おみやですか
短パンと黒いシャツを羽織って湯上がり完了。
「マイト、なんかあった?」
「うん、暴動起きてるっぽい」
日が暮れつつある空を指差しマイトが言う。どうやら、扉を開けて街の音を聞いていたらしいが、普段なら家庭の問題で揉める夫婦や雑音くらいしかしないの、先ほどから明らかにそれらと違う声が聞こえてくるんだそうだ。
暴動おこるていうてたもんね。
「そっか、みんなも風呂入りなよ」
「いや、普通こういう時は控えるもんでしょ」
「…ほうほう。つまり、さっきまで入ってた私に対する当てつけで“けっ、このトーシローが何時まで腑抜けて風呂入ってやがんだ、とっととあがりやがれベランメー”とIitai訳だね?」私悲しいわと泣き真似をしてみる。
「いや、それは流石に穿ちすぎだからっ!」
すかさずマイトがベシベシと頭を叩いてくる。
バカんなったらどうしてくれる!
「で、ライズとアランは?」
「アランは甲冑つけて偵察、ライズは屋上で監視中」
「………そか」
あんな目立ってたら偵察じゃないし、ライズは他人のお宅のカーテンの隙間とか覗いてそうでヤダな…。
「覗き目的じゃないよね?」
「…ライズは、変だけど変態じゃないから」
わかってるけど不安だわ、訴えられたりしないよね?にしても、マイトから見てもライズが変なのが残念。
「とにかく、騒ぎが起きてるのは市場のある大通りみたいだけど、規模がわからないから周りの警戒はしとけってアランが言ってたからさ」
安売りのジャガイモ一個十円とかパネェし混乱もちょっとドキドキするけど、【暴動】って聞いても想像つかない。
「あのさ、用心にこしたこたないって事なんだろうけど、暴動って市民が破壊活動すると暴動だと聞いたけど、市民以外が騒ぐとテロになるんじゃないのかな」
難民も暴動ってのはおかしいんじゃないの?
なおかつ、外国人なら“反政府”ですらないですからね。
主となる国がないわけですから、これ幸いと虐殺したり生き残りを逆らえないように、奴隷にしたら後腐れ無くなりそうだから、喜んで制圧するんじゃない?
「…ウチの国は、流石にそこまで非道な事はしないと思うよ?」
マイトの言葉から力が失われたね。
まあ、やらないと信じよう。




