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12話 変化の兆し

 ズンドコ達の演奏を見て、これまでの嫌な気分が一気に吹っ飛んだ。

 興奮冷めやらぬといった感じだったが、すでに暗くなり始めた事もあり急いで森を抜ける。



 平原に戻る頃には完全に夜になり、クエストの報告や夜ご飯の為、街に戻る。



 クエスト報告と同時に、新しく追加されていた【ユニークモンスターと出会う】というクエストも達成したことでレベルが7に上がった。



「しかしホントにユニークモンスターが実装されてたとはなぁ……」



 このユニークモンスターというのは、ゲームリリース前から少し噂になっていたモンスターだ。



 運営も「出会うと……」などの曖昧な情報しか出しておらず、分かっていたのは通常のモンスターとは仕様が違うといったことくらいだった。



 運営小出しの情報から推察が行われ、恐らくプレイヤーが何か特殊な行動をすると、それに対しユニークモンスターも特殊な行動をするのでは無いか、とユーザー間で噂になっていた。



 ズンドコの場合、何もせずじっとしているのがトリガーとなり、ライブ演奏が行われるのだろう。

 ライブが始まるまでは大人しくしとけってことだ。



「ホントこのゲームはやり込み要素が色々詰まってるな」



 飯屋を出た瞬間、テラがズボンを引っ張ってくる。

 夜も少し平原でレベル上げをしようと思っていたが、1度ホームに帰る。



「何作るんだ?」



 いつもなら本を開いて教えてくれるのだが、この時は両手を腰に当て、胸を張りながら、ふふーんといった表情を見せ、テラは作業を始める。



「ま、テラの作る物は全部優秀だからな!大人しく完成を待とうか」



 少し長めのバーが減りきり、アイテムが完成する。

 それを頭上に掲げ、テラが走りよってくる。



 ―ラバーリストバンド―


 ・Lv20まで取得経験値が110パーセントになる。セット効果あり



「おっしゃーーーー!!!レベル上げ装備きたーーーー!凄いぞ、テラ!!」



 これは腕に装備でき、ズンドコに貰ったチケットの半券を素材にして作ったようだ。



 半券は2枚貰っている為、すぐに頭用の装備も出来上がる。



「バンドタオルか!運営分かってるねぇ」



 そのタオルにはズンドコ達が描かれ、頭装備ではあるが首に巻き付けやすいデザインになっている。



 が、残念なことに、この装備は見た目に反映されないようで、装備しても俺の見た目は変わらなかった。



「他の装備も作れる?」


 フルフル


「素材が足りないか……あと何個いるんだ?」



 驚いたのは、俺の問いかけに対し、テラは指を4本立てたことだ。

 言葉の意味をしっかり理解してくれているのは前々から分かっていたが、イエス、ノーだけの返事じゃなく、ちゃんと個数も教えてくれたのだ。

 さすがにこれには驚いた。



「ヨシヨシ!半券4つ必要ってことは、ライブをあと2回見れば良いわけだな。俺得過ぎる!」



 演奏していた音楽もかなり気に入った為、2回と言わず何回でも見たいくらいだ。ズンドコを見つけたら必ずライブを見よう。



 そして翌日、朝になるまで平原でレベル上げをし、朝から森に入ってズンドコを探したが、なかなか見つからない。



 しかし昨日とは全く別の場所でズンドコに出会い、夕方またさらに別の場所でズンドコと出会った。



 そして出来た装備は、【バンドTシャツ】と【バンドコラボシューズ】だ。



「きたきたーー!!これでセットが揃ったな」



 そして全部装備した時のセット効果だが、Lv20まで取得経験値が2倍になるという効果だった。



「これでレベル上げが捗るなぁ」



 この日は再び夜の平原でレベル上げしてからログアウト。

 そして翌日、朝になるまで平原で、朝になると森に入ってひたすらレベルを上げた。



「やっとLv10になったな!…………おっ?」



 レベルが10に上がったタイミングで色々と変化があった。


 ―ゼル―

 Lv:10

 種類:人間

 HP:19/40

 MP:18/30

 筋力:20

 耐久:19

 敏捷:19

 器用:20

 魔力:19


 ―エクストラスキル―

 ・飛天


 ―スキル―

 ・召喚術Lv2

 ・ガンズブレイド術(左右)Lv2


 ―アーツ―

 ・「召喚術」:【封印Lv2】・【召喚者の心】


 ・「ガンズブレイド術(左右)」:【ダブルホイールLv3】・【連続斬りLv1】



 まずステータスだが、これまでHPが+2、その他は+1で上がってきたが、HP、MP、筋力、敏捷に変化があった。



 スキルもレベルが上り、アーツの封印がLv2へ、ガンズブレイドも新しい連続斬りというアーツを覚えた。



 スキルのレベルアップのタイミングがプレイヤーレベルに連動して上がるのか、偶然スキルのレベルが上がる必要経験値が、プレイヤーLv10に相当するのか、それは分からないが今はそれほど重要ではない。



 ―封印―


 ・Lv2:封印の成功率が上昇。稀に上級封印が発動するようになる。



「上級封印……単純に★が上がるか、レアな効果メダルになるって感じか?」



 一先ず休憩のため、夜ご飯にはまだ早いが、とりあえず街に戻り召喚士ギルドに向かう。



『ゼル様、召喚士ギルドでは貴方の実力を認め、メダル合成の使用が許可されました。さらにショップに新たな商品も入荷しております。是非ご覧ください』



「分かった。ありがとう」



 NPCとの会話が終わった直後、システムメッセージが表示される。



【プレイヤーLv10到達記念アイテムを48時間限定で販売致します。メインメニュー、または公式サイトからご確認ください】



「一気に情報が飛び込んできたな…………メダルの合成、ショップ新商品に、課金アイテム販売か」



 俺の記憶が確かなら、課金アイテムの販売はしないと運営が発表していたはずだ。



 とりあえずメインメニューから、課金アイテム販売画面を覗くと、色々と説明があった。



 いわゆる武器や防具などのガチャ形式の販売は今後もなく、攻略に影響する課金アイテム販売も、このLv10到達記念のみらしい。それ以外の部分でちょっとしたアイテムの販売はあるようだ。



「確かに序盤はちょっとキツいしな……」



 販売されるLv10到達記念アイテムについても2種類あり、選択したジョブに関連した内容となっている。



 安い方の商品では、テイマー、召喚士以外のジョブは初級万能採取道具がグレードアップされ、高い方では万能武器のグレードアップとアクセサリーがセットになっている。



「うーん、たしかにこれだと後々課金が腐らないし、要らないなら買わなきゃ良いもんな」



 そしてテイマーは、そのままモンスターが手に入れられるようだが、値段がぶっちぎりで高い。



 肝心の召喚士だが、俺的には破格の内容になっている。


 安い方では、効果メダル、★5が2枚、★4が1枚、★3が1枚、★2が1、★1が1枚、ランダムで手に入れられ、さらにぶっ壊れなのが、永続的なバフのような効果が付くことだ。



 本来、召喚者がパーティに2体以上いると取得経験値が下がるのだが、この課金アイテムで3体まで経験値減少の仕様を無くすことが出来る。



 つまり、俺とテラ、あと2体の召喚者がパーティにいても取得経験値は下がらないのだ。

 が、4体目からは以前と同様に40パーセント、5体で50パーセント減少と変わらない。



 さらに高い方の商品も凄い。

 効果メダル★7が3枚と、この商品を買った瞬間から48時間限定でメダル化の確率が3倍、レアメダル化の発生確率が2倍になるバフがつく。



「これは即買いだな!…………いや、予定をたててからの方が良いか」



 買ったメダルを使って召喚すれば戦力は増やせそうだが、そうなるとレベル上げのため、メダル化のバフが有効活用出来ない。



 新しく出来るようになった合成の為にも色々とメダルは欲しい。



「明日ログインしてすぐに課金アイテム買って、召喚は我慢して2日間はメダル集め。その後は集めたメダルを合成してからの召喚。うん、これでいこう」



 しかしそうなると、夜の平原に出現するガイコツも視野に入れておきたい。



「今のうちに戦えるかどうかだけでも見とこうかな」



 俺とテラのレベルは10になっている。

 さすがにいつまでも逃げ回っている訳にもいかないし、戦ってみることにした。



 ▽▽▽



「くそっ、盾がウザイな……」



 ガイコツの行動はシンプルで、剣で攻撃、盾でこちらの攻撃を防いでくる。



 動きも対処出来ない速度ではないが、攻撃力が高く、一撃で俺のHPが3分の1程削られる。



 一方でガイコツはHPが高く、骨の見た目通り防御が低い。その為、防御無視もあまり効果的ではなく、盾で防がれると防御無視が発動しない。



 パリィからのカウンターを主軸にしてちまちま削り、最後はパリィで体勢を崩した所に、新アーツの【連続斬り】からの【ダブルホイール】のコンボで倒すことが出来た。



「ふぅ……1体相手取るのが限界だな。2体襲ってきたら逃げよう」



 ガイコツ、テメーは明日1番にメダルに変えてやんよ!!!

読んで頂きありがとうございます。

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