62話 3日目開始
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イベント3日目
まだ慣れない部屋で目覚めたが、昨日の間にイベントがかなり進展したお陰で気分が良い。
昨日、【マジックラフト】から帰ってきた後、すぐに皆を会議室に集めミナトと接触した事や協力関係を築けそうなこと、【転移扉】を製作することを伝えておいた。
その間にテラには【転移扉】と【共有収納箱】を何個か作ってもらい、このあと設置しに行く予定だ。
ログイン報告を済ませた後、召喚者達と暫し戯れる。
プレイヤーが全員が揃ったタイミングで行動開始だ。
俺は育成林へと向かい転移、ユージンの家で待機していると、すぐにミナトもやってきた。
「おはよう!そっちはどんな感じだ?」
「おはようございます。すみません、ゼルさん達をすぐに信用してもらう事は出来なくて、まずは聖獣をなんとかしてから、という結論になりました」
「分かった。【オーガスト】の方は?」
「そちらは今日の朝頃に接触する予定です。その時までに例のアイテムを頂ければ……」
「……分かった…………はは、やっぱりすぐに信用するのは難しいもんだな。俺も未だにちょっと疑ってるよ」
「そうですね。しかし僕達の国はほぼゼルさん達の意見に傾きつつあります。聖獣はその最後の後押しなんです。そうなれば【オーガスト】が何か企んでいたとしても協力して叩き潰せば良いだけです」
なんとミナト達は俺と出会う前に【オーガスト】のプレイヤーとすでに接触していたそうだ。接触したのは1人だけだが、隠密、探索系のジョブだそうで、NPCの監視を掻い潜り単独で【マジックラフト】に潜入してきたそうだ。
しかもその潜入してきたプレイヤーは完全に独断行動で、【オーガスト】がどのように動くかいまいち把握していないようだったらしい。
「又聞きの又聞きになると、やっぱり情報が安定しないな。プレイヤー間の連携くらいサクッと終わらせたいもんだ」
「はは、ですね!」
そんな会話をしている間にユージンの家の一角を借り【転移扉】を設置する。
「これが噂の転移扉ですか!イベントが終わったら僕もお店に買いに行かせてもらいますね」
「へへ、まいどあり!これ、利用出来るのは今のところミナトだけにしてるから、国の方針が固まったらミナト単独で俺達の国に来てくれ。その時にでも扉の利用者設定権は譲渡するよ」
「分かりました。本当に信用を得るのは大変ですね」
「だよなぁ……ゲームとはいえみんな真剣にやってる。いい加減な事をしたくはないからな」
「はい!では、聖獣をなんとか出来たらそっちに向かいますね」
「おう…………それとユージン、こっちの転移扉はダッツの家に繋がってるから、事が上手くいったらユージンも転移扉の利用者に入れてもらって遊びに行けるぞ!」
『ほ、本当ですか!?ありがとうございます』
「NPCも設定出来るとか本当に便利なアイテムですね、コレ」
「ははは、まぁ後は上手くやってくれ!じゃあな」
【ハーヴェスト】に戻り、素材採取や街のお手伝いクエストをこなして暫く過ごしていると、チームチャットでトールというNPCが俺を探している、という書き込みがあり、トールの家に向かうとミナトの姿があった。
トールに礼を述べミナトの話を聞くと、聖獣は八咫鏡を持っているとフルパーティーで聖域に入る事ができ、勝利を収め正気に戻ったあと協力関係になれたと言っていた。
その後、俺はミナトと共に転移扉を使って【マジックラフト】に行き、ユージンの家に待機していた【ネヴィラ】というプレイヤーに会った。
ネヴィラは高身長な女性褐色エルフで、いかにも魔法が得意です、といった感じだ。
「ネヴィラです。【マジックラフト】勢力の代表をさせてもらってます」
「こんにちは、ゼルだ。代表ではないけど転移扉の所有者だ」
非常に面倒臭いが、ネヴィラを転移扉の利用者と設定し再び【ハーヴェスト】へ向かう。
少しすると転移先であるダッツの家にクッコロもやってきた。
ネヴィラもミナトも有名配信者であるクッコロの事を知っているようで、自己紹介もすんなり終わる。
「なぁ、さすがに場所変えて話さないか?ダッツとかトールも迷惑だろうし」
『いえ、お好きに使って頂いて構いませんよ』
俺の言葉にダッツは気にしなくていいと言っていたが、1人や2人ならいざ知らず、NPC2人にプレイヤー4人が集まるとさすがに密度が高い。
『ならば妾の聖域を使うか?あの場所ならばこの地の民は近寄っても来んぞ?』
「良いのか?助かる!」
小さなキツネがクッコロの胸元から顔を出しそう告げる。先に俺が聖域に向かい、予備でいくつか作っておいた転移扉を設置し、【ハーヴェスト】勢力の全プレイヤーとネヴィラ、ミナトを利用者に設定する。
ここで俺はちょっとした検証をする事にした。
転移扉をこんなに多く設置する事が無かった為、この機会を利用して疑問を解消しておきたかったのだ。
今、転移扉は【ダッツの家】、【ユージンの家】、【アマテラスの聖域】に設置している。
【ダッツの家】から【ユージンの家】に転移出来るのは確認しているが、それぞれの家、もしくは聖域からそれぞれの家に転移出来るのかという疑問があった。
扉が対となっており、その間でしか転移出来ない可能性もある。
しかし答えはシステムメッセージの表示という形で知ることが出来た。
【転移先を選択してください】
「思った以上に便利なアイテムだな……」
転移先を選ぶ事が出来る。つまり、転移扉を増やした分だけ移動が楽になり、さらに扉の利用者は個別に設定することも出来るのだ。
【ダッツの家】や【ユージンの家】にプレイヤーが大勢押しかける事態は避けたかった為、【マジックラフト】の領地にもう1つ扉を増やせば、そんな事態も避けられる。
一先ずクッコロ、ネヴィラ、ミナト、アマテラスは聖域に移動し今後の話し合いをしてもらっている間、俺は再び【マジックラフト】に向かう。
ネヴィラがチーム通信を使って俺が行くことは事前に知らせておいてくれたようで、堂々と街を歩く事が出来るようになった。
「おぉー!やっぱり神秘的な場所だな!」
【マジックラフト】は超巨大な木の幹に建物が建ち並び、木の根っこが城壁の役割をしているようだ。
「観光はまた今度だ。素材を受け取って扉を設置しないと」
事前に連絡を受けていたプレイヤーの1人に案内してもらい、使い易い場所を聞いて【転移扉】を設置する。街の中心とはいかないが、空き家となっているボロ小屋を生産ジョブプレイヤーが改修し、簡易拠点として利用している場所だ。
ここには【共有収納箱】も設置する。これでわざわざ出向いて素材を受け取る手間が省け、【共有収納箱】に素材を入れて貰えば全員が利用出来る。
丁度【共有収納箱】を設置し、プレイヤー達に機能の説明を終えた時、システムメッセージが表示された。
【ハーヴェスト、マジックラフト間の同盟設立が確認されました。チーム機能に同盟国が追加されます】
「おぉ!?代表同士の話が纏まったからか?」
今まで【ハーヴェスト】勢力内で使えていたチーム機能が同盟を組んだことで【マジックラフト】のプレイヤー達も交えて使用できるようになった。
イベント進行はとても順調だ!
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