42話 リスタート
昨日は極度の緊張が続いて疲れていたのか、俺のジョブ、ミラ、セラを進化させ、ろくに確認もせずログアウトしてしまった。
皆と挨拶を交わした後、家を出て草原に座り込み自分のステータスを確認してみる。
―ゼル―
Lv:1
種類:人間
ジョブ:新星(召喚士)
サブジョブ:機工士
HP:50/50
MP:40/40
筋力:25
耐久:20
敏捷:25
器用:35
魔力:20
―エクストラスキル―
・飛天
―スキル―
・新星術Lv4
・機工術Lv4
―アーツ―
・「新星術」:【封印Lv3】・【召喚者の魂】・【ダブルホイールLv8】・【連続斬りLv6】・【魔装Lv4】・【フルバーストLv4】・【ノヴァインパクトLv1】
・「機工術」:【精密作業Lv3】
―召喚者の魂―
・パーティ内の召喚者の数による経験値減少が無くなり、召喚者達と意思疎通が容易になる。
・召喚者はプレイヤーが得る経験値を獲得し、非戦闘時にはホーム以外で入れ替えが可能になる。
・パーティに居ない召喚者は指示がない場合、プレイヤーと同化し、プレイヤーと意識の共有が可能になる。
―ノヴァインパクト―
・ガンズブレイドの特殊アクションの効果が上昇。
・単体に大ダメージを与える。
「改めて見るとステータスは初期の頃の2倍以上の数値になって、ヤバいぐらい強くなってるな」
俺が強くなったこと以上に嬉しいのが召喚者関連の事だ。
俺が得た経験値と同じ経験値を、召喚者それぞれが得る事が出来る様になり、テイマー程自由に入れ替えは出来ないが、入れ替えも可能になった。
俺と同化させる事で1人寂しく留守番をさせる必要もないし、何より嬉しいのが経験値減少が無くなった事で気兼ねなく召喚者を増やせるようになった事だ。
「レベリングも楽になるはずだし、メダルが集まったらどんどん召喚者を増やしていけるな!」
そうなると、戦闘に特化した召喚者を増やし、戦闘フルパーティを作りたい。
「とにかく日課を終わらせたらフィールドに出て色々確認してみるか!」
そんな事を口にした瞬間、テラがズボンをクイクイと引っ張りクラフターの書を見せてくる。
「んっ?なん……【中級万能調理台】?…………あっ、ゴーレム!……忘れてた」
ゴーレムだけじゃなく、クエストアイテムの【月華の雫】も渡してないし、アルカナの鍵の鑑定もまだだった。
「まずはゴーレムだな。テラ、さっきの調理台は作れる?」
コク
「よしっ!じゃ早速作ってくれ」
テラには【中級万能調理台】の製作を頼み、俺はインベントリからゴーレムとコアを取り出し、ゴーレムの胸に空いた穴にコアを嵌め込む。
ブゥゥンという起動音と共に、丸い頭部に丸い2つの光が点灯し、体がふわりと宙に浮く。
『…………』
「おはよう!」
『…………』
何もリアクションが無いな……とりあえず調理台が出来たら料理頼んでみようかな。
「アクセルの説明だと、俺の知ってる料理は素材があれば作れるんだよな……ソニアのビーフシチューも多分作れるよな」
テラから出来上がった【中級万能調理台】を受け取り、家のすぐ近くに設置する。
「ソニアのビーフシチュー作れるか?」
『…………』
ゴーレムは相変わらずリアクションは無いが、作業に入ったため、きっと作れるのだろう。
「食材はここに置いとくぞ?…………あとはテーブルにイスもいるな。テラ、頼めるか?」
家の中にあるテーブルは小さくて、とても皆が食事出来るスペースが確保出来ない。せっかくなので新しい物をテラに作ってもらう。
「いよいよ拠点の改築が必要になってきたな…………あぁ、ライドもガレージも改良したいし、新しいヤツも作りたい。やりたいことが多すぎるぅ」
とりあえずクエストの報告と、レベル上げと、それから……
俺が頭を悩ませていると、すぐにいい匂いが漂ってくる。
「とりあえず飯だ!」
新しいテーブルとイスも完成し、ゴーレムがテーブルに鍋を運んでくる。
取り分けもしてくれるようで、木の器にビーフシチューがよそわれ、皆に配られる。
「いただきまーす!」
味も見事に再現されており、皆で食べるとシチューも一瞬で無くなった。
ゴーレムに皆で礼をいい、その後の予定を考えつつゴーレムの行動を見ていたが、洗い物が済むとピタッと動きを止め微動だにしなくなった。
「はは、ホントに料理関係以外は何もしないんだな」
置物と貸したゴーレムに留守番を頼み、ホームを出て港に向かう。
「おっ!?いいタイミングだな。ゆっくり船旅と行こう!」
まずは豪華客船に乗り、娯楽の街に向かいクエストを完了させる。
豪華客船は外装だけでなく内部も煌びやかで、金持ち気分が味わえた。
NPCに【月華の雫】を渡し、特に変わったことも無くクエストが完了、報酬の経験値でレベルが全員2に上がった。
少々怖かったがそのまま谷に向かいカメを狩る。
1匹狩る毎にレベルが上がり、数匹倒すとLv10になった。
「やっっばいな!召喚士以外のプレイヤーってこんな速度でレベル上がってたのか……」
朝まで狩りを続けLv15になり、1度街に戻って素材を売り、今度はアルカナじいさんの小屋に向かう。
そして5万Gを支払い鍵を鑑定してもらう。
『これは「花天月地の鍵」じゃな。ほれ』
「花天月地ってなんだ……」
『自分の目で確かめてこんか!』
受け取った鍵を錠に挿し込み、扉が開かれる。
「……………………」
目を開いた瞬間、飛び込んできた美しすぎる景色に言葉が出なかった。
青白く光る満月に照らされた世界は、草原の半分程の広さしかないが、世界を取り囲むように満開の桜が立ち並んでいる。
中央には広く円形に開けた場所があり、そこには時代劇に出てくるような豪華な着物を着たNPCが夜空を見上げている。
『こちらへ』
立ち尽くしていた俺にNPCの透き通るような声が届く。警戒心など一切忘れ、吸い込まれるようにNPCの隣に立った。
『綺麗でしょ?』
「うん、めっちゃ綺麗……」
『少しの間、一緒にこの景色を楽しみましょう』
空を見れば満月と煌めく星々。流れ星が必ずどこかで流ている。
視線を落とせば月明かりに照らされた満開の桜と、風に舞う花びら。どこを見ても絵になる景色だ。
それからはただ沈黙が流れ、どれくらいの時間が経ったか分からないがNPCが静かに口を開く。
『大事にしてくださいね』
「えっ……」
NPCはそれだけ告げると光の粒に変わり、その粒が錠に変わる。
「ぞんざいに扱う方が無理だろ……」
この景色が収縮したアルカナを手に、アルカナじいさんの小屋に戻る。
アルカナじいさんも俺からアルカナを受け取ると静かに眺めていた。
『うむ!また鍵を見つけたら訪ねてこい』
浮ついた気分を落ち着かせてくれるとても神秘的なアルカナを手に入れ、俺はこの花天月地のアルカナに本拠点を構える事にした。
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