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無理にとは【9/28修正】

短いです

タイミング的には悪くないのかも知れないけど、パーティー仲間になるどうかなると話は別。


「サランも、パーティー組まなきゃ森への立ち入り禁止だって言われてたしいいんじゃないか?」


「うん?採取依頼もやれないけど冒険者してないし」


森が危険なのは確かだけど、ソロ禁止は辛い。

何しろ今まで東にある森の崖下に生える薬草とか場所的に難のある採取依頼しか受けてなかったからね。

実際にはちょっとした裏技があったりするのだがそれは追々説明するとしてた。


草原は見晴らしよくて街の狩り場になってるからウサギ肉の狩でもしてればいいからね。


「女性冒険者の規制は、どこもみんな厳しいらしいからね?

女性が独りで森に入ったら、何があっても解らないから信頼出来る仲間集めろって事なんだろね」


「ウチも三人だけだから、サランが良ければ入ってけれないかな?」


アランやマイト達は、信用出来るのかって話になる訳だけど、そこはまあ信用していいんじゃないかと思う。

気安いとか言うより裏がなさそうな感じ、ふざけてるイメージがあるライズは呪いの解読に真面目だったし、マイトもアランもオレより大人っぽい。


「それいぜんに、装備もナイフと毛皮しかないから出れないんだけね」


荷物は独房に纏めて置かせてもらってきているが、倉庫解放されなかったらどうしようかね。


「大丈夫だよ。みんなそろって普段使ってた鎧は壊れちゃったからさ」


マイトが鎧の留め具を指差したので見てみたら、針金を通してあった。


「修理出したくても今はどこも都合が悪いらしくて後回しにされそうだから、自分でやってみたんだけど以外とわからないもんだね」


いや、針金だけとか大丈夫じゃないよそれは。


「私は魔族との最初の戦いで鎧をバラバラにされてしまったかが、盾役は予備装備くらい持ち歩くものだ。しかし、あの魔族はなんで俺たちを襲ったんだろうか」


「ついでだとかなんとか話してたから行きずりの犯行じゃないの?」



「行きずりで呪われるなど、尚更嫌すぎるだろうが、死に際の呪いなんぞ誰が考えたんだか」


アランが愚痴るけど、オレもとりあえず逃げるだけにしとけばよかったな。


ナイフ手に入れたばかりの時に、カッコイいナイフの投げ方なんか研究してたのが悪かったな。

暇あればナイフ投げしてたら、ちゃんと狙った所に刺さるようになっちゃったし。


「ホントにねー」


「私が思うに、呪いで困ってないのサランはかなりおかしいぞ」


「…いや~、それほどでも」


「「「誉めてない!」」」


息ぴったり。


「でも、他の人なら女体化だけなんかしたら発狂しそうだろう?」


顔の造形は変化なしだって話してたからね。ベテランさんだったら強面ボインとかで見た目ヤバいな。


真剣に死ぬ事を考えてもおかしくない。


「そうだとしても、今更だし」


「…そこで開き直れる人はなかなかいないから仲間にほしいよ」


いや、そんな理由?



「おう、わかったぜ。マイルズがいりゃコッチは大丈夫だからな。しばらくはソイツらに冒険者のなんたるかを経験させて貰ってこい」


にこやかにマスターが返事をくれが、なんでこんな話になったんだっけかな。


あれー?

「この辺りじゃ、お前くらいの年で冒険者になるたがる奴なんかメッタにいねーんだから、しばらくいるんなら一年くらい仲間にしてもらっとけ」


そうしてマスターは「どの道昼の間しか雇えねぇからな。そいつの事は任せたぞ若い集」とオレたちの肩を掴んで店から追い出した。


……………………………………………あれ?


「店の名前が変わってる…」


看板に気付いたマイトが、顔をひきつらせた。


看板が《穴熊の酒場》に変わっていた。


酒場に鞍替えしてはる。

昔、ある英雄が16未満の未成年の酒場や色街への雇用を問題視してから、酒場には16以下は近付く事さえはばかられている。


唯一の職場とツテを失ってしまった。

呆然と看板をみていたら、三人から申し訳なさそうに声がかけられた。



「今更になるんだけど、あの人達が、女の子になっちゃったから身を守る手段を教えてやって欲しいって話してきてさ…」


出歩かないし話す機会無かったから言い出しにくかったですか。


で、もう一度戸口からマスターに路線変更の旨を尋ねる。

マイルズさんは酒造が趣味なんだけど、本格的に酒で生計をたてたいと考えていた。

そこで、食堂というより酒場の雰囲気が強かった行き着けの穴熊に以前から酒倉の話を持ちかけていて、オレの行き先をマイルズさんが手配すると言う内容で酒場にしたのだそうだ。


自家製の酒を販売出来るのは酒場だけど決められているので、新たに店を作るよりも双方の利害の一致でそうする事に決めた………とか大人はズルい。


それでも、未成年者がこれるように裏口側のごく小さなスペースで昼間だけ食堂をやり、夕方からは酒場を営業するのだと言う。


「冒険しようぜ?」



「えぇ…」



マイトに握手されたけど、なし崩しというかニッチもサッチもいきませんなぁ。



ーで。


「ぎゃー!?ゴブリンだらけー!!」


森に入ったらとたん、ゴブリンの集団に囲まれた。


「ヤバいぞ、奴ら完全にサラン狙いだっ!」

ロングソードを横凪に払いゴブリンを分断したマイトが叫ぶ。


「ゴブリンの牙と角で一千Gゴブリンの角と牙で一千G」


譫言のように魔法を乱射し続けるライズ。


「…………。」


ザズザズザズ


言葉少なくというより無言でゴブリンに槍を突き立てるアラン。


三〇を超える大集団が、三人によって次々に葬られていく。


「まだくるぞ!?」


「ゴブリン1匹千Gゴブリン1匹千G」


「…………りょ」


丸裸のゴブリンは異常な興奮状態らしく、仲間の死体を踏みにじりオレを目指して飛びかかってくるのだが、それらを疲れた様子も見せずに次々と始末していく。


オレは三人の真ん中に生えている木にの上に逃がされていた。身体を預けた木の高い場所に移動しようとしたら枝葉がガサリと音を立てた


「サランはソコから動くな!!気が散る!!」


「はいぃっ!」


無言だったはずのアランがら発せられた言葉にペタリと幹に抱きつく。


―アランさんが超コワイ。


ゴブリンは、幼くしてありとあらゆる犯罪を犯した咎により魔物に身を堕とした子供の子孫だと言われている。


神話時代の話だが、たしかに血色がよければ5歳にもみたない幼子に見えなくもないが、ガリガリの手足は大人を怯ませる腕力があり、その顔は醜悪に歪み女を前に股関を膨らませている。


▼こうかはばつぐんだ!

( ̄人 ̄)

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