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キノコ【9/28修正】

五日目、いつまでも中に籠もっていると、ギルドの受付嬢さんが呆れながら話しかけてきた。


「サラン君、少しくらい日に当たりに行かないと、本当に身体壊しますよ」


古い時代の迷宮専門の冒険者から名言からきているらしいが、一週間くらいならまだしも数週間も潜っていると病気とかへの免疫力が低下し体調を崩しやすくなるんだそうだ。


「それに、解析が終了してほぼ問題ないとわかりましたし、人と過ごして最終確認と言うことにしましょう」



あの魔族の呪いは変化と定着の呪いであったんだと、あと数日もあれば体内に残された“呪”も消え普通に生活していいと言う。

受付嬢さんのいい笑顔により、独房生活に終止符が伐たれてしもうた。



―キノコ出荷。



ギルド待合室は、大きな食堂並みにイスとテーブルが置かれている。


パーティーリーダーが依頼の報告をしてる最中にイスに座って待機したり、ギルドには地図帳なんかもあるから依頼の場所確認したりする人もいるようだ。

オレは今まで二三回座った記憶しかないが、木の椅子なんか長時間座ると尻が痛くなると三人組みに引っ張りだされた。


いまは四人で意味もなく大通りを歩いているのだよ。


「へぇ、それじゃしばらくは街に居るんですか?」


「そうそう、王都だと本当に依頼が捕まえられなくてね」


オレが話をふると、ライズは疲れたように深い深い溜息をはきだした。


「地方で依頼を探した方がマシじゃないかなって話になったんだけど、サランさんの話聞いちゃうとそうでもないかな…」


歩きながら今までの生活の仕方を話したけどあまり参考にはならないと思うよ?


「オレの場合はソロだから立ちゆかないだけだよ。

パーティー冒険者はそうでもないんじゃないかな?」


魔物は強いから仲間が居れば受けられる依頼は腐るほどある。だが、ソロの普通人オレはスライドやゴブリン一匹でもピイピイになっちゃうから、単独でそれらを受けられるのはかなりの腕がある人くらいでないと無理なんだよ。


「そんなもんか、王都だと単独依頼の方もパーティーで受けて依頼料を分け合う位でさ、一人分を三人から四人で分け合うから危険は少なくても分け前がまるでないんだよ」



「マイトの言うとおり、王都は人数が足りないと受けれないけど、人数が多い分には問題なかったからね」


少人数で依頼を受け分け前を増やそうと無理する輩もいるが、規定数以下は絶対に受けれない使用らしい。


こっちは、多くても少なくても受けられないんだよ。


しかも、ソロだと掲示板の依頼は受けられなくて、ギルドの受付さんが提示してくれる依頼だけしかやれないから余計に大変なんだよね。


簡単な依頼ばかりだから否応無しに押し付けられて、無理の言葉も聞いてくれないんよ…。

「明日から、本格的な依頼を受けられると思うとワクワクしてくるよ」


「向こうじゃ街中での配達ばかりだったから、この槍なんか家においたままだったな」



「短剣とかでも持ち歩くの禁止な場所あったんだから仕方ないよ」


武装一つ手にしてただけで、捕まる地区が多かったからしまいにゃ私服で配達だったとか…。


「あとはあれだ、手に入れた魔物素材の買い取りも商人ギルドと直接交渉だったから足元見られて大変だったか」


一般的な刃物や武器になる固い牙なんかは、知り合いの鍛冶師が高めに買い取ってくれたが商人は妥協がなく、素材からキズ毎にマイナス計算でどんどん値引きされてしまうんだそうだ。


正直、王都みたいな大都市になると、大物の素材がかなり集まるから、魔物狼のような魔物は持ち帰ったとしても、稼ぎにはならないらしい。


大きな牙以外はライズさんの魔法で埋めてしまっていたと言う。


「ギルドは、依頼品しか引き取らないと思ってたんだけど、場所によるんだね」


うん、コッチじゃ魔物狼の皮はちょっといい皮扱いだからね。

「そんなだから、値段聞いたらマジで過去に埋めてきた所掘り起こしに戻りたくなったよ」


「ライズほどじゃないが、私もそう思ったぞ。肉食のミミズいたから跡形もないだろうがな」

なんか、倒した魔物を土に埋めると一晩で土に返してしまう強烈なミミズがいるんだそうだ。

でも凄い、結構な数の魔狼倒してきてるんだね。


「あと、この街のウサギ肉の煮込みは薄味なのにマジ旨かったよね」


「ああ、そこらに見えてる露天の串焼きとか、王都じゃ値段をみてからじゃないと食えないぞ」


「アランさん、その話マジですか?」


「ああ、王都は寄生虫とかのせいで肉屋が家畜の肉しか扱ってないからとにかく肉の値段が高い。

食堂でもまず値段を聞いてから注文しないとだ。

貴族ですら、後から値段を聞いて払う払わないで憲兵にしょっぴかれるのが居るくらいだからな」


個人で食べるのはともかく、王都周りは穀倉地帯が広がっていて、冒険者の扱う野生の肉は鮮度的な観点からも買い手がなかなかないらしい。

でも、冒険先が歩いて数日とか…、王都がデカいのはわかったけど基準がわからん。


「魔の森付近にもギルドはあるが、依頼の支払いや買取は一切してくれなくて不便きわまりなかったな」


さようですか。


でもゎ肉か、肉と言えば…。



「マスターのシチューは日替わりだから旨でしたなぁ…」


マイルズさんから肉を買い取ってたのはよく見かけたけど、鹿とか猪とか中心だったはず。


でも、マイルズさんが見習いとか店に入ると肉の入手先はどうなるんだろ?


間接的に、冒険者やれっていうフラグになってるとか?


「いや、俺らならまだしも今のサランさんを見て肉狩ってこいとか言わないっしょ?」

「田舎だとたまにあるけど、僕もマイルズさんはそんな事思ってないと思うよ?」


田舎から出てきた血気盛んな?マイトの一人称はボクであった。

ライズは俺でアランは貴族らしく私だ。


マイトは純朴派なんだろうか?

「王都にもベテラン冒険者が始めた店とか割とあるから、仕入れとかは知り合い経由な感じになるだけじゃないか?」


無類のゴツさを誇るけど、マイルズさんとマスターの二人なら人当たりはいいし信頼できる人もいるから大丈夫なんだろうかね。



「そうなると、本格的に就職先にこまる…」


マイルズさんの好意に甘えまくってバイトさせてもらってた状態だったからね。


「ソロ冒険者してると、バイトが本業になる人多いがサランもそのクチか?」


「うん、バイト始めたら食べ物に困らないから冒険しなくなってた」



周りに同い年がいない訳ではないが、パーティー組んじゃって他の街に流れちゃったりしてる。

なにより怪我もしなけりゃ飯も食えるとなると危険に身をおく理由がなくなるのだ。


「王都にもサランみたいな副業冒険者って結構いたよね?」


「名うての冒険者よりパン屋のオバサンの方がランク高かったりしたのはマジビビッたからね」


「あれはパン屋の仲間の家に嫁にいっただけだろ。普通の低ランクは水仕事とか下働きしてるぞ」


武器もった冒険者がケンカしてるのをパン屋のオバサンがパンで制圧するとかカオス。


「王都の冒険者ってプライド高いヤツ多いからな、サランも向こうの連中には気をつけろ」


アランから助言されたが、王都から田舎に来る奴あんまいないよ?


「いや、向こうじゃ給仕のバイトなんかセクハラされるぞ?」


通りすがりに尻やらさわられるとかやだな、こっちはやたらと頭撫でようとされたりするけどさ。



「田舎だとあんまない?」


「…たまに酔ってカミさんと勘違いする人がいるけだけだね」


でも、マスターの店でそれもあんまないかな?

路地裏だし、知り合いから人手伝いに広まっただけの食堂だと、皆酒に酔わないらしいし。


「マイルズさんがいなかったらマイトも店にこれなかったと思うよ?」


コッチの路地裏は住宅街だけど向こうはスラム街だなんて話聞いたから王都の冒険者が路地裏入らないだろ?


「いや、王都の若い奴らは進んで路地に入るんじゃないかと思う…」


「名前売りたくてウズウズしてるようなのばかりで、ギルドでの取っ組み合いは日常茶飯事だったからな」


「マイトはよく巻き込まれてたよね」


「いや、いきなり始まるんだからわかんないって」


「そうだな。毎回同じ受付嬢に介抱されてたな?」

「ああ、金髪巨乳ロリの羨ましい人にな!」


アランとライズの二人は、誰が年上が好きで年下好きが誰だとか独房に居るときにわざわざイラン情報教えてくれたね。


マイトは年下好きで年上に好かれてるらしいと話していたな。


「誤解だ!あの人は回復持ちなだけだって」


パタパタと手を振り回してコッチに弁明せんでいいよ?

年下っぽいけど、好みに当てはめられてもハメられたくない。


「下心があったわけではないんだ。けど気づくと介抱されてるのはなんでなんだろう」


「マイトは乱戦になると真っ先に気絶するからだろう」


「くはおぁっ!?」

オーバーアクションで悶絶するマイトだけど、大通りで騒ぎすぎて道行く人みんな見てくるんだけど?


「お前ら賑やかだな」


ポツリと零すと。


「「「いやいや、まだまだそんな事は…」」」



三人口をそろえ同じ言葉を口にした。


仲いいな。


「どっちかって言うと、騒いでる先にいるサランに目がいくだけだろ」


「オレ騒いでないよ?」


「おや?サランから敬語と遠慮がきえたぞ」


「気を使わなくていいかなと…」


「私はともかく他人の敬語は堅苦しいからそれでいいぞ」


同じペースで歩いてるから、似たようなもんかもしれないけどさ。


「サラさん美人だからね」


「ふっふっふ、それはどうも」

“サラさん美人”ならはほめ言葉として受け取っておくよ。


前は女装だたけど今は違うからね。


「それはともかく、オレはマスターにバイトに戻れるか聞かないとだからそこで解散でいいかな?」


そのままバイト復帰する予定だから、彼らが待つ必要ないし?と考えてたらライズが異を唱えてきた。


「…いや、それはどうかと思うし、せっかくだからパーティー組んで依頼受けてみない?」


「あ、確かパーティーの依頼ならたくさんあったな」


「一人足りなくて紹介してもらうつもりが、護衛依頼だったし、ちょうどいいか」


―オレはよくありません。



( ̄人 ̄)感謝

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