小さな本音
書いてるとソレイユとソーレとゾネが誰が誰だか混乱してきます笑
リレー小説難しい!ってことでESUのターンです!
ナハトは不思議だった。言葉をゾネと少し交わしただけなのにあんなにも時間が経っていた、そして自分とゾネの違い、あの姉妹の強さというのを心臓に刺さるくらいに感じた。
何か悲しいような自分に足りていない何かを。
トボトボと街を歩いていると案の定ソレイユが駆けつけてきた。
「ナハト様!何をしてらしたんですか?!本当に探しましたよ!」
怒るような心配な声色でナハトに投げかける
「ごめん。今日も、勝手なことして」
「?!…いつものことですが、本当に勘弁してくださいよ…」
「ごめん、また我儘だけどこのまま歩いて帰らせてくれ。頼む」
「困ります。馬車を手配したので乗って帰ってください」
ナハトの目の前にはもう馬車があった。
「さあ」
ソレイユはもうナハトを何処かへ行かせたりしたいように手を出した。
「それは男性がやることでしょ?ソレイユ」
ナハトはくすりと笑いソレイユの手を取り馬車の中へと入った。
馬車がゆっくりと動き出し、屋敷へと向かう。ナハトは心此処にあらずの様に、外を見つめている。ソレイユは心配で仕方なかった。昨日は少しでも慰めができたと喜んでいたが、全くだ。
昨日の言葉は1ミリも響いていなかったのだろうか、今ナハト様を慰めても意味が無いような気がして、何も話しかけずただただ心の内で心配するばかりだった。
ナハトは屋敷にもどり部屋の椅子に座る。いい香りの紅茶をソレイユはゆっくりと注ぎ、その隣に形が様々なクッキーを置いていった。
「失礼しました」
頭を下げて出ていく。時間は午後3時30分そんなに日は落ちていない、日がナハトを責めるように見つめてくるのは気のせいだろうか。ナハトは窓の外をぼんやりと見ている。
「はぁ…」
と大きなため息を付きながら花形のクッキーを口に運ぶ。
僕は何をしていたのだろう。
3姉妹をどう考えているのか、ゾネの深い深い気持ちには到底追いつかない。
僕は何がしたい?なんの為に…目をつむり考える。
コンコン、扉のノックオンが響く
「…はい」
「失礼いたします」
ソレイユが心配そうな顔で戻ってきた。
「ナハト様。不躾ながらご質問させていただくことをお許し下さい」
「ん…」
「ナハト様は昨日の私の過去話を親身にお考え下さっていますが、そんなに深く考えてくださらなくとも大丈夫です。過去の話ですし、私使用人個人の事ですので、ナハト様がそうお気になさる必要はございません」
「…そんな事言うな」
消えかかるような声で言う。
「僕は君にそんな事を言わせたい訳じゃない。僕は僕なりに君達に近くにいて欲しいと願っている。しかし、その方法というのは難しい。立場が邪魔する。行動範囲が狭い。どんなに行動しようとも君達の力にはなれない。けど、力になりたいっていう気持ちはやめられない。こんなにも長く暮らしてきた君達と僕達、もっと知って良いんじゃないか?」
ナハトはもう一言がでない。
「それは…」
「僕はお前たちの力になりたい!!!」
力強く椅子から立ち上がる、これがナハトの本音だった。
力になりたい。本当は同等で近い距離で、3姉妹のことを…
「…ありがとうございます…」
ソレイユは嬉しさのあまりに泣き出してしまった。
「僕だけじゃない、ソレイユの妹のゾネもだ。ソレイユの力になりたくてもがいている。でも姉達は教えてくれなくて歯痒いまま過ごしているのに嫌気がさして僕に手紙を宛ててくれたんだ」
ナハトはベストの内ポケットから少し型が崩れた手紙を出した。ゾネからの手紙だ。
「どういうことですか?」
「ゾネは君達のその血のように赤い髪について知りたがっていた。そして僕も昨日のソレイユの言葉が引っかかったから旧記を探した。まあ、内容なんて今は何だっていい。この探した、力になりたいっていう事実が僕にもゾネにもある。」
…グスっ…
ソレイユの涙がとまらない。手袋の着いた手で触れようとするが、顔を覆うばかりで目には触れず、ポタポタと涙が零れる。
「僕、ゾネそしてソーレだって表情には出してないけど絶対にソレイユの力になりたい筈だ。これでわかるだろう?」
「はいっ…」
涙が止まらない。今までにこんな泣いたことがあるだろうか、ゾネが誘拐された時と同じ位に涙が溢れてくる。
「ナハト様…」
ナハトはこぼれ落ちる涙を親指で軽く拭った。
「泣くな。俺より大人びてるお前が…らしくないぞ」
ナハトはいたずらっぽくソレイユに言う。
「ふふっ」
ナハトはふわりとソレイユの頭に手を乗せる。美しいものに触れるかのように大切に、大切に。黒髪から赤に変わるグラデーションの髪色が日に煌めき2人を優しく包み込んでいった。
読んでくださってありがとうございました!
心新たに始動したLimoneをお願いします☆