15話 レラの実力
新しくレラ、ドラが仲間になったわけだが、召喚者達が元気に追いかけっこしている様子を横目に、色々と気になる情報について考える。
戦闘スキルを持つ召喚者を獲得して、召喚者が装備を持てるようになったわけだが、ドラの前に召喚したレラの【召喚】スキルは戦闘スキルじゃないということか……
あとはやはり装備。
プレイヤー同様に、左右にそれぞれ好きな武器や盾を持て、胴防具、アクセサリーを装備出来るようだ。
どうせならもっと早く解放して欲しかった。というよりデフォルトで最初から装備出来るようにして欲しかった。
もしかすると最初に貰えるメダルは、戦闘用のメダルが出やすいのだろうか?だとすると、俺はかなりレアなパターンを引いたことになるな……
「まぁ装備は出来るようになったんだ。愚痴を言っても仕方ない」
初級万能武器が使えるようで、皆を呼び、まずはテラにどんな武器が良いか聞いてみたのだが……
フルフルフルフル
「えぇ!?武器嫌か?」
コクコク
「じゃあ、レラは?」
フルフル
「レラも嫌か……」
テラは凄い勢いで首を横に振りかなり嫌がっている。レラも遠慮がちに武器を持つことを拒否していた。
【クラフター】と【ギャザラー】は使用出来る武器に制限がある。それが関係しているのだろうか……
「うーーん、まぁ仕方ないか。ドラはどうする?」
そういえばドラも【暗黒騎士】を使ってるから武器が限定されるんだったか?
そんな事を考えていると、自信満々のドラが手に取ったのは【魔剣】と【盾】だ。
「魔剣かぁ……また癖のある武器が指定されたもんだ」
魔剣は残存HPによって威力が変わる特性があり、見た目も少しばかり禍々しく、普通の片手剣に比べ少し大きめの片手剣だ。
HPが100パーセント、もしくは20パーセント以下の時、最も攻撃力が高くなり、99パーセント~35パーセントまでは通常攻撃力、34パーセントから20パーセントにかけて徐々に攻撃力が上がっていく。
「アタッカーみたいに一々HPとヘイト管理しなくていい分、相性は良いのか?……というより火力が出せるタンクになるのか。ドラは自己回復技もあるし、HPが減った状態の高火力でアーツを使うと一気に回復も出来る…………強くね?」
混沌暗黒騎士ヴァンパイアは伊達ではないようだ。
とはいえ、ドラにはタンクとして、戦闘力皆無のテラや、恐らくレラも戦闘力が無いだろうため、しっかりと護ってもらわないといけない。
火力は二の次だ。
防御力もしっかり上げておきたいため、防具も装備させてあげたいが、手持ちに防具はない。レベル上げ装備を手に入れるまで俺は装備無しだったからな。
そのためテラに【ブロンズキュイラス】という胴装備を作ってもらい、ドラに装備させる。
ここで驚いたのが、召喚者が装備出来るのは胴装備のみなのだが、ドラが装備した瞬間、名称が【ブロンズアーマー】に変化し、篭手や、すね当てといった頭以外のブロンズ装備一式を身にまとっていた。
だが、あくまで篭手などは見た目だけ。防御力は鎧1個分だ。
どうやらオマケの篭手やすね当ては、見た目を変更するだけの物のようで、外すことができ、外しても防御力に影響はない。
「篭手とかをつけてても動きに影響はなさそうだし……装備した胴防具が本体で、あとは本体の防具に追従する形状の見た目装備って感じか!」
なるほど、召喚者のオシャレにも気を使えるわけか!
「しかしそうなると、初期衣装もなんとかしてやりたいな」
召喚者達のデフォルトの服装はみんなマントのような大きな布を体に纏っているだけだ。
ドラはその上に鎧を着ている感じだ。正直、チラッと見える中の布がダサい……
「テラは服自体は作れるんだけどなぁ……」
優秀なテラなのだが、生産面において唯一と言っていい欠点があった。
それは俺が拠点を作る際に使用した設計図や、オリジナリティがあるアイテムを作れないことだ。
特に見た目を変更出来る衣装は裁縫士の分野であり、リアル同様にまずデザインが必要で、デザインに応じて素材やスキルLvなどが必要になってくる。
その他にも形状を変えた家具や料理、いわゆるオリジナルレシピが必要となるアイテムは、テラに限らずNPC達は作れないのだ。
「デフォルトで作れる服やズボンの方が、布だけよりはマシか?それか、服系の防具を探すのも良いな」
後々装備共々揃えてやらないとな!
アプデが終わるまであと2時間弱。
皆と一緒に街を見て回るのも良かったが、過去のことからあまり街に出たくはなかった為、ホームで皆と遊び時間を潰すことにした。
そしてアプデが終わり、ホームに採取ポイントが復活。
早速、レラの実力を見せてもらう。
まずは木から採取して貰ったのだが、手に入った木材はなんと3つ。
ついでにスキル産卵も見せてもらう。
「レラ、産卵のスキルを使ってみてくれ」
コクリと頷いたレラが手を前にかざすと、魔法のような光が集まり卵になった。そして卵はすぐに割れて、眷族が生まれる。
ふっくら丸みのあるモコモコした卵型の胴体に顔があり、短い手足が胴体から出ている。クリっとした大きな目は可愛らしいが、なんとも形容し難いヤツだ。
「とりあえずレラが口から卵を吐き出す。とかはなくて良かったんだけど、コイツは何が出来るんだ?」
するとレラが指先で指示を送り、それを見た眷族がトコトコとホームにある薬草の採取ポイントに向かう。そしてワサワサと採取アクションを行ったあと、レラとお揃いの肩掛け型ポーチにアイテムを仕舞い帰ってきた。
「おぉ!インベントリの薬草が増えてる。しかも3つも!」
驚く俺にレラはニッコリ笑い、眷族の頭を撫でていた。
「マジでレラの分身か?」
レラの持つ産卵は、レラと全く同じ採取能力を持った眷族を生み出せるようだ。
しばらく経っても消えない事から、攻撃を受けるか、レラが消さない限り居座ることができ、採取を手伝ってくれる。
「となると、レラに高性能な採取道具を持たせてると、眷族の採取能力も上がるわけか。採取ポイントが密集してる場所だと一気に採取出来るな……」
だが眷族を召喚している間、レラのMPが徐々に減っていくようだ。
最大MPが低い今だと使いにくいかもしれないが、レベルが上がれば採取の効率がかなり上がりそうだ。
それに採取ジョブと分けられているくらいだ。今後必ず採取ジョブしか手に入れられない素材は出てくるはず。
それを考えると、レラ自身も間違いなく優秀だ。
レラの優秀さは良く分かったため、今度はドラの実力の確認と、レベル上げだ!
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