表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/88

34話 ゲーム内のもう1つの世界

「ここはまだ来たくなかったなぁ……」



 事の始まりは昨夜、装備を一新し終わった後、いつもの様に始まりの街に夜ご飯を食べに出かけた時の事だ。



 食事を終えると、ウェイトレスをしているNPCから話しかけられクエストが発生した。

 食事の回数か、一定料金分の食事をしたことがクエスト発生の引き金になったと思われるが、クエストの内容は簡単なもので【冒険の街にいる知人に届け物をしてほしい】といったものだ。



 転送を使えば簡単に終わると思い引き受け、ログアウト時間も迫っていた為、翌日である今日、マップに印された場所にいるNPCに、無事届け物をしてクエストは完了したのだが、そのNPCからさらにクエストを依頼された。



『これを娯楽の街で働いている友人に届けて欲しい』



【娯楽の街】は第2の街の東にある街で、ゲームAnotherWorld内のアナザーワールド、もう1つの世界と例えられるほど一風変わった場所だ。



 というのも、このゲームがいくらゲームジャンル全部盛りを謳っていても、MMORPGを主体に進む以上、ゲームシステムに組み込めないジャンルが少なからず出てくる。



 それを丸ごと解決するのがここ、娯楽の街【アナザーエデン】だ。



 カジノや卓上ゲームに始まり、スポーツやカードゲーム、思い付く限りのゲームが全てここで楽しめるようになっている。



 特にトレーディングカードに対して力の入れようは凄まじく、すでにリアルで同カードゲーム、それに使用するカードが販売されている程で、さらに娯楽の街ではそのカードの絵柄が立体化、迫力ある戦いが繰り広げられ、このカードゲーム目当てでログインするプレイヤーも、先行プレイの現状でさえ少なくない。



 たまにはゲームだけでなく、1人で静かに読書などの娯楽に興じたいプレイヤーに向け完全個室も完備、冒険は興味ないが、色んな遊びをしたい子供から老人まで楽しめる、超巨大アミューズメントパークとなっているのだ。



 しかしまだ先行プレイの段階だ。数日後には全面展開されることに合わせ、解放されていない機能なども存在する。



 その1つが豪華客船だ。



 娯楽の街と始まりの街を繋ぎ、全面展開後に航行するようになり、新規プレイヤーもすぐに娯楽の街へ直行出来るようになる。



「初めては豪華客船に乗って来たかったんだけどなぁ」



 そんな些細な理由から、俺はここにまだ来たくなかったのだが、クエストの為ライドに乗って到着したのだ。

 資金が少ない現状で娯楽の誘惑に負けると、今日のご飯代も無くなってしまいそうだ。



「よしっ!クエスト以外は無視していくぞ!」



 海上に建てられた巨大な施設は、1つの街といって良いほどの賑わいを見せ、かなり多くのプレイヤーがいる。



 そしてやはりカードゲームは凄まじい盛り上がりを見せている。そんなプレイヤー達を横目にクエストに関係するNPCを探す。



「皆で遊べるボードゲームあとで買うから、我慢してくれ!」



 NPCを見付けるまでの間に、召喚者達が色々と遊びたそうに訴えかけてくるため、誘惑に負けそうになりながらも、クエストを優先する。



 そしてやっとの思いでNPCを見つけ出し、届け物を渡してクエストを完了したのだが……



『実は、私からも依頼したいことがあるのですが……』


「まだ続くのか…………なんだ?」


『はい、異界の冒険者である貴方には不要な物だと思いますが、届けてくれたこのアイテムは今度行く予定の【天空の街】に行く際に必要な物なのです。ですが、もう1つ必要な物があるのです……』


「それを手に入れて持って来て欲しいと?」



 今まで新しいフィールドや街に行く為に、NPCからのヒントや直接的な情報などはほとんどなかった。



 始まりの街周辺はβテストで公開されていたり、チュートリアル的な要素が多く、好きにプレイ出来るように、次に進む為のゲーム内指示はなかった。



 しかし第2の街である冒険の街周辺は、それなりにゲームをプレイしていないと敵の難易度的にも厳しく、事前情報などもないため、足止めをくらうプレイヤーも多い。



 これから先に進むためには、NPC達から情報を集めることも重要になってくる。



 そんな情報の1つがこのクエストだろう。



「天空の街か……」



 NPCからの情報によると、冒険の街の北にある山を境にして、3つの土地に繋がっているらしい。



 1つは山正面にある洞窟ダンジョンを抜け辿り着ける街。



 もう1つは山の西にある登山ルートを通り、辿り着く天空の街。



 もう1つは山の東にある、強風が吹く谷を通り抜けて辿り着く場所。



 谷に関して強風で近寄れず、NPCも詳しく知らないらしい。



「なるほど…………確かにこのクエスト受けないと登山ルートがあるなんて分からなかったな」



 ゲーム内掲示板などを見れば分かるかもしれない情報ではあるが、あまりネタバレになるような情報は見たくない。



 クエストを受け、【月華の雫】というアイテムを手に入れ譲って欲しいとの事なので、そのアイテムが手に入る【冒険の森】のさらに奥にある【月光の湖】というフィールドを教えてもらった。



『私も天空の街には休暇がとれた時に向かおうと思っているので、期限は定めていません。暇がある時に依頼のアイテムを持ってきてくだされば結構ですので』


「了解!」


『それと、これは杞憂になるかもしれないのですが、最近湖に得体のしれない何かが姿を現したと、お客様方が話しているのを耳にしました。どうか、十分にお気をつけ下さい』


「分かった!ありがとう」



 期限が無いのは助かる。森の敵すら危うい現状だと湖に辿り着けない可能性があった。

 期限がないならば、レベルを上げつつ湖を目指すことも出来る。

 しかし得体のしれない何か……か。



「よしっ!まずはレベル上げにいこ……」



 張り切ってその場を後にしようとしたが、召喚者達に足を掴まれ、じっと見つめられる。



「その前にボードゲーム買わなくちゃな!忘れてないぞ!」



 リバーシやトランプ、ボードゲームを色々買い込み、1度ホームに戻って預けた後、レベル上げのため一先ず冒険の平原に向かう。



 ここではホワイトの名がついた既存の動物型モンスターに加え、ゴブリンなどが出現する。レベルは荒地と同等か少し高いくらいだが、敵のAIが優秀で攻撃が多彩だ。

 2体くらい同時なら勝つことは出来るが、レベル上げ的にはあまり美味しくない。



「俺達に合ったレベリング相手を探そう」



 色々とフィールドを巡り、見つけた1番美味しい敵は、谷の入口付近にいるロックタートルというモンスターだ。谷は奥に進むと強風で進めないが、入口付近は風の影響が殆どない。



 以前ボスとして出現したロックロックタートルに動きが似ており、Lv25で防御力が高くHPも多いがそれだけだ。動きも遅く、単体なら俺1人でなんとかなる。



「良いカモを見つけたな!カメだけど…………前もこんなこと言ってた気がするな」



 しばらくはこのカメのお世話になりそうだ。

読んで頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ