!!』


『再び手を取り合った我らの力、ここで示すのだ!!』


『おぉーー!!!!』



 各国の王達が兵士を引き連れ援軍に駆けつけてくれた。その数、およそ10万!

 地鳴りのような音と共に兵士達が雪崩込み、騎馬隊が戦場を駆け巡る。

 さらには俺の【ベガ】によく似た魔導兵器が100体ほど投入され、魔獣達を薙ぎ払っていく。



 援軍に駆けつけてくれたNPC達は、プレイヤーが事前に用意しておいたバフが付く料理を食べており、さらには聖獣の加護というバフも付いている。おかげで魔獣を軽々蹴散らしていき、一気に魔獣の波を押し返した。



「今が好機だ!城に突入するパーティは準備しろ!それ以外の者はNPC達と協力し魔獣殲滅を継続してくれ。後の指揮はネヴィラに任せる!」


「了解です!」



 さすがに俺も疲れた。【リゲル】のもとに戻り休憩するため地面に座り込む。



「みんな一先ずお疲れ様!ちょっと休憩だ」


『『『テンキュー!!』』』



 この間に少しステータスを確認してみたが、一気にレベルが6も上がり、俺はLv38となっていた。そして新アーツも獲得している。



「さすがに上がったなぁ!マジで経験値ウマウマだ」



 今こうやって休憩している間にもバンバン経験値が入ってきている。どうやらNPCが倒した魔獣もプレイヤーの経験値として入るらしい。



「ゼル、無事か?」


「クッコロか、見ての通り全員無事だ!」


「そうか。他のプレイヤーもまだ誰もやられていない。とても順調だ!」


「まぁ後半は集中力は無くなってきたけどレベルは皆上がってたもんな!」



 出会った時はLv10台だったシルクスも今やLv27、立派な戦力になっている。



「私としては戦わずレベルが上がったから少し申し訳ない気持ちが勝るが、私はLv51になったぞ!」


「やっぱ50からは上がり辛いのか?このイベント始まってからやっと1か」


「いや、私が敵に手を出していないから貰える経験値が減少しているだけだ。それより、ここからが本番だ。皆の準備が整い次第突入する」


「分かった!準備しとくよ」



 言うなればここまでは前座だ。ここから城に突入し、黒い雲を倒せなければ元も子もない。回復アイテムなども補充しバフ付きの料理もしっかり食べた。



 いまだ魔獣と戦い続けているプレイヤー達の脇を抜け、城門前に立つ。



「まずは全員で行動だ!私達が負け、数が減ればそれだけ残されたプレイヤーは不利になる。初見だろうと必ず勝つぞ!!」



 クッコロの激励を受け、俺達は正面から城内に侵入する。

読んで頂きありがとうございます。

明日には今の話を終わらせようと思っています。

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