なななな
玄関開けたら二秒でバタン。
思わず閂までかけてしまったのは、ノックをしようと手を構えた豪華な服を着た青年が外に立っていたからだ。
開けた私も驚いたが、開けられた青年も驚いていた。
「…なんか居たぁぁっ!?」
私は階段を駆け上がり三階へ駆け込んだ。
『まちなさいっ!?閉めてくれるな!!』
ドンドンと扉を叩く音と抗議の声が聞こえるが私には聞こえない。
『サラー、お客様がお見えだぞー』
マイトー!!余計な事するんじゃねぇぇっ!
「私は留守だーっ!」
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『私は留守だーっ!』
「…サラが滅茶苦茶な事言ってる」
大声で返事をしたサラはそのまま降りてくる気配がない。
「…あんな事言ってますが、連れて来ないとマズいですか?」
ボクとしては、嫌がるサラを下に誘い出してくる合間に、ちょっとしたスキンシップを図る機会だと思うから、抱えて無理矢理連れてくるのも吝かではないんだけど…。
大義名分は大事だよね。
「在宅が確認出来れば問題ないので構いません」
「そうですか?」
「…監視役とやらか。思ったより早かったな」
「まあ、ちょっとした事情がありまして…。」
赤金色の短い髪を撫でつけながら青年は返事を返し深いため息をついた。
「事情ですか?」
「ええ割と深刻な事情が」
眉間にはしわが寄り、苦悩しているのがよくわかる。
見た目は貴族然としているのだけど、日頃から感情を面に出さないように勤める騎士とか貴族としては表情豊かすぎる。
「サラに何か問題があったとかですか?」
「…まさか、サランのあれは大問題でしょう?」
胸の辺りを指差し、深い溜め息を漏らしている。
いや薄着で居たのは確かだけど、そんなに深刻な問題だろうか?
「年の割に巨乳で薄着、しかも男三人と同居していながら危機感が無さ過ぎる」
…危機感がないのは確かですけど、アレだけ警戒心がないと誰が手を出せますかね?
「まあ、仕方ないか。君たちが“マイトパーティー”であってるよね?」
「はぁ、ボクがリーダーのマイトです」
交渉なんかはもっぱらアランに頼りきりですがボクがリーダーです。
しかし、この人どっかで見たことあるような気がするのは拠点ですれ違ったりしてたんだろうか?
「失礼ですが、もしかして拠点の方で会った事ありましたか?」
「いや、ボクに似たような容姿の人間なんて拠点にいくらでもいるからね。それに、昨日の夜に付いたばかりだからちょうど、君たちと入れ違いになったてね…」
ちょうども使いようによっては嫌な言葉になるんだな。
しかし、最近よく似た顔を見たことあるような気がするのはなんでなんだ。
行動はアレだが、見た目が美形だから会った事ない人とにしては…。
豪華な服を着ているのにどこか田舎クサい仕草で青年は自らの名前を告げた。
「ボクの名前はホイルー。サランと同じ村の幼なじみです」
「そうか君はボクの敵か」
「!?」
田舎の幼なじみでサラの今後の心配する。
―済まないが床下に埋めようかと思う。
( ̄人 ̄)




