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失恋リカバリー

作者: 亜李亜(舞

だってさ よく漫画やドラマでヒロインが失恋のストレス解消に 男友達と行ってるじゃない?





…悲劇のヒロインにはなりたくなかったから






思いっきりバットと一緒にこの想いも振り切ってやる~!

なんて思って一人で足を踏み入れたバッティングセンター。


いくら夏休みとはいえ平日だからか、ガランとしているセンター内。

愛想のいいおじさんにお金を払い 初めての 体験。

バットを握りしめ、機械相手に 思いっきり 空振る。


挿絵(By みてみん)



頭に浮かんでくるのは昨日見ちゃったあの光景。

これでも、初恋だったんだ。

それまで、ずっと圏外だった私の恋愛察知機能が突然反応MAX値をたたき出したの。



泉君。ちょっぴり冴えないクラスの男子。

特に格好いいというわけでもなければ、勉強やスポーツが特段できるわけでもない。

それでも、そのさりげない優しさやふとした瞬間に見せる優しそうな笑顔。

まるでひだまりのようなあなたの存在に、気が付けば私の心はあなたに釘付けでした。



だけどね、見てしまったんだ。



昨日観に行った映画の帰り、誰かと楽しそうに笑い合う彼。

偶然出会えたことがうれしくて声をかけようと歩み寄る私。


「いず...」


最後まで声に出すことは叶わなかった私の言葉。

笑顔のまま彼はその人に口付けた。

キスをされ、照れくさそうに笑うその人のことは私は知らない。

そのまま二人は私に気が付くことは無く、雑踏へと消えていきましたとさ。


あーあ...恋人が居たのか

なんて、頭はスーッと冷却されていった。

私は想いを告げる間もなく失恋ってわけ。

勝者は見知らぬ誰かさん。



虚しい



の一言に尽きる。

せめて、想いを伝えてから振られたかったな なんていうのはわがままかな。




そんな雑念の塊の私に当てられるような甘い球はいくら機械といえどもなげてはくれなくって、バットに手応えなんてあるわけがなかった。




「もう少し 球をよく見て、バットは軽く持って…」




突然声をかけられてびっくりした。後ろを振り向くとそこには同じクラスの林君。

驚いてる私を余所に隣のバッターボックスへと陣取る。



「よっ、早川!お前も此処来るんだな~・・・」

「あっ、いや 私は…」


初めて此処に来たのだと言おうとしたその瞬間





カキーン!


パララ~パッパラ~!!!!





バットのいい音に続いてのファンファーレ。林君は一球目で見事ホームラン。


「… すごっ」


思わず口を告いで出たのは素直な賞賛。


「泉と一緒にガキの頃から通ってっからなここ。 慣れだよ慣れ。ほかのバッセンならともかく、ここだったら結構ホームラン出せるかな」


ニカッと爽やかに笑いながら林君の口から紡がれる「泉」という名前に反応して一瞬気持ちが陰る。


あぁ…私よっぽど彼に惚れてたんだな…

なーんて、思ったのもほんの一瞬で。



「お前はもう少しバットを軽く握ってみ? そんで、ボールが来たときにフッと力いれて、ギュッと握ってグワン!って打つ。 ほら、やってみろよ。」


「へっ?」


「ほら、だからフッとして、ギュッっとやって、グワンと打つ!!!」


突然わけのわからない擬音と共にはじまったレクチャーのおかげで、感傷に浸る暇なんてなかった。


「軽く握って…」


ガンッ


支持された通りに軽く握れば、ボールの衝撃と共にバットが吹き飛ぶ。


「あっぶな・・・・」


「軽く握ったのは、いいんだけどさ。打つ瞬間はフッと力入れてギュッと握るんだよ。」


あ...あぁ...その擬音はそういう意味だったのね...


「了解」


頼んだわけでもないのに打ち方を教えてくれる林君とのこの空間がなんだか、心地よかった。それから30分後






「…フッとして、ギュッっと握って…」



カキーン!!!



「やった~~~!!!!!」


さすがに、ホームランとまではいかなくてもそれでも気持ちがいいくらいにボールはよく飛んだ。


「やったじゃん早川!…ふっきれたみたいだな」


満面の笑みでこっちを見てくる林に思わず硬直する。誰にも言ってないはずなのに...むしろ本人にさえばれてないはずなのに…失恋したことばれてた??


そんな私の懸念とは裏腹に林は言葉をつづける。


「何かはわからないけど、なんか嫌な事あったんじゃなかったのか?顔が沈んでたんだよ。今は、いつもみたいにどっか抜けたような顔してるけどな。」


「どっか抜けたって、酷っ!!」


中々に酷いことを言われたような気がするけれど、心がスっと軽くなったのは事実で。

気が付いてくれたこともなんだか、無性に嬉しくって。


「ありがと」


小さな声でお礼を告げると林はニヤッっと笑って


「じゃあ、礼として俺が100本ノックやるのそこで見てる事!」




その瞬間気が付いてしまったのは私の現金な恋愛レーダーはMAX値を指していて...


私は君を好きになっていた。




初めましての方は初めまして。そうでない方はこんにちは。

亜李亜(舞  と申します。

なろう に投稿するのはこれが初めての作品となります。


もともとは、「電波」というタイトルで携帯小説サイトに掲載をしていた作品のリメイクです。

なぜ、タイトルを変更したかについてですが 恋愛レーダーとか恋愛察知機能とかあのあたりの文章に問題があるのです。

原文を紹介しますと

「恋愛察知機能が 突然バリ3を 叩きだしたの 」

バリ3...死語もいいとこなんですよね。今って電波表示3本じゃないじゃないですか5本じゃないですか。むしろwi-fi使っちゃうとわけわからないじゃないですか。

というわけで、そこを変えてしまおうかと。そうすると別に電波関係ないような気がしてくるわけで...

タイトルも変えざるを得なかった感じです。


あの...よかったら誰か 今は「バリ3」の代わりになんていうのか感想欄等で教えてもらえると

とてもうれしいです。


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