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49話 早々に強化

ポッキーの日!!!!

 パズ達、獣人達のお店【マジックショップ・プロキオン】が完成したその後、俺が去ろうとすると再度パズに呼び止められ【店の看板】の製作をお願いされた。



 木製の看板を想定し話を進めていたが、木工士のスキルを持つプレイヤーに依頼するのではなく、あくまで"俺"に作って欲しいとの事だった。

 しかし俺は木工のスキルを持っていない為、デザインを決める事は出来るが、それを看板に反映される事が出来ない。

 そのため反映するのは木工スキルを持つプレイヤーに依頼する、という形で製作を引き受けた。



【木の看板】という板のような物だけならテラに作ってもらえるため、その日のうちに作ってもらいログアウト、リアル時間でさらに加工する予定で看板のデザインを考えた。



 翌日ログインし、早速木工スキルを持つプレイヤーにメインメニューのメモ機能に書き写したデザインと共に看板製作を依頼したが、完成は夜になるとのことで、この日は【天空の庭】で夜まで魔剣と魔鎌の製作素材集めを兼ねてレベリングし、初めて【天空の街】に向かう道中と、イベント間に上がったレベルと合わせLv28まで上げる事が出来た。



 その後、完成した看板を受け取って獣人達のお店に向かう。



 獣人達はアイテム販売を開始する準備を終わらせ寛いでいたようだが、俺が行くと皆店の外でわざわざ出迎えてくれた。



 皆に見守られながら完成した看板を店の入口、1番目立つ場所に設置する。



 看板は犬の足跡を模したそこそこ大きな横長のアーチ状で、可愛いフォントの文字を使い【マジックショップ・プロキオン】と店名を綴り、パズ達に似せて自作した子犬のイラスト添えた、デザインとしては少し在り来りな物だが、頑張って考えた看板だ。



「どうだ?気に入ってもらえると良いけど……」


『……すっごく良いよ!!ありがとうゼルさん!!』


『『『ありがとうゼルさん!!!』』』



 パズの言葉の後に他の獣人達からもお礼の言葉が次々と飛んでくる。



「どういたしまして」



 看板の設置が終わり、明日からいよいよ【マジックショップ・プロキオン】が販売を開始する。

 目玉商品の【簡易転移石】は大量に作れないらしく、お一人様1つまでとなるが、獣人達の生活を支える商品になってくれることを祈るばかりだ。



 翌日ログインするとすぐに運営からのシステムメッセージが届き、0時から他のNPCのお店同様に、パズ達のお店も24時間体制でサービスが開始するという旨が綴られていたが、その中にはオーナーの特権なのか、業務時間を変更出来るようになる機能の説明もあった。



「子供が夜勤はダメだろ……皆と相談して営業時間は決めるか」



 まずは俺もやることをやらないといけない。採取を終わらせ、テラに魔剣と魔鎌の製作をしてもらい、出来上がった【鋭い魔剣】と【鋭い魔鎌】をドラとレラに装備させる。



「魔剣の攻撃力が25、魔鎌が27か……初期武器とは攻撃力が倍近く違うな……よしよし」



 ドラとレラの武器を更新し、早速プロキオンに向かう。すると店から出てきたプレイヤーとすれ違った。



「もう客が来てたのか……売れたかな……」



 そんなことを考えながら店に入る。



「おーい、やって……」


『いらっしゃい!!……あれっ!?ゼルくん??』


「ステラっ!?!?なんで??」



 俺が店に入り接客してくれたのは、獣人の子供達ではなく、以前出会ったウサ耳ボクっ娘獣人のステラだ。

 遅れてパズが顔を見せる。



『あ、ゼルさん。商品ちゃんと売れましたよ!!』


「いや、うん……それは良いんだけど……なんでステラがいるんだ?」


『えへへぇ、実はねぇ__』



 話を聞くと、早い話がパズの言っていた"謎の協力者"はアクセル達だったという事だ。アクセル達は旅の傍ら手に入れた素材を馴染みのある街にいる知人に卸しているらしい。



『ゼルさんとステラさん達が知り合いだとは思わなかったよ!ごめんよ黙ってて……』


「そんなこと気にしなくていいよ……それよりステラ、他の皆は?」


『今日来てるのはボクとミラさんだけだよ!マスターとソニアは別の所に行ってる』


「ミラも来てるのか!挨拶くらいはしときたいな」



 ミラは獣人達の作業場を見ているらしく、地下の作業場へと向かう。



 しかしAnotherWorldに限らず、ゲーム内のNPCの店が品切にならない事を当たり前のように受け入れていたが、【アクセル達のような強NPCが素材を卸している】という、ちゃんとした裏設定があったのには驚いた。運営さん、ご苦労様です!



 作業場に入ると獣人達が口々に挨拶を投げかけてくる。そんな中に妖艶黒髪美人のミラが混じっていた。



『やぁ、また会ったな』


「あぁ、わざわざ素材を届けに来てくれてたんだろ?ありがとう」


『なに……素材を届けに来たこともあるが、天空の街に行って事情を聞いた時に、ここにある設備についても耳にしたからな……少し興味があったんだ。勝手だとは思ったが、見るついでに少し手を加えさせてもらった』


「手を加える?……具体的には?」


『"破損"もなくとても状態の良い設備だったからな、経年劣化していた魔力の流れを元に戻すよう手を加えただけだ』



 いまいちピンとこないため、設備の1つを鑑定で見てみると、名称が【古の~】だった物が【英智の~】に変わり、性能が上がっているようだった。



 つまり、ミラが設備をアップグレードしてくれたのだ。



「なにから何まで助かる……ありがとう」


『ふふ、結局はこの道具を使うこの子達次第だ。気にしなくていい』



 うーむ、タイミング的に商品が売れると知り合いのNPCが設備を強化してくれるイベントだったのだろうか……

 確かにアクセル達のイベントは順当にいけばまだ先のイベントだ。俺は段階をすっ飛ばしてアクセル達に会っている為、早い段階で強化イベントが発生したのだろう。



 その後、去っていくミラとステラに皆で礼を言い見送り、獣人達と色々話し合う。

 設備がアップグレードした事により、より多くの商品が作れるようになったようで、【手投げ式魔法爆弾】といった攻撃アイテム、【ポーション・改】などの回復アイテムなどを新たに商品に加えていく。

 さらには魔法関係の装備品なども素材と一緒に卸してもらっているらしく、在庫限りだがそれらも販売する事になった。



「…………出来過ぎで怖いんだけど」


『っ凄いですよゼルさん!!!これでゼルさんにいっぱい恩返し出来そうです!!』



 かなり商品が充実し始め、俺達の不要になった装備なども魔法関係なら商品として出せるらしい。



 ここまでくると、もう獣人達の生活も安泰だろうと思い、営業時間は皆の意見も参考にしたが9時~18時に設定した。



『おいら達もっと働いて役にたてるのに……』


「だからだよ!長く続けるコツは無理をしないこと!何事も程々にだ」



 俺とパズ含む店の代表数名が話し合っていると、地下で作業をしていた獣人があるアイテムを持って駆け込んできた。



『ゼルさん、これ新しい設備で魔道具作ってたら副産物として出来たんだけど、何かの役に立つ?』


「ん?……どれどれ」



 ―カスタムチップ―


 ・魔導機械製作時に使用すると性能向上、条件緩和の効果。パーツ製作の素材にもなる。



「うひょーーー!!!!マジかよ!!!めちゃくちゃ役に立つよ!」


『本当かいっ!?ボク達には使えないからゼルさん持っていってくれよ』


「ホントかっ!?助かる、ありがとう」



 くっ、ふふ……これでライドのあれやこれやが……おっと、つい気持ち悪い笑い方をしてしまったが、【カスタムチップ】は有難く頂くとしよう。



「ホント、出来過ぎなくらい出来過ぎだけど、お店の方は皆に任せるぞ!」


『勿論、任せておくれよ!』



 店が完成したかと思うと強化イベントが発生し、副産物で機工士に役立つアイテムまで手に入るようになった。

 もう1つの世界での生活は順調に進んでいる!!

読んで頂きありがとうございます。

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