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向き不向き

光り過ぎるなんてアクシデントはあったもののマイトの向けたは無事治った。


しかも、意外な事に新しい皮膚が生えるのかと思いきや、ペロンと剥けてた皮がまたくっ付いてた。


「私的には、あのささけた奴を引っ張ってあげたかったんだけど綺麗にくっ付いたね…」


「ジャガイモならまだしも、皮膚を他人に引っ張られたら裂傷になりそうだから考えるだけにしてくれない?」


マイトが割と本気で嫌そうに答えたよ。


回復魔法が効きすぎるなんて不測の事態になる事はないかで大丈夫。


まあ、死にかけなんて呼ばれるくらいに怪我が酷かった時に、しばらくギンギンとか絶倫になったりする事があるそうだが、あれは死にかけたから生存本能がタガが外れた状態になるからで、回復魔法の効きすぎなんて事はないそうだ。



…で、今回の光りすぎに関してだけど、ライズの推測によると呪いの影響で身体が女に変化したおかげで、男の時より使える魔法への適性が上がったのが原因じゃないかとの事。


長い間魔法使ってませんからね…。


まともな怪我には使えないから、普段は魔法を使える事が頭にないくらいだからなぁ。


「そもそも、回復魔法使えると分かってる女の人は神職の門が開けてるから冒険者になる事ないし、サラみたいに後から適正が伸びる人は居ないね。

居ても気休め程度の魔法じゃ薬の方が早く治るからまず使えるってい人もいないよ」


「ふーん?」


私みたいな間抜けがわんさか居てもそりゃ困るけどさ、知り合いに使える魔法の使えなさを言って歩いてた私の立場ないじゃないですか。


“サラン”くらいに回復魔法が使える男の人はチョロチョロいるんだけども、冒険者の女の人で回復の適性ある人はあまりいないらしいからね。


実際にはかなりの人数が居てもおかしくないらしいけど、攻撃魔法に憧れらる魔法使おうとする女の子がいないし、若いウチに嫁に行くとかするし、女の子が調べに行くとか滅多にないんだってさ。


因みに、結婚して活発な子供がいるお母さんとか、針子さんやらオバサンとかには割と回復魔法使える人が居から、若くて可愛い女の子が貴重なだけね?


「サラになった時に呪いの影響調べただけだったよね?」


「うん、見た目変わっただけだったし、バイトするだけのつもりだったからサランままで済ませてもらったよ」


サランの時には、期待してたから適正調べたりして貰ったけど、現実は男には向かない補助向きだった。だから二度も調べないで済ませられるか聞いたからね。


「それなら、サランの時に調べてもらっただけなら、もう一度魔力量を計り直してもいいかもよ?」



「え、やだ」


あの光具合だけで面倒なコトになりそうだから行きたくない。


「即答か。普通冒険者なら魔力とか底上げされたら喜ぶんだけど」


「受付のお姉さんに笑顔で“おめでとうございます。魔法適正が“微”で、冒険者適正クリアしました”って言われたら解ると思うよ?」


また、“微”なんて言われたら立ち直れないぞ?


「そう?アレだけ光れば“微”で終わる事ないと思うけどね。サラの奥の手にしとくのも有りだし、時間とれたら補助魔法なんかも訓練してみよか」



「奥の手いいかも…」


奥の手とかちょっと良い響きだね。

戦闘向きじゃないのが悔しいが、何も出来ないよりよっぽどいいね。


「俺も人に教えるなんてした事ないから、暇な時にチョロチョロ教えてあげるよ」


「…うん、ありがとう」


ライズへの認識が、ただの酔っ払いから頼りがいのある年上の人に戻っていきそう。


いや、元々頼りがいはあるんだけど、飲んだ翌日を見てしまうと頼れねぇ。


「今日も料理用の酒ちょろまかしたとか聞いたけどさ」


「いや、いきなりどうした」


「この最だから、ライズもアルコールからはなれましょうよ」


「…アルコールは話に関係なかったよね」


「ないけど、なんとなくそうしたら尊敬出来そうだし」


「だが断るっ!」


薬混ぜたり色々やってるけど、アルコールに弱いと話してた人がそんなにアルコール体に取り入れるのは良くないと思うんだけどな?


「…お酒弱いんだよね?」


「強い弱いじゃなくて、酔いたいから飲むの、ザルとか酔わないとか飲んでもつまらないじゃん」


飲んでも全く酔わない人って、二日酔いもないらしいけど、すぐ酔うんならお酒そのものを控えてもよくないかい?


―それに。


「ザルとか蟒蛇ウワバミの人って、単にアルコールを身体に吸収出来ないだけとか?」



「…その考え方は新しいね。なるほど、確かにザルとかは全く受け付けてないから酔わない可能性もありそうだね」


「酔わないとか変化ないなら、肝臓内臓全部素通りして、そのまま下に出てるだけなら、アルコールが体に拒絶されてんじゃないの?

やっぱり、お酒を飲む必要ないって事じゃないかな。」


「そう言われたらそうだけど酔えるんだから俺はお酒止めないからね!?」


「…ちっ。なら、ほどほどにしてね?」


「舌打ちまでするっ?」


ライズをお酒から離れさせようとしたけど失敗だな。


「この辺りの井戸水は普通に飲めるからいいけど、場所によっちゃ飲めないからサラもアルコールに慣れとかないとかもだよ?」


それどころか、コップにお酒を注いで私の方に差し出してきた。

未成年は飲まれないし、しばらく街に居ると話してたくせに私を巻き込もうとするか。


「いや、私としてはサラには絶対に飲ませたくないぞ」


黙って話しを聞いていたアランが置かれたコップを横から取り上げた。


「サラは、ほっとくと大人しくしてるが、逃げの歯止めが利かなそうだから飲酒は覚えない方が良い」


確かに、逃げれたら逃げるし、引きこもりも時間が許す限り引きこもりますけどね。


「と言う訳で私が飲む」


アランはそのままコップを傾け一気に飲み干した。


「…ふぅ。毎日皿洗いしかしてないから、楽しみで飲むくらいいいだろ」


「おー、流石はアラン話が解る男は違うねぇ」


「ボクも正直飽きてきてたからちょっとだけ付き合うよ」


やんややんやとライズがはやし立て、テントの中で酒盛りが始まってしまった。


あれ、飲めない私だけ仲間外れ的な?


「……私は隅で横になってるよ?」


「ちょろまかしてきた果実でジュースを作ってやるからみんなで楽しもうよ」


やっぱりライズは気が利くお兄ちゃん?


リンゴの皮を剥いてすり卸し金でリンゴをおろし、コップに水筒の水と金色の液体をいれ卸したリンゴを入れて完成。


「金色のは何?」



「蜂蜜水。使いどころがないし、ジュースに甘味が足りないかもだから入れたんだ」


ライズに渡されたジュースは、薄い金色で綺麗な色してるー。


「ありがとう」


「はいはい、サラが俺の身体の心配してくれてるのはわかってるから気を付けるよ」


気を付けてくれるならそれでいいか…。


「ん、いただきます」


うん、とろとろに甘いしなんだがフワフワしてきたー。


うん、視界がグラグラするね〜。


「あははは、世界が揺れてる〜」



「「「……」」」


みんな黙っちゃったけどどうしたんだろうね〜。



―どうしよう、なんだがサラがかわいいんだけど。


「ライズ、お前アレにお酒混ぜたか?」


「混ぜてないし、材料を間違えるなんてミスはない」


「じゃあ、アレはなんだ?」


アランはユラユラと踊るサラを指差した。


まあ、踊ってる訳ではなく酩酊しバランスが取れなくなっているだけのようだ。


「にゅふぅ、お部屋の中が甘々ですねぇ〜」


息を吸い込んでるだけなのにご満悦の様子だ。


「…まさか匂いだけで?」


ああ、虫が入らないようにテントの入口締め切ってあったから、揮発したアルコールが籠もっちゃったのが原因か。


「どうやらそのようだ」


アランとライズの二人は見ているだけでどうにかしようとはしていないようだった。


…入口開けてやろう。


そう思って立ち上がろとした時、柔らかいものがしがみついてきた。


「…トイレなら漏らせばいいじゃん」


やっぱり、酔ってるのだろうか花のような笑顔を浮かべたサラはとんでもない事を口走っている。

トイレ行きたい訳じゃないからいいけど漏らして良いことはない。

しがみつきキャタキャタと笑っているサラは一体何を考えているのか?


「トイレじゃないから」


「そう?ウチの村みたいに都合が悪いモノは人でもゴミでも埋めちゃえばいいんだから、穴掘ってOK」


逃がさないといいたげに、OKと言いながら手を絡ませてきた。どこで学んで来たのだろうか、人まで埋めちゃ拙いだろう。


「一度入口を開けて換気をしたいだけだから離してくれ」


「いやいや、光ったのも見られるかもだし開けたらダメよ?」


いや、さっきは入口閉めといたから光が外にもれなかったが今はアルコール臭をどうにかしないと、ボクがどうにかなりそうだ。


胸はまあとうぜんとして、握られた手が柔らかいのが困る。


右手がお友達でも、テント暮らしじゃ憤りを発散する場所がないから更に困る。


―穴掘ればOK?



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