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51話 機械の街へ

 数日経ったある日、ログインすると2つのお知らせが同時に届いた。

 1つはパズからお店の売上報告で、開店してから毎日届いている。これも数日で凄いことになっているのだが、まずはもう1つのお知らせを確認する。



「おっ!?アプデ情報か。どれどれ……」



 確認してみると、近日中に実施されるアプデでは新たな機能【クラン】が実装予定で、さらに新イベントがアプデ前に来るようだ。



 クランはプレイヤー同士の集団で、友達が欲しい人達の緩いものから、徹底攻略を目指したり、目的に沿った集団だ。

 さらにクランに加入しているプレイヤー限定の多人数参加型PvPコンテンツ【クランバトル】も同時に実装が予定されている。



 イベントに関しては二種類のイベントが発表され、1つは前々から告知されていた季節イベントである【手軽に夏を楽しもう】だ。



 このイベントは普段から冒険などをしない全てのプレイヤーが対象で、期間中にログインすると見た目装備となる衣装の【水着】が配布され、【始まりの港】や【アナザーエデン】の海付近で安全に泳いだり、遊んだり出来るお手軽なイベントとなっている。

 夜でも花火や、満腹度に影響しない料理が出される出店が並び、イベント期間中の新規加入者は行動範囲は制限されるが月額利用料がタダになるらしい。



「海とかリアルじゃなかなか行けないし、まさに手軽に夏を満喫出来るイベントだな」



 そしてもう1つのイベントは【一週間イベント・新たな幕開け】だ。


 このイベントに参加すると新たに特設されたフィールドに活動の場を移し、各サーバー最大150名のプレイヤー達が一週間かけてイベントに挑むという、かなりスケールの大きいイベントだ。



 一週間イベント・【新たな幕開け】


【異界の冒険者達が向かった新たな世界に蔓延る問題を解決せよ。貴方は生き残ることが出来るか……】



 こんな触れ込みが綴られ、内容を簡単に纏めると__


 ・特設フィールド内に存在する3つの国に、プレイヤー150人の内50人ずつランダムで分散される。


 ・同じ国所属となったプレイヤー達は【チーム】となり、チームメンバーの誰かが敵を倒すと全員に経験値が入る。


 ・イベント貢献度が存在し、イベント終了時ポイントに換算され報酬と交換出来る。


 こんな感じだ。



「クラン実装と一緒に発表されたイベント……普通に考えると国同士三つ巴の総力戦か?」



 150名のプレイヤーが入り乱れる総力戦……それはそれで面白そうだ。



「さて、次は売上報告…………っうぉぃ、昨日の倍になってるじゃねぇか!……まぁ、かなり客が来てたしなぁ」



 迷惑プレイヤーが掲示板に俺の事を書き込んだことで、すぐにお店のことも広く知れ渡り、かなりの人が集まった。



 人が多く集まることで面倒が起きても対処出来るように、俺も店で待機するようにしていたのだが、予想に反しこれといった問題は起きなかった。



 問題は起きなかったのだが、俺は店で出来ることが無いため外に出て、警戒を兼ねライドの改良をしたりしながら待機していたが、召喚者達も接客などは出来ず、代わりに店の外でやってくる客に愛想を振りまいていた。



 すると次第に獣人達に差し入れを渡して欲しい、俺の召喚者達と触れ合いたい、などというモフモフ、ロリ、ショタ好き達が集まり混沌の空間になっていた。

 ドラが女性プレイヤーを大勢引き連れ、集団移動しているのを見た時は何事かと思ったほどだ。



 数日の間に【転移扉】を新たに商品に加え、フレンド達も訪ねてきてくれた。和気あいあいと過ごすうちにモフモフ好きの【ザッキー】ともフレンドとなり、噂を聞きつけた【キャミー】もやってきてちょっとした騒動もあったが、その時ついでにお店の制服製作を依頼しておいた。



 お揃いの制服を着て、懸命に働いている獣人達がさらに爆発的な人気を呼び、【マジックショップ・プロキオン】は一躍人気のお店となった。



「お店の方は大丈夫そうだし、今日は予定通り【機械の街】を目指そうか!」



【機械の街】へは【冒険の洞窟】を越えればすぐだと、店に来ていたプレイヤー達から教えてもらい、ガンズブレイドも売っているとの事だ。



 早速洞窟へと向かい、奥へと進む。レベリングで何回も来たことがあるため道中は大体把握出来ている。すぐにボス部屋の前にある扉まで辿り着いた。



「皆準備は良いか?……よしっ、行くぞ!!」



 召喚者達が頷いたのを確認し扉に触れる。



 中に入るとお馴染み光のカーテンが引かれ、周囲には卵型でかなり大きめの繭が無数に見える。

 部屋の中央には巨大な蛾のボス、モルフォスLv30がフヨフヨとその場で飛んでいた。



 すぐにセラが範囲魔法【アギト】を使用し、周囲の繭を焼き払う。すると焼けた繭の中から小さな白いイモムシが這い出てきた。



「あ、マジ?あれも敵だったのか……」



 俺も予想だにしなかったセラの行動だったが、繭を焼かれたボスは怒っているのか、鱗粉を撒き散らしながら上下に揺れている。すぐにセラの【属性エンチャント】がボス、俺達に付与され、ドラの【暗黒の腕】がボスへと伸びていく。



 ドラがボスを引きつけてくれている間に、俺とミラでイモムシを全て薙ぎ払う。

 その間、部屋全体に鱗粉が撒き散らされたが、特にデバフなどにかかることもなく、ボスのHPを削っていく。



 最後は俺の新アーツ【ノヴァインパクト】が炸裂しボスの討伐が完了した。



【ノヴァインパクト】は残弾全てを光のエネルギーに変換し、剣に纏わせ強力な一撃を放つアーツだ。

 発動まで少々遅いが高威力のためここぞという時に役に立つ。



「皆お疲れ!!セラは特に大活躍だったな」


『テンキュー』



 セラの範囲魔法、種族スキルのアーツ【祝福】がかなりこのボスには刺さった。お陰でボスも楽々突破だ。



「宝箱は中身は何かなぁ…………指輪、アクセサリーだ!」



 手に入れたのは【連撃の指輪】というアクセサリー。セラの【チェインブレット】と同じ効果を持つ指輪だ。



「連続で攻撃を当てると最大150パーセントまで攻撃力上昇か…………セラに渡しとくか、はい」


『テンキュー』



 効果も重複するようだが、倍率がどうなるかまでは分からない。さすがに300パーセントにはならないと思うが……



「まぁそれは良いとして、さっさと洞窟を抜けよう」



 ボスを討伐した後はモンスターも出現せず、無事洞窟を抜けることが出来た。



 洞窟から出るとすぐに平原が視界いっぱいに広がり、遠くには至る所から煙が立ち昇る街が見える。



 ライドに乗って移動し、街に到着すると例の如くNPCに歓迎され中に入る。



「おぉー、こういう雰囲気好きだ。スチームパンクって言うんだったか?さすが機械の街!」



 街は大きな建物の至る所からゴゥンゴゥンと大きな歯車が動く音がして、たまに蒸気が噴き上がる場所もある。

 NPCの服装も今までの街とは違い、ゴーグルやガスマスクのような物を持っている者が多くいる。



「まずは転移の登録して……っと。あとは武器を探しに行くか」



 ガンズブレイド強撃、速射、砲撃型に加え、セラが使っているクロスレンジも発見した。

 所持金もお店が順調なおかげで少しばかり増えたが買うことはせず、そのまま召喚士ギルドに向かう。



 この街も【天空の街】同様に冒険者ギルドの他に、特定のジョブギルドが存在している。



【天空の街】では【魔法使い】、【僧侶】、魔法系の生産ジョブギルド。


【機械の街】では【狩人】、【召喚士】、機械系の生産ジョブギルド。



【天空の街】では俺に関係あるものがないためギルドを利用出来なかったが、街に分かれてギルドがある分、その街のギルドでしか買えないアイテムなどがあるようだ。



【機械の街】の召喚士ギルドでは【★5武装化】というメダルを購入する事が出来た。

読んで頂きありがとうございます。

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