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25話 武器別バトルアリーナ・後編

 予選が始まると俺は一気に空を飛び、空中から爆撃とフルバーストで攻める。



 ガンズタンクは確かに確立されつつある戦闘スタイルではあるのだが、そもそもガンズブレイドがPvPに向いていない武器だ。



 モンスターのように防御カチカチなプレイヤーなど今現在いないし、たかが知れたプレイヤーの防御力に対して防御無視は効果的ではない。

 ガンズブレイドはそんなダメージと引き換えに、片手剣より武器を振るスピードは遅く、大剣より威力がない攻撃でプレイヤーと戦わないといけないのだ。



 そしてガンズタンクはさらに受け身から攻めに転じるスタイルだ。正面からなら確かに攻めづらいが、空中は殆どのプレイヤーが意識していない。



 現に俺の眼下では1人のプレイヤーに2人が同時に襲い掛かっていたが、纏めて【フルバースト】をぶっぱなし、動揺している隙をついて簡単に場外に落とせた。



 その後も空中で全体の様子を伺い、的確にプレイヤーを倒していく。



 そして最後の1人も、ひたすら空中から爆撃を浴びせ、無事予選を突破した。



 確かに正々堂々とは言えないかもしれないが、勝ちは勝ちだ。



 予選が終わると、また【ネジ】を製作しながら試合を観戦し、1日過ごす。



 そして翌日のトーナメント1回戦では【魔ガンズタンク】というガンズタンクに魔法を組み合わせたスタイルのプレイヤーと対戦になったが、空中からの強襲や爆撃などに対応出来なかったのか、あっさりと勝つことが出来た。

 その後の2回戦も結果はほぼ同じで準決勝までコマを進めた。



 この日の対戦が終わり、機工士のレベルも上がったことで今度は【ボルトとナット】というアイテムに切り替え製作してレベリングしていく。



 さらに翌日の準決勝。

 使用武器はガンズブレイド1本とオーソドックスなスタイルながらも、流石にここまで勝ち抜いたプレイヤーであり、ガンガン攻めてきてかなり強かったが、空中から攻める俺に次第に苛立ち始め、不用意に空にいる俺に攻撃を仕掛けた隙をついて一気に倒した。



「気が付けば決勝だ。ここまでくると優勝したいな」



 決勝の対戦相手はガンズタンク発案者の【ガンツ】というプレイヤーだ。このプレイヤーはガンズタンクで最前線攻略パーティのタンクを勤めるトッププレイヤーの1人だ。



 予想外に盛り上がる会場に戸惑いつつも、対戦が始まった。



 特殊アクションを使い一気に距離を詰め、武器を振るうが盾に阻まれる。



 ステータスが統一され最大MPも下がっているので安易にアーツを放てない。

 相手もそれは同じだが、相手の装備しているガンズブレイドは爆撃型だ。

 爆撃の威力も射程も範囲も広く、爆撃の撃ち合いでは分が悪い。



 隙を突こうと色々動き回ってみたが反応され、空中に飛んでもきっちり距離を保たれる。



 お互い踏み込むタイミングが掴めず地上と空中からの爆撃戦になったが、爆撃型の欠点である長いリロードの隙をついて一気に斬り込んだ。



【魔装】を使い【連続斬り】を放つが最後まで当たらず、受身を取られてしまう。



(くぅー、さっきの受身上手いなぁ……)



 距離を保ち、再び隙をついて爆撃の撃ち合いになる。

 だが、爆撃のエフェクトに紛れ突っ込んできた相手が把握出来ておらず、初期アーツの直撃を喰らってしまった。



 追撃に来たところをパリィで弾こうと狙ったが、それを読まれており、逆にカウンターを貰ってしまう。即座に受身をとり距離をとる。



(マジで強いなこの人……)



 そんな事を考えていると、勝負を決めにきたのか、相手が武器を突き出すように構えアーツを放つ。



 そのアーツは球体の爆撃が5つ連なり東洋の龍のように縦に波打ちながら俺に迫ってくる。



 途中で1つの爆撃が地面に落ち、広範囲に炎が拡がる。



 それほどスピードはないが、アーツは俺を自動追尾してくる。

 うねうね動くアーツの軌道が読みづらく、特殊アクションで一気に避けようとしたが、急に相手のアーツが蛇のように横うねりに変わる。



 なんとかギリギリで躱しはしたが、すでに追加で落ちた球体の爆撃で地上は火の海。



 そのまま空中を移動し、強襲を仕掛け武器を振り下ろす。



 相手もそれしかないだろうと思っていたのか、完璧なタイミングでパリィを繰り出して来るが、俺だって学習はする。



 ガーキャンを使い攻撃をキャンセル、相手のパリィを逆にパリィして再び【連続斬り】からの【ダブルホイール】の鉄板コンボを叩き込んでやった。



 序盤に削ったのが幸いし、さっきのコンボでフィニッシュとなった。



 優勝を祝う言葉と共に巨大モニターに俺が映し出され、数秒後、対戦後の挨拶を交わす間もなくホームに転送された。



「あっさりしてんなぁ……おっと!!!!」



 すぐに召喚者達が飛びついてきて勝利を祝ってくれる。



「へへ、優勝したぞ!ちゃんと見てたか?」



 優勝賞品はイベント終了後に送られてくるようで、この日も残り時間は他の決勝戦のアーカイブを見ながらひたすらナット作りに励んだ。



「今回はホントに運が良かっただけだな……PSでは完全に負けてたし」



 今回の優勝はかなり運が良かった。

 俺にとって相性が良いガンズタンクが流行り、数が多かったこと、レベルが統一されたこと、そして何より全プレイヤーが参加しなかったことだ。



 今後開催されるPvPで最強を目指すガンズブレイド使い達は、今から手の内を晒したくないのか、別の理由かは分からないが参加していなかった。



 出れば優勝確実と噂されていたプレイヤーも今回は不参加で、たまたま俺が優勝出来たのだ。



「まぁ楽しかったし、機会があればたまにはPvPも良いもんだ。明日に備えて浮かれた気持ちを切り替えないと」



 正直、武器別ではあわよくば優勝を狙っていたが、明日からのジョブ別は違う。



 全力で優勝を狙いに行くのだ!

読んで頂きありがとうございます。

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[一言] やっぱり強いんだな主人公!こういう展開大好き
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