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29話 悪魔と天使

 ヒーラーのミラ、アタッカーのセラが加わり、より一層賑やかになった。



「2人とも衣装は翼が干渉してるから早々になんとかしてやらないと……後は武器と防具だな」



 元気に遊んでいる召喚者達を全員呼び寄せる。



「しゅ〜ごう〜!!…………みんな輪になって座ってくれ」



 ミラはすぐに打ち解けて、それどころか1歩下がったところから皆を見守っているお姉さんのような立ち振る舞いをしていた。



 一方、セラも気だるげな態度が少し不安だったが、皆と変わらず遊んでいる様子を見るに、感情を表に出すのが少し苦手なのだという印象を受けた。



「とりあえずは先にミラとセラの武器を決めよう。そのあとホームの採取したりするからな。まずはミラ、好きなの選んで」



 初級万能武器からミラが選んだのは【魔鎌】だ。



「お、おぅ……またイメージにピッタリの武器選んだな」



 魔鎌は魔法剣と同様に、筋力ではなく魔力が武器攻撃力に影響し、範囲攻撃が得意な大型の両手持ち武器だ。



 魔法で鎌の刃を生成するという設定の為、武器を納めている状態では長い杖のようにしか見えないが、戦闘時には半透明の光の刃が現れる、厨二心をくすぐる格好良い武器だ。



「ふむふむ、ミラは魔力が高いし、ヒーラーは雑魚に囲まれると厄介だしな。纏めて薙ぎ払える魔鎌は相性が良さそうだ」



 次にセラに選んでもらったのだが、これまたクセの強い武器を選んだ。



「クロスレンジか…………うーーん」



 この【クロスレンジ】という武器は銃の1種なのだが、左右それぞれに持ち、ギミックが搭載された2丁1対の武器で、それぞれが通常の片手銃より大きいのが特徴だ。



 中距離ではダダダっと3連射が出来るライフル、近距離では銃身が上下に展開、変形しショットガンに、遠距離では左右の武器を合体し、超距離ライフルに変わる。というロマン溢れるギミックを搭載している。



 しかし、このクロスレンジもガンズブレイド2と同様に、変形ギミックのせいで操作がややこしく、扱いがかなり難しい武器だ。



 さらに通常のライフル、ショットガン、スナイパーライフルには威力が劣るため、ギミックを使いこなせないと器用貧乏になってしまう。



 しかし裏を返し、使いこなせれば状況に応じて戦闘スタイルを変えれるため非常に強い。



「俺がクロスレンジ使った時は酷い有様だったけど、もしかしてセラは上手く使えるのかな……」



 例えば格闘ゲームで難しいコマンドの技を連発してくるCPU的な感じで、NPCであればPSとは関係ないギミックでの複雑な操作は可能なのかもしれない。



「だとすればかなり心強いな」



 しかし……ドラゴンがアイテムを製作し、ラミアが素材を集め、ヴァンパイアが皆を護り、悪魔が皆を癒し、天使が嬉嬉として銃を乱射するパーティか…………良いね!最高だ!



「フルパーティ完成だな!なかなかバランス良く纏まったし、パーティ単位でみれば結構強いよな」



 俺を召喚士単体で見ると確かに弱いが、パーティで見ればかなり完成しているように思える。

 ミラとセラの実力次第では冒険も捗りそうだ。



「よしっ!まずは採取を終わらせて、その後ミラとセラの実力をみせてもらおう!」



 ホームにある採取ポイントを巡り採取をしていくが、レラもスキルがランクアップしたことで採取物の数が増え、特に鉱石類は貴重な銀が結構採れた。



「ミラとセラの実力を見た後はレベルも少し上げたいしな……3人には悪いけど、お留守番しててくれ」



 召喚士の経験値減少はパーティにいる召喚者の数で決まる。

 その為、パーティにいる召喚者を3人までにすれば経験値減少はないが、機会もなかったし、なにより誰もいないホームで留守番させるのが忍びなかった。



 成長しテラもレベルは上がるようになったが、今回はレラ、ドラと共にお留守番してもらう。



「じゃお昼くらいには戻ってくるから留守番よろしくな!」



 手を振りながら見送ってくれる召喚者達に後ろ髪を引かれる思いだが、ミラとセラを連れ、まずは街に出た。



「せっかくだし依頼も見ておこうかな」



 冒険者ギルドに行き、クエストボードから討伐系の依頼を受ける。

 そして、隣にあるもう1つのクエストボードも覗く。



 このクエストボードは冒険者ギルドからの依頼ではなく、プレイヤーからの依頼が貼り出されているボードだ。



「素材の納品、レベル上げのお供、戦闘指南まであるのか……」



 色々見ていると1つの依頼が目に止まる。



「衣装のモデル募集?…………依頼主は……キャミーか!後で行ってみるか」



 とりあえず受けれるだけの依頼を受け、平原に出た。

 そしてラットLv4でミラとセラの実力を確かめる。



「まずはセラ。あいつをやっつけてくれ!」


 コク



 静かに頷くセラは、ラットから一定の距離を保ったまま、アクロバットな動きで撹乱しつつ中距離武器のライフルを連射する。

 そして翼があるためか空中での滞空時間もやや長く、空中で側転しなから投石を軽く躱し、一気に距離を詰めショットガンをぶっぱなした。



「…………つよ」



 俺はミラと一緒に離れて見ていたが、まさに瞬殺だった。

 俺たちのもとに帰ってくるセラも武器をクルクルと回し余裕を見せている。



「いや、確かに低レベル帯は遠距離攻撃が無双するからな。それでもピーキーなクロスレンジを使いこなせるのはお見事だけど」



 ちなみに経験値はミラとセラに分配している。



 その後も全属性魔法術のアーツ【スフィア】を使って貰ったが、球体を作り出しダメージを与え、このアーツ1つで全属性切り替えができる。



 いちいち火や水、光などといった個別にアーツのレベルを上げる必要もないため、かなり臨機応変に戦えそうだ。



 さらにエンチャントだ。



 使えるアーツは【属性エンチャント】なのだが、説明文には"対象"に属性を付与すると書かれている。



「セラ、俺に火の属性をエンチャント出来る?」



 それを聞いたセラは手のひらを俺に向ける。

 瞬時に俺の周りには炎のようなオーラが纏われた。



「マジでぶっ壊れだな……」



 遠距離アーツのように対象に狙いを定める必要がなく、味方にも属性が付与出来る。



 流石に敵に対しては失敗することもあったが、敵に火属性などを付与し、俺たちには敵の弱点となる水属性をかけ攻める事も可能だ。



 まだ空は暗いためガイコツにも出会ったが、俺も加わり瞬殺出来た。



 朝になる頃にはLv5になり、セラがさらにぶっ壊れる。



 新しく【魔撃エンチャント】というアーツを覚え、攻撃に魔力による攻撃力が加算出来るようになった。

 こちらは自身のみが対象のため俺達に使用することは出来ないが、元々の攻撃力に魔力から換算した攻撃力が加算され、さらに物理、魔法、両方の属性を併せ持つ凄まじい攻撃性能となっている。



 こうなると平原のガイコツ以外、左右の武器それぞれ3連射を2回ずつ当てるとモンスターが光となり散っていく。



「強すぎだろ……」



 ドラが加入した時も強いと思ったが、マジでセラは別格だ。ちょっと強過ぎて、いけないことをしてるような感覚に襲われたくらいだ。



 セラにばかり気をとられ、ミラに関して後回しにしていたからか、少しばかり頬を膨らましたミラに服の袖を引っ張られる。



「ごめんごめん、じゃ次からはミラに戦ってもらおうかな」


 ニコッ



 ラットLv1を見つけ、即座にミラが武器を構える。

 クルクルっと大きな鎌を身体を使って回し、一気に距離を詰め薙ぎ払う。

 噛み付こうと飛びかかるラットに対し、柄で受け止め弾き飛ばし、さらに一撃を加え倒した。



「なかなかガッツリ攻め込むな……まぁ今回は戦いを俺に見せたかったからだとは思うけど……」



 ミラはダークヒールの検証も色々して、影ではなく、暗い場所でダークヒールを使えば詠唱短縮、回復量が上がることが分かった。

 さらにこの暗い場所という条件自体もかなり緩い。俺や他のパーティメンバーの影等はさすがに無理だが、それ以外なら足の爪先だけでも暗い場所に入れば、詠唱短縮、回復量増加の効果を受けられる。



 というよりも、暗い場所以外での回復の性能が落ちている。という表現が正しいかもしれない。



 夜空のような光で皆を癒し、舞い踊るように戦うミラ。

 超攻撃力とアクロバットな動きでスタイリッシュに戦うセラ。



「ミラもセラもぶっ壊れだな……マジで俺が要らなくなりそう……」

読んで頂きありがとうございます。

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