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35話 ソロ活動

 レベル上げの日々を過ごしていた最中、以前知り合った召喚士仲間の【ポッコリ下心】から有難い情報が届いた。



「これで進化の宝玉の入手方法はほぼ確定だな」



 それは進化の宝玉に関しての情報だ。

 以前、冒険の街に俺1人で出掛けた際、ミラとセラからは進化の宝玉が入手出来なかった。



 単純にパーティから外すだけではダメなようで、召喚士仲間との情報をもとに色々と試したが、今回ほぼ確定となる情報と共に、他の情報も貰っている。




 ・進化の宝玉は、経験値取得限界の状態で、隠れステータスである【信頼度】が一定以上の時、累計12時間以上別行動を行うと入手出来る。



 ・成長タイプの召喚者は【成長】によって種族は変化しないが、最初から種族スキルが解放されている。



 ・ユニークモンスターズンドコから貰えるメダルは★8種族で、どんな種族かはランダム。



 あとはメダルに関しても【水++】【風++】【融合】を合成すると【嵐】のユニークメダルになるといった情報も貰っている。



「こうなるとミラとセラの進化を優先してレベル上げるべきかな……」



 ロックタートルは俺1人でも単体なら倒せる。そこにミラとセラが加わればもっと楽に倒せるし、経験値も集中的に稼げる。



 留守番をしてもらう事になる召喚者達も、遊び道具はいっぱい用意した為、暇を潰すことは出来るだろう。



 俺はなるべく召喚者を留守番させたくない。

 小さな子供を家に残すようで、可哀想だとか、心配だといった感情が込み上げてくるのだ。完全に俺の思い込みで、召喚者達は何も思っていないようではあるが……



「マジでAIが優秀過ぎるんだよなぁ……」



 子育てってこんな感じなのだろうか……



 しかし、やらねばなるまい!



 この日テラ、レラ、ドラには留守番をしてもらい、ミラ、セラと共にレベリングを行う。



 夜の間は荒地で、日中は谷でカメ狩りをし順調にレベルが上がっていく。

 そして翌日の昼前に2人のレベルが20になり経験値が入らなくなった為、1度ホームに戻る。



 信頼度が規定の数値になっていれば、ここからミラ、セラとは12時間別行動をすることで進化の宝玉が手に入る。



「皆、留守番よろしくな!」



 ここから半日はソロで活動しようと思う。

 というのも、以前ライドに乗って通り過ぎただけのフィールド、【荒れた大地】を死ぬ覚悟で探索してみようと思い付いたのだ。



 死ぬ事を視野に入れている為、無駄に召喚者達を巻き込みたくないし、戦闘をする予定もない。あくまで探索だ。



 ライドに乗って橋を渡り、強敵に怯えながらフィールドを進む。



「あれだ!」



 まず向かったのは、以前来た時に見つけたユニークモンスターの居た場所だ。

 その時はじっくり観察する余裕もなかったが、ユニークモンスターはイタチのような姿で着物を纏い、腰にカタナを帯びている。そして平で背が低く僅かに光る岩の上に胡座を組んで座っていた。

 周囲に障害物はなく、ユニークモンスター以外のモンスターは何故か近寄って来ない。



 ライドは送還せず、そのまま放置し、鑑定出来る距離まで近寄ってみる。



 ―イアイタチ―

 Lv????



「い……」



 ユニークモンスターの名前を口に出そうとした瞬間、何か違和感を感じたと同時に、全快だった俺のHPが残り1になっていた。



 すぐに後方に飛び退き、回復アイテムを使用する。



「マジかよ……」



 ユニークモンスター、イアイタチは近寄る者には居合切りで攻撃してくるようだ。



「光る岩の正体を確かめるには、居合切りを躱して近寄れってことか…………もう1回だけ……」



 HPを全回復し、かなり集中してジリジリと近寄ってみる。



(あと少しでも踏み込んだら居合切りがくるな……)



 イアイタチまで距離はおよそ15メートル。ふざけた間合いだ。



(1発貰うのは覚悟して、攻撃範囲と次の一撃がどれくらいの間隔でくるかだな……)



 全ロスしても良いように装備、素材などは収納箱に預けている。装備しているのは初級万能武器のガンズブレイド、持っているのは回復アイテムくらいだが、全ロスにライドが含まれると泣けるので送還しておいた。



 意を決して突っ込んでみる。



 最初の一撃は躱せなかったが、カタナを鞘に戻す動作が必要なようで、連撃はないようだ。



 ほとんど勘で空中に飛んで2撃目を躱し、そのまま空中を移動し距離を詰めるが、次の一撃で仕留められた。



(これ……全ロス確定か?)



 死んだら即座にその場で復帰すると聞いていたが、実際には数秒のインターバルがある。

 そのインターバル中に考え事をしていたのだが、復帰後、意外にもイアイタチは攻撃の構えこそ見せていたが、居合切りが飛んでくることは無かった。



 そのままゆっくり距離をとる。



「ふぅ…………さすがにあのまま近寄ったら、バッサリやられてたよな」



 その後もデスペナルティーのデバフが消えるまで大人しく待機し、消えたら突撃を繰り返した。



 そして夕方になり、何回も死にながら最初の一撃は毎回躱せないが、色々と分かった事があった。



 イアイタチの攻撃範囲は恐らく、視界に映る居合切りの軌道上の全て、そして俺が横の動きをすると横薙ぎの居合切り、縦の動きをすると直角軌道の居合切りとなり、1、2の、3くらいの間隔で居合切りを放ってくる。



「タイミングゲーだな。縦の動きで縦切りを誘って、それを避けて近付く。これだな!」



 俺は縦、横の動きを交互にして、合間に距離を詰めていけば良い。



「回復ももうないし、これが最後かな」



 最初の一撃は確定で被弾する可能性もあるため、避けることは諦め、一気に距離を詰める。



(1、2の、3!!)



 特殊アクションで一気に空中に上がり、連続で特殊アクションを使って距離を詰める。

 空中で横移動をした為、次は空中に横薙ぎがくる。それを下方向に移動し躱して、さらに距離を詰める。



 最後はイアイタチを追い越すよう背後に移動し、イアイタチに手を伸ばし触れる。



(あ……)



 何故か咄嗟に触れることで勝ちだと思い込み、思わず触れてしまった。



『お見事!!次、相見える時、さらに鋭さを増した居合をご覧に入れましょう。さらば!』



 そう言い残し、イアイタチは周囲の風を、マントで自身を覆い隠すかのように纏い、消えていった。



「ふぅ…………次もあるのか」



 イアイタチからは何も貰えなかったが、イアイタチの居た岩には窪みがあり、そこにアイテムが隠されていた。



「鍵か…………アルカナかな」



 ここはモンスターが寄ってこないことを利用し、HPを自然回復させる為じっと待機する。



「タイミングが分かってるならジャストガードとかパリィでも良かったのか?……って、今更遅いか」



 半分程回復しライドを転送、そのまま始まりの街へと引き返し、アルカナじいさんの小屋へと向かい鑑定してもらう。



『ふむ…………この鍵だと5万Gは頂くとしようか』


「……金無かったーーーーー!!!!出直します!」



 レベリングで得た金も1万ほど。素材を売れば足りるかもしれないが、今回はお預けだ。



 その後もログアウト時間ギリギリまで1人街をぶらついて時間を潰し、24時になる10分前にホームに戻る。



「ただいまー!」



 一斉に家から飛び出し、飛びついてくる召喚者達を受け止めつつ、しっかりとミラ、セラから【進化の宝玉】を受け取る事が出来た。

読んで頂きありがとうございます。

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