貴方へ
顔も知らない
貴方への手向けとして
身体の中を勝手気儘に
苦しみしか与えぬモノへも
貴方はきっと愛を傾け
親しき人へと
それを分け与えていたのでしょう
もう、この世には居ない貴方へ
私が尊敬する彼への
大きな道標の一つとなった
何よりも大きな命への
たった一つの敬愛を込めて
病める時に側にいたであろう
多くの人々のために
たった一つの我儘を
どうか笑ってやってください
涙しか流せぬ生者のために
そんな愚かな執着などと
笑って一蹴してやってください
そうすればみんな
貴方の尊き命のために
笑って生きて
ゆきましょう
もうこの世にいない
顔も知らない貴方へ
きっと届かぬこの一編を
ひっそりとここに
捧げます