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どこへ?

太陽は高く時刻は昼くらいだろうと思われた。


さて、目覚めてわかったのだが寝起きに誰も居ない事件が発覚した。


常に四人の生活パターンが身に染み付き始めていた私にとって割と由々しき事態である。


だが、以前は一人倉庫で目を覚まし街の中を歩き回っていた。


「…べつに気にするような事でもないか」


とか言いながら、一階の居間壁際に置かれた丸椅子に肘を掛け、敢えて床に座ってる所に哀愁が誘わせる作戦である。


三人でどこに出かけたのだろうかと気になるが、たまには一人で出かけてもいいような気がする。


だいたい、女の身になってからは一人で街を歩いた覚えがないね。


魔族を倒したサランが呪われて“隔離”されているから、以前の山猿みたいな毛皮を被った小男な恰好は、ギルマスに禁止されてるから、受付さんのおさがりのローブを着てるけど、毛皮だけ着てれば良かった生活を抜け、人並みの服装に戻ると街を歩く時の服装に気を使わないとならないからね。


いつもの様に動きやすい服装にローブを羽織るべきか、女らしい恰好でお出掛けをするべきか?


―それが問題だ。


まぁ、チュニックにズボンでいいや、センスはないから着飾るのもありえないし。


それにしても、三人とも出かけるなら伝言くらい残さないもんですかね?



「よその兵隊さんが夜中まで居たでしょ。昨日何があったの?」


井戸端会議に強制参加。


通りすがりに一人のオバチャンに引き止められて、おばあちゃんからお姉さんさまで井戸の周りに緊急配備されました。


「事件に巻き込まれた訳じゃならいいけど、夜中まで居座るのはどうかと思うわよ?」


「本当にね~、ウチの旦那も偶に人連れてくるとやたらと人に頼み事してくるのよ」


「あるわね、夜中まで騒ぐから何度も家に連れてくるなって言ってるのに酔っ払っうと忘れちゃうから…」


「ウチは酒場まで旦那を引き取りに…」



…女の人だらけだとどこの話聞いたらいいかわかんないわ。


適当に頷いてたらいいのか?


「でも、暴動騒ぎはどうなったか誰かわかる人いる?」


「旦那が仕事から帰らないとわからないわ」


「市場も今日は開いてないみたいだけど、なにがあったのかしらね」


「今朝は旦那が家から出るななんて言って出かけたのよ」


「ウチの旦那もそうよ」



わあい。少し考え事してる間に話が飛ぶわ跳ぶわ。

いつの間にか暴動の話になってるし、しっかり聞いてても流れが掴めないって凄い。


「サラちゃんのお仲間さん達は一緒じゃないの?」


あはは、目が覚めたら皆居なくなってましたがね。



「あ~、うん、今朝はこれと言った話はしなかったです」


「…不用心ね~。男はもっと気を使ってあげないとダメじゃないの」


話の途中ですが厠に行きたくなりました。


「ちょっとトイレ行ってきます」


「あら、私も行くわ」


「私も」


「あたしも~」


―脱出失敗。


夕方までオバチャン達に付き合わされた。


二度と参加しないと胸に誓う。

しかし、話す会話は嵐のようで、引き際はまるで引き波の如し。


「あらこんな時間」


「あら大変洗い物終わらせないとだわ」


誰かの一言から唐突に彼女等の包囲網から解放された。

取り残されたオレはただひたすら気疲れしただけだったよ。


ゴブリンと一角ウサギ、夜中の騎士団から油断した所にオバチャンの群。


コレも呪いの所為でしょうか?

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