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獣人の王子様と人間の王女様シリーズ

王女様は、獣人の王子様の本当の想いを知りたくて

作者: くろうさ
掲載日:2019/05/12

シャルロットは、一人、沈んでいた。

最近、ライムが、ライオンの姿になってくれないのである――。

人間の王女と獣人の王子の恋の物語。

シャルロットは、部屋に入って、小さくため息を吐く。

部屋の中に誰もいないのを確認して、鏡に映る自分の姿を眺めた。


長い金の髪は少しウェーブがかかっており、その瞳はエメラルド・グリーンのようだと謳われる。

その碧の瞳に合わせて、深緑のドレスを身に纏っていた。

王宮の者たちは、誰もがシャルロットの美しさを褒め称える。

しかし、シャルロットには、そうした賛辞が意味のないものに思えてならなかった。


自分が、()()愛する者に振り向いてもらえないなら、その美しさに何の意味があるのだろう。


今日も、ライム()()は、()()()()()だった。

いつも通り、()()()笑顔で、恭しい態度で、接してくれる。

それが、シャルロットの胸を締め付けるのだった。

ライム王子の崇拝は、()()()()()()()()()()であって、それ以上ではないのだ。


ライム様は、本当は、私のことをどう思っているのだろう。


あの日、シャルロットは、確かに聞いたのだ。

ライムがアルフレッドに「王女を愛している」と口にしたのを――。


しかし、その言葉は、直接、自分に向けられたものではなかった。

だから、シャルロットには、信じられなかった。

誰かに、そんな風に、愛の言葉を打ち明けられたのは、初めてだったのだ。


シャルロットは、その想いが本当なのか、どうしても確かめたかった。

ライムに、直接、確認したいのだが、勇気が出ないのだった。


私は、ライム王子のことを、どう思っているのだろう。


シャルロットは、自分自身にも、問い掛けてみる。

だが、シャルロットには、自分の気持ちがよく分からなかった。


あの日以来、シャルロットは、ライムに話し掛けられる度に、ドキっとするようになった。

今までは、普通に話せていたのだが、最近は、目も合わせられない。


それまでは、ライオンの姿になったライムの頭を普通に撫でていたのだが、

あの日以来、そのことを思い返すと、顔が赤くなるようになった。


それが恋と呼ばれるものなのかどうかが――シャルロットには、分からなかった。


そういえば、あの日以来、ライム王子は、ライオンの姿を見せてくれなくなった。

何故なのだろう。

もしかしたら、私は、何か、ライム王子の気に障るようなことをしてしまったのだろうか?


そして、朝が、また来る。

今日こそ、ライムの本当の気持ちを知りたい!!

シャルロットは、思い切って、部屋のドアを開ける。


「おはようございます、シャルロット様」

ライムが、シャルロットに()()()()笑顔を向ける。

「おはようございます、ライム様」

シャルロットも、笑顔を向けようとするのだが、何故か笑顔にならず、俯いてしまう。

だが、シャルロットは、顔を上げ、再び、ライムに話し掛ける。

「ライム様、お伺いしたいことがあります」

シャルロットは、真剣な眼差しでライムを見る。

「何なりと」

「ライム様は……」

「はい」

「いえ、何でもありません」

そう言うと、シャルロットは、少し顔を俯けた後、足早に駆けて行くのだった。


これが、最近のいつもの日課だった。


そして、シャルロットは、立ち止まり、再び後ろを振り返る。

これでは、()()()()()()()()になってしまう。

今日こそは、ライムに、確認しなければ。


でも、シャルロットは気付いていなかった。

何故、シャルロットがそこまでライムの気持ちの確認に拘るのか、その理由に。


「ライム様」

シャルロットは、真っ直ぐにライムを見つめ、そして――

「お好きな方は、いらっしゃいますか?」

「はい、シャルロット様」

ライムは、いつものように、恭しく、(ひざまず)き、頭を深く垂れながら答える。

「その方は……ライム様の()()()()()()方ですか?」

ライムは、そのまま、頭を上げずに答える。

「はい、仰せの通りでございます」

「あの……その方は」

シャルロットは、顔を赤らめながら、更に問い続ける。

「どんな方ですか?」

「シャルロット様」

ライムは、顔を上げずに答える。

「気高く、お美しく、そして……」

ライムは、真っ直ぐにシャルロットの方を見る。

視線が絡み合う。

「ライム様」

シャルロットは、俯きながら言う。

「ライム様、これ以上は……」

「いいえ、シャルロット様、私が」

ライムは、真っ直ぐにシャルロットを見つめる。

「続きを申し上げたいのです」

「ライム様」

ライムは、シャルロットの手を取り、手の甲にそっと口付けをする。

「お許しくださいませ、シャルロット様」

「ライム様……」

「そのお方は、いつも私に幸せを与えて下さるのでございます」

シャルロットは、目を見開いて、ライムを見つめていた。

「シャルロット様」

そう言うと、ライムは再び頭を垂れる。

「そのお方は、今、私の目の前にいらっしゃいます」

シャルロットは、それが誰のことなのか、()()()()()()()()分かっていた。

しかし、シャルロットは、返事をすることが出来なかった。

どう返事をすればいいのか、分からなかったのである。

シャルロットは、後悔していた。

この国の王女として、王からは大国ゼルメスの王妃となることを望まれている。

あるまじき失態であったとシャルロットは思っていた。

その気持ちとは裏腹に、シャルロットはその場から動くことが出来ず、

ライムから視線を逸らすことも出来なかった――。


ライムは、困惑していた。

つい自分の気持ちのままに、本心を打ち明けてしまったが、

シャルロットの立場を思えば、自分は身を引くべきであった。

だが、溢れる感情を抑えることが出来なかったのだった。

ライムは、王子として、自分は、あるまじき失態を犯してしまったと思っていた――。


二人は、お互いに、()()()()()()()()()()()()()()()と思っていた。


そんな二人の姿を、王は、そっと陰から見守っていたのであった。

ここまで読んで下さって、本当に、ありがとうございます。

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