春散歩
電車が通りすぎると
さくらが
キラリと舞い上がった
雪よりゆっくり
落ちてゆく
やさしい
間に
しばし、黙る
つめたさを
わずかに含んだ
風に吹かれて
日差しの強さに
手をかざした
華やかなタオルの並んだ
ベランダを見上げる
干しているのか
飾っているのか
雨の日もそのまま
だったりして
羽毛布団は
ベランダの柵に
どっかりと
夜はフカフカだろう
ブーツをよして
スニーカーにして
コートをよして
フリースにして
薄くなる守り
守りすぎは
風邪をひく
立ち寄った喫茶店
マダムは
さくらの見事さを
語って
季節と花の話で
10分経過
コーヒーは
アメリカン
まったりの時間は
案外得難いものだと
思い知る
喫茶店をあとにして
本屋へ
いつの間にか
本の配置転換
豊富風な雰囲気
欲しい本はいつも
ない
電車、ひと駅
アンモニア臭と
電車の汗の臭いと
通勤ラッシュの名残強く
駅に着いて
さくらの舞い上がりに
しばし、ため息
ひとひら、頭にのらないかな?