表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/88

47話 パズ達の行く末

 モンスターの殲滅が完了したことで俺達が入ってきた扉は開く様になったが、パズ達でも使える出入口を探さなくてはならない。



 一度モンスターの殲滅は完了したが再び出現しないとは限らない。しっかり警戒しながら地上への出入口を探すため周囲の探索を始めたのだが、時折パラパラと天井から砂が落ちてくる。



「まさか崩れたりしないよな……」



 かなり不安になり探索速度を上げ、隅々まで見て回ったのだが新たな出入口となる通路は見つけられずにいた。



「ここが最後の部屋か……だいぶ雰囲気が違うな」



 レラの【地形把握】は内部の詳細までは分からず、見て確かめるしかない。小さな空間として表示されていた場所は部屋になっており、恐らく休憩室と仮眠所だと思われる簡素な部屋になっていた。

 そして最後に訪れた部屋は先程までの部屋とは造りが異なり、壁や天井に至るまで薄い光を帯びている。



 部屋の四隅には淡い光を放つ文字が彫り込まれた柱があり、中央には台座と白く光る球体が浮かんでいる。



「動力室?…………いや、制御室か!」



 恐る恐る近付くと光る球体がパネル状に展開し、見慣れない文字が並ぶ。



「読めないな…………あっ、これは読める」



 見慣れない文字の中に混じり、【設備の固定化を解除しますか?】という文章だけが読み取れた。



「固定化の解除……」



 これには対して俺では答えが出せず、一度地上に戻りパズ達の意見を聞く事にした。というのも、色んな受け取り方が出来るからだ。



 地上に戻り、パズに話しかける。



『そういえば爺ちゃんが、言い伝えによると昔の職人達は設備その物を光に変えて自由に出し入れして、好きな場所に設置する事が出来るって言ってた……』


「俺が作業台をアイテム化する様な感じか……やってみるか?」


『……うんっ!お願いするよ冒険者さん』


「分かった!」



 新しい出入口がなく、設備をアイテム化して持ち運べるなら、あの作業場に固執する必要は無い。再び地下へ移動する。



「さて、上手くいってくれよ」



 制御室にあるパネルを再び起動し、設備の固定化を解除する。

 すると制御室全体から光が失われ、操作パネルとなっていた光の球体から違った光が発せられる。



「これ……採取ポイントと同じ光り方だな」



 採取ポイントと同様の光り方をする光の球体に触れると、予想通りアイテム化出来た。それと同時に四隅にあった柱や台座などが一瞬で消える。



【古の制御装置】


 ・魔道具作りの制御を行う装置。イベント専用アイテム



「イベント専用アイテムか……他の設備も見てみよう」



 部屋を出て大きな空間に戻ると、そこかしこから光が立ち上っている。



「光ってるのは全部アイテム化出来るのか!全部集めて地上に戻ろう!」



 再び隅々まで地下を巡り、取りこぼしがないように設備をアイテム化して地上に戻る。



「ただいまー!」


『おかえり冒険者さん!どうだった?』


「全部の設備をアイテム化して持ってきたぞ。地下は何も無くなったけどな」



 獣人達が自立するための設備は回収出来たが、次の問題はこれをどこに設置するかだ。



「パズ、どこか設備を設置する場所に心当たりはあるか?野ざらしでは長く使えないぞ?」


『ごめんよ……全然ないんだ。大人達も多分知らない』


「うーん、そっか……そもそもお前達、この設備使えるのか?というか、魔道具作れるのか?」



 みんなで地面に輪になって座り込む。

 まずは獣人達が設備を使えるか試しに何個か設置したが、ある程度纏まった設備を同時に設置しないと動作しないようだが一応扱うことは出来るようだ。

 魔道具作りも知識はあり、人間達の手伝いもしていたようで問題ないとのこと。

 この世界の子供は逞しい!



 さらに色々と突っ込んだ話を聞いてみると、獣人の大人達は現状に不満がないようだが、子供達はこの街にいる人間達の裏方として、一生日陰で暮らすのは嫌なのだそうだ。



 出来るなら自立したいと常々訴えてきたらしいが、大人達は手は貸さず、代わりに口出しもしないらしい。現状に不満があるのはここにいる20人ほどの子供達だけのようだ。



 俺が建物を新しく建てるのは簡単なのだが、建築する場所が地下の作業場があった地上部分しかない。

 ここに建ててしまうとスカスカの地下が崩れ、崩落するの危険がある。



 街中に建てようにも土地がないようで、人間達の許可が降りないらしい。



「危険を承知で地下がスカスカのここに建てるか、別の場所……別の街に引っ越すかだな!パズ達はどうしたい?」


『おいら……おいら達は…………ゴメン冒険者さん、少し時間をもらって良いかい?』


「少しなんて遠慮しなくていい。いっぱい話し合っていいぞ」



 そう言ってみたものの、NPCが引越しなんて出来るのだろうか……出来たとしても遥か上空にあるこの街から転移を使わずどうやって連れ出せばいいか方法が思いつかない。



 NPC達は街にある転移装置を使えない。あれは異界の住人であるプレイヤーだからこそ使える物なのだ。



「空飛べるライドとかあれば空輸したり出来るのか?…………あっ!!」



 NPCは街にある転移装置は使えないが、パーティを組めばどうだろうか!

 以前【簡易転移石】を使った際、俺だけでなくパーティを組んでいる召喚者達も転移させる事が出来た。

 パーティを組むことが出来ればNPCでも転移自体は可能なのだ。



『冒険者さん……おいら達、街から出れ……』


「ちょっと待って!……皆悪いけど同化させるぞ」



 話しかけてきたパズの言葉を遮り、召喚者達と同化する。そしてパズにパーティ申請を出してみる。



『これは?……頭の中に文字が浮かんでくるよ!?』


「心配ないから【はい】って念じてみてくれ」


『う、うん…………あっ、なんか色々見える!!』



 このイベント中だからなのかは不明だが、普通の住人であるNPCパズもパーティに入れる事が分かった。



「おぉっ!!これで転移出来るぞ!……出来るよな?」



 街の中心部に戻り、早速転移を試みる。【ホーム】など選択出来ない場所もあるが、【始まりの街】、【冒険者の街】が選択出来た。



「やったな!これでお前たちが街を出たいなら運んでやれるぞ!」


『……うん。でも……』


「この街に残るか?」


『別の場所に行けるなら行きたいけど……冒険者さんは迷惑じゃないのかい?』


「気にするな!で、どこに行きたい?っていっても2つしか選択肢ないけどな」


『ありがとう冒険者さん……この恩は必ず返すよ』



 その後、パズ達獣人の子供達が選んだ【冒険者の街】に数回に分けて転移で移動する。



「この街は土地が買えるけど、パズ達はお金持ってるか?」


『あぅ……ゴメンよ、全然ないんだ。皆のを合わせてもちょっとしかないよ』



 ここにきてこのイベント、物凄くお金がかかる事に気付いた。土地代に子供達の食事代、子供達が作る魔道具の材料費なんかも必要かもしれない。



「まぁ初期投資ってやつになるのかな……俺にメリットはないかもしれないけど……」



 見返りばかり求めても楽しくない。俺がやりたいからやるだけだ。イベントとしては楽しめたし、報酬が経験値だけでも、出費がかさんでも文句はない。何よりパズ達と繋がりが出来た。



 そうと決まればまずは土地だ。冒険者ギルドへ行き、土地購入について聞いてみる。獣人達は外から見える位置に待機してもらい、パズにはついてきてもらった。



 冒険者の街は自由に建築が出来る性質上、一等地などを巡る争いを回避するため、複数のサーバーが存在するらしい。

 気に入った土地を先に購入されたとしても、サーバーを跨ぐことで同じ場所の土地を利用出来るようだ。



『中心地からは外れても良いから、広い土地ですか……それだと5万Gで良い場所がありますよ』


「安いな……足りないけど」



 もっと数十万~数百万くらいかかると思ったが意外と安い。しかし手持ちは約2万しかないため素材を売り、再び冒険者ギルドを訪れ土地を購入した。



「俺が持ってる素材じゃそんなに金にはならないか。まぁ土地代には足りたし、素材はまた集めれば問題ないな!」


『ゴメンよ冒険者さん……おいら達、やっぱり迷惑だよね』


「もう土地は買ったんだ!迷惑も何もないだろ!……それより見えてきたぞ?……いい所だな」



 中心地から歩いて15分ほどかかるが、木々と小川がある景色が綺麗な場所だ。本来は第2拠点などに活用するような場所なのだろう。



 俺はここに獣人NPC達の拠点を構えることにした。

読んで頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ