表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/50

どしよ

アーリーウッド奪還部隊は日に日に野営地に到着するが、騎士そのもはあまりおらず、兵士や冒険者が過半数を占めている。

偵察部隊は拠点までたどり着けて今度は向こうの受け入れ人数を増やせるよう拠点の拡張に忙しいらしい。

今稼ぐつもりなら、アランの言うとおり、あっちに行くべきである。

だが、困った事に女がいるパーティーは前線に行けない。

殲滅対象に苗床を与えないために昔決められた事だから仕方がないが、ウチのパーティーは私(女)のせいで拠点まで行けない。


件のゴブリンの時の様に、女を見ただけで危険度が増す種が確かにいるのだから私が行きたがる訳もなく。


混乱に紛れ、それこそマイトの話した囮役の少女にされかねん。


戦場に女を連れて行かなければ、あの向こう見ずな攻撃がなくなるから、ゴブリンなどは楽に倒せる可能性は高くなる。


希望すれば参加は可能だから、男尊女卑ではなく冒険者達にとっても安全対策である。


皆から、女が居ると不便だと声があがらないのは有り難い。


登録解消はパーティー全員の同意があれば可能なんだけど、三人はそれを良しとしない。


しかも、オルレアン殿下の使者が来て、冒険者として生きていくつもりならば、定期的に居場所を知らせろと通達があった。

呪い持ちを其処まで警戒しなければならない理由はなんだろう。


こちとら特技もございませんよ?


サランとして生きてきた人生の中で誰かに誇れるほど得意な事ってあった覚えがないし、必死に努力した事もない。

今までナリに生きてきただけだけど、そろそろ何かしなくてはならないだろうか?


男ばかりの村で生まれ、成人前に家を追い出され、冒険者としては大成できずバイトで食いつないできた。


なんだ。


私は要らない子どもだったんじゃないか?


冒険者パーティーの相性は一週間で決まるなんて話もあるけど、冒険出来ないとよくわからないよ。



何事もなく更に日は過ぎる。


と思いきや、事件は野営地に設置されたテントで皆と話していた時に起きたのである。


「皮むいちゃったからサラに回復術頼みたいんだけど良いかな」


マイトの左手に巻かれていた包帯を外すと、手の皮がペロンとめくれていた。


「私じゃなくて、ポーションで治せばよかったのに…」


「ポーションの余剰がないんだよ。いつ自分たちの作れるかわからないし、余ってるのは売った方が金になるし、サラが来るまでしばらく待てってオレが言ったんだ」


「あ、そうなんだ?」


「ポーション使うほどの怪我でもないんだけど、剥けかけだと地味に痛いから治してくれる?」


「あいあい了解」


大した怪我じゃないけど明日も皮むきだ続行だから治しといたほうが楽だよねー。


「効き目悪いから時間かかるかもよ」


「治るならそれくらい構わないよ。それに、聖属性の回復系は初めて受けるね」


「俺ら回復役居なくて、ポーション頼みだったからね」


アランが受けた水属性回復術は、無理やり治すから痛いらしいんだ。しかも、一度治療を受けて治しても幻痛や古傷として残る場合があるようで勝手が悪いらしい。


「それじゃ失礼します」


以前話してあるので、マイトの手を取り両手で挟む。


「うわ、自分でやっといて何だけど、これ結構恥ずかしいかも…」


ダイレクトで体温が伝わるような行動をしたことがなかったし、他人と触れ合って熱を感じたのは初めてだ。


「ああ、恥ずかしいだろうが見ているコッチも恥ずかしいから早くしてやれ」


「サラ、マイトが固まってるから早く治してあげてくらはい」

わかったけど、なんでマイトまで固まってんだよ。


「…いいから早く治してやれ」


「サラも、あまり深く考えない方がいいよ」


「…了解」


アランとライズに急かされながら治療開始。


-奥義暗がりでぼんやり光る回復術。



ピッカーッ!!


「うわ!眩しっ!?」


「「「!?」」」


暗がりで微かに所か閃光玉かマグネシウムを炊いたような極端な光にマイトの手を放して目を覆う。


同時に明かりも消えたけど、発生源は私の手でしたっ!!


下手に持続してたら目がつぶれてたんじゃないですか?


「なにも見えん」


「…じっとしてれば治るはずだ」ランタンの明かりなんか目じゃなかったらしく、明かりがついてるのに焼け付いたみたいに視界が黒い。


みんなガン見してたから被害甚大だよ?!


「…あー、吃驚した。みんな見えてる?

私はまだ視界がチカチカしてるような気がするよ」



「私は大丈夫だがマイトはどうだ?」


「…大丈夫、治ったよ」


みんな視力が回復したらしい。


「で、今のはなんだったんだ…」


「魔力の込めすぎによる余剰エネルギーの暴走じゃないかな…」


-あ、他人に回復術かけるのも初めてだったかも。


「なるほど、じゃ多分そうだね。火の攻撃魔法だと本人が火傷したりして危ないんだけど、回復術なら多分大丈夫じゃないかな」


外傷は付かないから力が漏れても大丈夫?


「俺は下が元気になっちゃいました」


「…最悪やん」


三人ともさり気なくコカーンを隠してます。


-テント出た方がいいかしら?

( ̄人 ̄)出力120パーセント!艦長!発射前にジェネレータが溶解しました!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ