大きなカブか越前
「済まないマイト君!やっぱりサランは連れて帰りますっ!」
やおら立ち上がったホイルーは“ガッシッ!!”と私の手首を掴んで扉に向かって歩き出した。
「いやいや、着の身着のままとかありえないから!」
街中で、気の抜けた部屋着のまま外に行くとか羞恥プレイ同然だよ?
せめてなんか羽織るか荷物を纏める時間くらい与えろよっ!?
「いや、サラは渡さない!」
空いていた手をマイトが掴んで引き留めたがホイルーは引く気がないようでグイグイと引っ張っていく。
「ふざけるな!そんな男だらけの街にサランを置いていけるか!?」
必死の形相でホイルーが叫び、負けじとマイトが声を荒げる。
「だいたいサラに気安く触るな!嫌がってるのに無理やり連れてこうとするんじゃない!」
―痛いタイ痛い痛いいたい!?
右手がギウッ!左手がミチリ!と音をたて、関節を伸ばされながら右へ左へ引っ張っられていく?
手にしたソレが何であるのかを忘れてないかい?!
「サラはボクの物だ!!」
「抜かせ、サランはウチが村娘を誰が田舎の行きずりに渡すか!」
ギリギリギリ…コキュ♪
「「コキュ?」」
「…みぎゃああああああっ!?」
肩の関節ぬけたっぽい?!
慌てて二人が手を話したけど肩が痛くて堪らない。
「うぅぅあうう痛いぃっ」
なんだこれバカみたいに肩が痛い。
「サラ、身体繋がってるか!?」
ライズが背中をさすってくれてるけど五月蝿いからほっといて!
「大丈夫!外れてはいないから大丈夫だ!」
アランが二人に向き直り親指を立てたが、全然大丈夫じゃないわ!
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筋肉や筋を傷めた場合、回復魔法を使ってもじんわりとした痛みが残るのだよ。
気持ち的には、肩の筋肉がチリジリにささくれ立ったゴムみたいになってる気分で、ホントにホント~に痛い。
「とにかく二人とも、私に触るのを禁止します」
自力で回復魔法を掛け、ライズに貰った湿布を肩にはっつけて降りてきた私は近寄ろうとしたマイトとホイルーの二人にから距離を取りながら話す事にした。
反論するつもりは無いようで二人とも大人しく座っている。
―なぜか正座で。
強制はしてないし、誰もそんな話ししてないんだけど、なんでその体勢を選んだんですかね。
「男の時より細くなってるのに、二人に引っ張り合いされたら私ホントに千切れかねないんだから気をつけてよ」
「ごめん。大丈夫かな肩」
「済まない」
マイトは私の肩を気にしながら謝り、ホイルーは深々と頭を下げた。
二人ともかなりムキになってたけど、二度とやらないと約束してくれた。
まぁ、こんな事は二度とないと思うけどさ。
でも、二人とも私より遥かに力が強いんだから下手しなくても腕が千切れるから二度とやらないで下さい。
冒険者と騎士から引っ張りだこにされて関節くだけても、私は軟体動物に生まれ変われません。




