表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/88

17話 初めてのボス

 ログインし朝を待たず洞窟へ向かう。アイテムの準備などは昨日のうちに終わらせてある。



 出てくる敵を倒し、合間に採取をしながら洞窟の奥へと進む。

 そしてボスがいる下層へと続く、岩が天然の階段となった下り道を発見した。



「この先が多分ボスだ。みんな心の準備は良いか?」



 召喚者達が頷いたのを確認し道を下っていくと、洞窟には似つかわしくない大きな金属の扉があり、その手前には数人のプレイヤーの姿が見えた。



 ボス戦闘はフィールドのモンスターとは違い、パーティ単位で挑める仕様となっている。そのため他のプレイヤーがボス部屋にいる間、待機。なんてことにはならない。

 さらにパーティが全滅した場合、ボス部屋の外で脆弱デバフを受けた状態で復活する為、ボス戦は最初からやり直しとなる。



「あのプレイヤー達は脆弱がないからパーティメンバー待ちとかかな?……ま、俺らはこのまま行くぞ!」



 プレイヤー達の横を通る時、軽く会釈して挨拶を交わし、ボス部屋の扉に手をかける。すると軽く触れただけで扉は勝手に開き、僅かに視界が揺れて、それが治まると目の前には大きな岩の塊があった。



 近づくと扉が勝手に閉まり、扉とボス部屋の周囲に光るカーテンのような物が引かれる。



 途端に大きな岩が動き始めその巨体が持ち上がり、ボスの頭上にHPバーが出現する。



「おぉ!岩のカメだな……ロックロックタートルLv15か!よしっ!行くぞ」



 俺が先陣をきり、カメに斬り込んだ。

 とりあえず最初はどんな攻撃をしてくるか分からないため、ドラにはテラ、レラの護衛に専念してもらっている。



 空中から強襲し一撃与えるが、すぐにゴツゴツした尻尾による反撃が飛んでくる。カメのくせに尻尾が意外と長い。



 ボスに対してもパリィは通常モンスター同様に攻撃を無効に出来るが、大型モンスターは体勢を崩すことは出来ない。そのためここは無理をせず余裕をもって攻撃を躱す。



 その後も似たような動きしかしてこないため、ドラにも参加してもらい、防御無視攻撃でガンガンHPを削っていく。



「こりゃ硬いだけでカモだな!いや、カメだけど」



 なんて無駄口を叩けるくらいには余裕があったのだが、ボスのHPが半分になった辺りから攻撃方法が増えた。



 体を高速で回転させ、背中の甲羅にくっついている岩を周囲に飛ばしてくる。



 狙いを定めているわけではないので、当たらないほうが多いが、無差別に飛んでくる岩にテラとレラはてんやわんやだ。



 さらにカメは前足を持ち上げ上半身を反らし、そのまま足を地面に叩きつける。広範囲に地面が揺れ、近くにいた俺とドラは体勢を崩され、衝撃波で体が吹っ飛ばされる。



「流石にかなり食らうな……あれは注意しないと」



 衝撃波だけで俺のHP6割を削ってくる。ドラは3割ほどと大丈夫なようで、俺が回復する間カメのタゲを受け持ってもらった。



 その後はカメの高速回転や地面揺らしは、ドラの【シールドバッシュ】で止めてもらい、危なげなく2人で攻撃を続けカメを討伐することが出来た。

 ドラ、凄い!



「ふぃ~。みんなお疲れ!」



 経験値はさすがに美味しく、素材も手に入った。

 そしてボスを倒すと宝箱が出現し、アイテムが1つ入っている。

 この宝箱はパーティのプレイヤーそれぞれに出現するようで、ボス討伐報酬である宝箱は個別に受け取れる仕様のようだ。



「お?宝箱!中身はっと…………防具かな?」



 ブレイカージャケットという胴防具を手に入れた。



 ―ブレイカージャケット―

 胴防具

 品質:―

 耐久:80

 防御力:12


 攻撃力上昇(微)、筋力+2



「ほうほう………ドラのブロンズアーマーがたしか防御力35だったから中々良いな!これは俺が後で貰うとして、レベル上げ装備はまだ外さないから、それまでドラにはこの防具を装備してもらおう」



 ドラが装備しているブロンズアーマーは、元々ブロンズキュイラスという装備で、俺が装備すると防御力は10だ。



 プレイヤーは防具を4つ装備出来るが、召喚者は防具が1つしか装備出来ない事から、恐らく防御力は元の数値の3.5倍の性能になっていると思っている。

 流石にブレイカー装備のように+αの能力はそのままだとは思うが……



 ボスを倒したと同時に光のカーテンはなくなったが、扉は開かず、代わりに横道があるのを発見した。



 その横道はずっと一本道で、採取ポイントが途中に何個かあった。

 採取しつつ先に進むと月明かりの光が見え、抜けるとそこは始まりの森の中、始まりの洞窟の入口のすぐ近くに出た。



 俺達が出てきたのは、草木で隠されていた木の(うろ)だったようで、再び入ろうとしても光のカーテンに遮られてしまう。



「流石にそう上手くは出来てないよな」



 経験値も美味しいし、手に入れたブレイカー装備も胴だけという事はないだろうと、ボスを周回するつもりで再度ボス部屋の前にきたのだが、扉にはシステムメッセージと共に光のカーテンが引かれ、中には入れなかった。



 どうやらボスは1時間経たないとリポップしないようだ。



 そして俺達がボス部屋の前で出会ったプレイヤー達はメンバーを待っていたのではなく、ボスのリポップを待っていたのだろう。



「すぐ再戦は出来ないのか……残念。とりあえず今は冒険者ギルド戻って報告してくるか」



 経験値増加と共にレアドロップ増加のイベントが来ている今、ボス連戦で宝箱からの報酬と、ボスのレア素材を集めつつレベル上げをするか、フィールドでモンスターを狩るか悩ましいところだ。



 ともあれまずは街に戻り、報告を済ませた後、サブジョブを手に入れた。



 さらにこのタイミングで重要な情報が手に入った。



 冒険者ギルドの2階にも祭壇が存在し、ここでは1アカウントにつき、1度だけキャラリセットが出来るようだ。



 ただし自分で討伐したボス亀の素材が複数種必要で、それを持って2階の祭壇にいる司祭に話しかけると、素材を合成し、【再誕の宝玉】というアイテムにしてもらえ、それを使ってリセット出来るようだ。



 リセットは文字通り完全に最初から、キャラクリからリスタート出来るらしい。



 AnotherWorldでは無数の武器の組み合わせが存在する。

 しかし全ての武器を極めることは出来ない。



 例えば、俺がガンズブレイド2を使うのを止め、別の武器に持ち替えた場合、今まで覚えていたガンズブレイドのスキルやアーツのレベルは徐々に下がっていき、挙句アーツは初期以外、順次消えていく。



 このような仕様があるため、現状全ての武器を極めることは出来ないが、あくまで確認されていないだけだ。

 もしかするとゲームスタート初期から複数の武器を持ち替えながら戦っていた場合、複数の武器を使いこなせるジョブに進化したりする可能性もあるし、すでに存在しているかもしれない。



 そんな可能性にかけて最初からやり直したいプレイヤーや、今までとは違う全く新しいスタイルでやり直したいプレイヤーの為、月額利用料を増やさず、1からやり直し出来るシステムのようだ。



「ま、俺には関係ないな。覚えといたら大丈夫だろ……」



 俺は自分のスタイルが気に入っているし、現状変えるつもりもない。



 今はとにかくレベル上げだ!狩場を変えて新しいフィールドでも行ってみるかな。


読んで頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ