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41.5話 その頃、運営では

慣れない別視点の話、現実的な内容になりますが、なるだけおかしくないようにしました。優しい目で見てください。

 ―運営会社・休憩室―



「久保さん、久保さん!大変です!!!」


「……山崎、今休憩中だから良いけど、会社では主任って呼べって前に言ったよな?……飯くらいゆっくり食わせてくれよ。…………で、何だ?」


「す、すみません。いえ、それより昨日、久保さんが発案したクエストをクリアしたプレイヤーが出ました」


「お助けゴーレム獲得のイベントだよな?そんなに慌てることか?」


「違います!そのクエストに組み込んだジョブ進化のクエストです!」


「あぁー、高い難易度に!って案は出したけど、細かい調整したのはお前だろ?どんな条件にしたんだ?」


「これ資料です」


 ・1、ユニークモンスター累計10体に討伐以外での勝利。


 ・2、1を満たした状態かつレベル15~20で、ユニークモンスター、イアイタチに勝利。


 ・3、遭遇したNPCアクセル、ステラ、ソニアとの会話で好感度が上昇する返答をする。


 ・4、ユニークモンスター、モモチューに勝利。


 ・5、4を満たした状態で、NPCミラが落としたアイテムを拾った当日に届ける。


 ・6、NPCアクセル、ミラ、ステラ、ソニアに勝利。



「えっ?レベル15~20であのNPCに勝ったプレイヤーが居るって事?」


「そうですよ!本来、あのお助けゴーレム獲得イベントはレベル45~50を想定して作ってますし、それでもソロでNPCアクセルに勝つのは相当難しいはずです。自分も未だに勝てませんし……」


「ハハッ、お前は下手だからな。だけどクリアが出来ない様な調整はしてないだろ。これはこのイベントだけじゃなくて、全てそうしてるはずだよな?さすがにサービス開始から2ヶ月余りでクリアしたのは驚きだけど、1人や2人出てくるだろ」


「それはそうなんですが、クリアしたプレイヤーが問題なんですよ!クリアしたのはチート騒動に巻き込んでしまったゼルっていうプレイヤーなんです」


「おぉ、彼か!俺も謝罪した時に会ったよ…………はぁ、なるほどな」


「まだチート騒動からそれほど経っていません。そんな中、騒動の渦中にいたプレイヤーが強ジョブになっていたら、運営が何らかの褒賞を与えたと、大勢のプレイヤーから不満が出ませんか?」


「だからな山崎、俺たち運営はユーザーに媚びる必要は無いんだよ。何もやましい事は俺達運営も、桜木君も無いはずだ。それは確認してるんだろ?」


「は、はい。それより久保さん、他に誰もいないとはいえ、一応ユーザーの個人情報は……」


「分かってるよ。それで、やましい事が無いのにどうして俺達が不満を口にするユーザーに優しく接する必要がある?」


「そ、それはそうなんですけど…………でも」


「じゃあどうする?企画構成をよそに変わってもらって運営業務を丸投げするか?せっかく俺達が目指したゲームを最高の形で作れるのに」


「い、いえ…………すみません」


「お前はちょっと休暇とれ!来月からイベントが始まるんだ。その時までに色々くだらん考えが詰まった頭スッキリさせてこい」


「……でも、もし不満が出た場合、どうするんですか?」


「ありのまま伝えれば良いだろ?不正もないし、運営の関与もない。それでもゴネる奴は突っぱねろ」


「準備はすぐにしておきますが……ゼル君が獲得したジョブの修正とかは……」


「ある訳ねぇだろ!!いちいち修正入れないように毎日皆で頑張ってんだろうが!それに今修正なんかしてみろ。どんな条件だったのか開示しないと不満を口にするプレイヤーは納得しないだろうし、条件を開示したら傾向を掴まれる。そうなると今後発生するジョブ進化のイベント関係は条件全部見直しだぞ?プレイヤー達が自分達で条件を発見するのと、運営から出された条件を参考にプレイするのはまるで違う!」


「…………分かりました。すみません!」


「おぅ!……で、桜木君はどんなジョブに進化したんだ?確か初期は召喚士だったよな?」


「はい、詳しくはまだ分かりませんが、恐らく完結型か強化発展型に進化して、プレイ内容によってステータス、スキル、アーツが変化していると思います」


「ふーーむ、まぁそれだけ難易度の高いイベントをクリアしたから相応のジョブにはなるか……」


「恐らく召喚士の中でもトップクラスのジョブにはなるかと……」


「はは、そりゃ楽しみだ」


「色々準備したジョブ進化のイベントの内、まさか最上級クラスをクリアされるとは……」


「まぁ単純な強さだけでクリアは出来ない内容だしなぁ」


「はい……」


「ま、一個人の強ジョブがゲーム崩壊を招く調整はしてないんだ!成り行きを楽しもうぜ」


「はい……休暇中、俺もやろうかな」


「ははは、俺も出来ればやりたいなぁ!やっぱ俺達運営がやりたいと思えるようなゲームにしないと、ユーザーも楽しめないよなぁ!」


「ですね!」


「はぁ……飯、また温めねぇと」


「食事中に失礼しました。では自分はこれで失礼します」


「おう…………はぁ、俺もやりてぇ!!!!」

読んで頂きありがとうございます。

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