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6話 結構厳しい序盤

 レベル上げのため始まりの街に隣接するフィールド、【始まりの平原】に移動する。



 西区、東区、北区から平原に移動出来るとは思っていたが、なんと中央区からも平原に出ることが出来た。



 中央区にある門はホームに繋がる場所だと思っていたが、実際は平原にも出られるようで、ホームに行きたいと思いながら門を潜るとホームに繋がる仕様のようだ。



「よし、テラ。お前の力を見せてくれ!」



 テラは戦闘系のスキルは持っていないが、戦闘力そのものは未知数だ。召喚者もといNPCしか出来ないような動きを見せてくれるかもしれない。



 平原もプレイヤーがそこら中にいるが、平原はかなり広く、モンスターの取り合いにはならない。

 さらにモンスターも、プレイヤーから一定距離が離れていなければ湧かないため、急にすぐ近くの背後に湧いて不意打ちを食らうなんていうことは無い。



 少し歩くと、やや大きな目のネズミのモンスター、グレーラットLv1を見つけ、早速戦闘に入る。



 まずはテラの戦力確認より、グレーラットの強さを確認する。



「近くにくると噛みつき、距離を離せば投石か」



 動きも単調で遅く、投石も簡単に避けられる。

 コイツでテラの確認をするとしよう。



「よしテラ、アイツをやっつけてくれ!」



 テラはグッと両拳を握り、腕を上げて頷く。

 そしてそのままグレーラットに走って向かっていく。



 トコトコトコ……



「う、嘘だろ……グルグルパンチじゃん」



 任せろと言わんばかりのテラだったが、両腕をグルグル回してまっすぐ走っていく。

 しかも見た目通り、幼児特有のふらついた足取りで見ている俺がハラハラしてしまう。



 そしてテラはグレーラットの投石を肩に直撃を受け、ポーンと弾き飛ばされてしまった。



「だ、ダメだこれ……テラ、上薬草使って回復しろ!」



 すぐに俺はグレーラットに特殊アクションを使って高速接近する。

 石を飛ばしてきたが、【ジャストガード】と呼ばれる、攻撃が当たる瞬間にガードをすることでダメージを無効に出来るテクニックを使い無傷で距離を詰め、そのまま斬りつける。



 グレーラットが噛み付こうと飛びかかってくるが、今度は【パリィ】と呼ばれる、攻撃を弾き体勢を崩すテクニックでグレーラットの攻撃を無効化、同時に体勢を崩したところに攻撃を繰り出すとカウンターとなり、ダメージが増加する一撃を浴びせる。

 そのままアーツ【ダブルホイール】を発動。体を前宙させ斬り下ろす技を決め、グレーラットを倒した。



【グレーラットを倒しました。3経験値、5Gを獲得しました】



 ちなみにモンスターは、HPがバーとして頭上に表示されており、ダメージなども数字で表示されるのだが、ダメージはうっとおしいので設定から非表示にしている。



 ここでもちょっとした発見があり、敵のHPバーはHPが数字的に0になっても、仕様で1ミリ残って表示される。

 そして経験値などは、モンスターが倒され消えないと獲得出来ず、HPを0にした状態でプレイヤーが近付くと光の粒となって消えていく。

 こんな仕様のため、倒したと思って近付くと実は生きていて手痛い反撃を食らう。なんてことも有り得る。



「ふぅ…………テラ、大丈夫か?」


 コクコク



 申し訳なさそうに頷くテラに心が痛む。

 本当にこのゲームのAIは凄い。



「気にしなくていいからな。色々試してみよう」



 その後色々と試した結果、テラのやる気は凄いのだが、戦闘力は皆無である事が分かった。



 走り回って攻撃を避けることは出来るようで、敵は俺が1人で受け持つ事にしたのだが、避けることもかなり危なっかしい。



 そのため肩車状態で戦闘もしてみたのだが、俺が走り出した瞬間ポーンと投げ出され、これも失敗に終わった。



 そんな実験を繰り返す中で、俺とテラはLv2に上がったこともあり、1度街へ戻ることにした。



 そのままNPC飯屋に入り、食事をしながら今後のことを考えることにした。



 このゲームには満腹度が存在し、満腹度が0になるとHPが徐々に減っていく。

 100Gのパン、サラダ、スープのセットを2つ頼み、テラと一緒に食べる。モリモリ食べるテラがとても可愛らしい。



 しかし困った。

 テラは生産面においてかなり強力だと思われるが、戦闘面では役に立たないどころか、足を引っ張っている。



 かといってパーティから外すと経験値も入らずレベルも上がらない。パーティに入れているから取得経験値は分配され、俺のレベルも上がりにくい。



 レベルが2に上がり、ステは俺がHPに+2、他が1ずつ上がり、テラは全て+1だった。そのためレベルアップで激的にステが伸びることもなさそうだ。



 プレイヤーの生産ジョブのように製作したアイテムよって経験値を得ることも無く、召喚者のレベル上げは戦闘から得る経験値と、クエスト達成で貰える経験値のみのようだ。



 最序盤だからまだいいものの、これは何か手をうたないと不味い。



「やっぱ戦闘用の召喚者を増やしてテラを守ってもらうしかないな……となるとタンク系のスキル持ってるやつが欲しいな」



 その後、テラの鼻水と口周りを拭いて店を出た。そのまま冒険者ギルドへと向かう。

 幾分か人が少なくなっており、クエストボードを見ると、モンスターを一体討伐というクエストがあった。

 そしてすでにクリア扱いになっているようで、受注しギルド職員に話しかけると報酬の100Gと50経験値を貰えた。



「あ、クエスト報酬の経験値は分配されないのか。これは有難い」



 その後NPCからデイリークエスト、ジョブクエスト、NPCから直接依頼されるクエストが解放されたと聞き、グレーラット3匹討伐、薬草3つ採取のクエストを受けてギルドを出た。



「やっぱ最初は地味なクエスト受けてレベル上げするのが1番かなぁ……」



 まぁそれも後1上がれば良い方だろう。



 という訳で、まずは召喚士ギルドに行き、召喚者を職員に見せるというクエスト、★1メダルを3つ納品というクエストもあったがこれはスルーして、街をゆっくり見てまわる用のNPCからのお使いクエストをこなした。



「レベルも3になったし、お使いクエストの副産物の採取素材もそれなりに採れた。採取場所も分かったし、初日1日の成果としては十分か……」



 夜ご飯もテラと一緒に店で食べ、その後はホームでテラと遊びこの日はログアウトすることにした。

読んで頂きありがとうございます。

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